🖐️ 左手のための「親指くぐり」と「指跨ぎ」のテクニック-3

音楽

「親指くぐり(または指替え)」のテクニックは、音階(スケール)を滑らかに弾き続けるために必須の技術です。左手の場合の具体的な動きとコツを詳しく解説します。


左手の音階練習では、「親指をくぐらせる動き」と、逆に「他の指を親指の上に**跨がせる(またがせる)**動き」の2種類を習得する必要があります。

1. 左手が【下行】するときの「親指くぐり」

音が高音から低音へ下がっていく(下行)動きのときに、右手の上行と同じように親指をくぐらせます。

【動きの基本】

  1. **3の指(中指)または4の指(薬指)**を弾き終えた後、親指(1の指)をその下をくぐらせて、次の低い音(ドレミの「ド」の位置など)に移ります。
  2. ハ長調(ドシラソファミレド)で下行する際、通常は**「レ」を弾いた後に親指をくぐらせて「ド」**に戻ります。

【練習のポイント】

  • 手首の準備: 親指をスムーズにくぐらせるために、くぐる直前に手首を少し外側(左側)へ回すように動かし、親指が動くスペースを作りましょう。
  • 音を切らない: 親指がくぐる動作中も、音が途切れないように、指を替える瞬間を最も滑らかにするよう意識しましょう。

2. 左手が【上行】するときの「指跨ぎ(ゆびまたぎ)」

音が低音から高音へ上がっていく(上行)動きのときに、左手では親指をくぐらせるのではなく、他の指を親指の上に乗せて跨がせます

【動きの基本】

  1. 親指(1の指)で音を弾き終えた後、3の指(中指)または4の指(薬指)を親指の上を飛び越えさせて、次の高い音に移ります。
  2. ハ長調(ドレミファソラシド)で上行する際、通常は**「ファ」を弾くために親指を使い、その後に「ソ」**を弾くために3の指や4の指を親指の上に跨がせます。

【練習のポイント】

  • 腕の回転: 親指を弾いた後、手首と前腕を少し内側(右側)へ回すように動かし、跨がせる指(3や4)を鍵盤の上へスムーズに誘導します。
  • 指の準備: 跨がせる3の指や4の指は、親指が音を弾いている間に、すでに鍵盤の真上に待機させておくと、音が詰まらずスムーズに繋がります。

左手の音階練習で意識すべき3つのコツ

コツ具体的な行動効果
手首を柔らかく指をくぐらせる/跨がせる動作に合わせて、手首と前腕を左右に小さな円を描くように動かす。指の動きの負担を減らし、滑らかな演奏が可能になる。
親指を準備する親指(1の指)は、鍵盤の上を低く早く移動させることを意識する。親指が高い位置を通過すると、音が詰まりやすくなる。次の音への移行を素早く行い、音切れを防ぐ。
部分練習を徹底常に「ドレミ」といった音の繋がりではなく、「指番号の繋がり」に注目し、1→3(または4)3(または4)→1の指替えの部分だけを繰り返し練習する。苦手な指使いの克服に直結する。

左手の動きは最初は非常に不自然に感じるかもしれませんが、これらの動きをメトロノームに合わせてゆっくり反復することで、徐々にスムーズに動くようになります。ぜひ試してみてください。

左手の親指くぐりまでマスターできれば、ピアノの基礎はほぼ完成です!お疲れさまでした。

この基礎を踏まえて、次に進むべきステップは、「左右の独立と統合」、そして**「表現力の習得」**の段階になります。

ここでは、次の重要な練習ステップを3つご紹介します。


ステップ1:両手合わせの音階・アルペジオ(基礎の統合)

片手で親指くぐりを習得したら、次は両手で同時に音階(スケール)を弾く練習に進みます。

  • 目的: 左右で異なる指の動き(右手の上行と左手の上行など)を同時に制御し、脳と指を協調させる。
  • 練習方法:
    1. 最初はメトロノームを使わず、限界までゆっくりと、音の粒とリズムが左右で完全に揃うことを最優先に弾きます。
    2. 親指をくぐらせる/跨がせるポイントで、左右の手首の動きを意識し、音が詰まったりリズムが崩れたりしないように注意します。
    3. 完全に滑らかに弾けるようになったら、少しずつテンポを上げていきます。

ステップ2:リズム変奏練習(リズム感の強化)

曲全体や苦手なフレーズを、あえて異なるリズムで練習することで、指の動きとリズム感を徹底的に強化します。

  • 目的: 譜面に書かれたリズムだけでなく、様々なリズムに対応できる応用力と、指の瞬発力を鍛える。
  • 練習方法:
    1. 練習したいフレーズを、すべて付点音符と八分音符の組み合わせに変換して弾く。
    2. 次に、それを逆のリズム(八分音符と付点音符)にして弾く。
    3. さらに、3連符スタッカートなど、リズムやアーティキュレーション(表現記号)を変えて弾いてみましょう。

ステップ3:ペダルの練習(表現力の導入)

初心者から一歩進んだ「聴かせる演奏」を目指すなら、ペダルの使い方を習得することが不可欠です。

  • 目的: 響きを豊かにし、演奏に深みと色彩を加える。
  • 練習方法:
    1. まずは、音を弾いた直後にペダルを踏み、次のコード(和音)を弾く瞬間にペダルを替える練習から始めます。(これを「シンコペダル」または「後踏み」と言います。)
    2. 音が濁らないよう、音と音の間にペダルを替える一瞬の「間」を作ることを意識しましょう。
    3. 最初は**和音(ドミソなど)**だけの練習で、ペダルの踏み替えのタイミングに慣れることが大切です。

これらのステップは、基礎から応用へと繋がる重要な橋渡しとなります。特に「両手合わせの音階」は地道ですが、毎日の練習に取り入れることで、曲の習得スピードが格段に上がりますよ。

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