C言語、C#、Javaは、名前が似ていたり、構文(書き方)が似ていたりと共通点も多いですが、
「設計思想」「実行の仕組み」「得意分野」は大きく異なります。
エンジニアとしてのキャリア選択や、学習言語の選定に役立つよう、この3つの言語を詳細に比較・解説します。
1. 3言語の概要と関係性
まずはざっくりとした関係性を理解しましょう。
- C言語: 全ての基礎となる「おじいちゃん」的存在。ハードウェアに近い操作が得意。
- Java: C言語の複雑さを排除し、どこでも動くことを目指した「優等生」。
- C#: Javaの良さを取り入れつつ、Microsoftがさらに現代的に進化させた「万能選手」。
2. 比較一覧表(クイックリファレンス)
| 特徴 | C言語 | Java | C# |
| パラダイム | 手続き型 | オブジェクト指向 (クラスベース) | マルチパラダイム (オブジェクト指向 + 関数型など) |
| 実行方式 | ネイティブコード (コンパイル) | 中間コード (JVM上で動作) | 中間コード (CLR上で動作) |
| 実行速度 | 最速 | 高速 (JITコンパイル) | 高速 (JITコンパイル) |
| メモリ管理 | 手動 (malloc/free) | 自動 (ガベージコレクション) | 自動 (ガベージコレクション) |
| プラットフォーム | OSごとにコンパイルが必要 | OSを選ばない (Write Once, Run Anywhere) | Windowsに強いが、現在はクロスプラットフォーム (.NET) |
| 主な用途 | 組み込み、OS、IoT、ドライバ | 大規模Webシステム、Android、金融 | Windowsアプリ、Webアプリ、ゲーム (Unity) |
| ポインタ | あり (直接メモリ操作が可能) | なし (参照という概念のみ) | 基本なし (unsafeブロックでのみ使用可) |
3. 各言語の詳細解説
C言語: 「機械と対話する職人」
1972年に開発された歴史ある言語です。コンピュータのメモリやCPUを直接操作できるため、ハードウェアの性能を極限まで引き出すことができます。
- メリット:
- 爆速: 余計な処理が挟まらないため、実行速度が非常に速い。
- 軽量: リソース(メモリなど)が少ない環境でも動作する。
- デメリット:
- 難易度が高い: 「ポインタ」という概念の理解が必須。
- メモリ管理が手動: 解放し忘れるとメモリリーク(バグ)につながる。
- こんな時に使う: 自動車の制御システム、家電(組み込み)、LinuxなどのOS開発。
Java: 「堅牢なインフラの守護神」
C言語の使いにくさ(メモリ管理など)を解消し、「一度書けば、どこでも動く(Write Once, Run Anywhere)」を実現しました。JVM(Java仮想マシン)という仮想的なコンピュータの上で動きます。
- メリット:
- OSを選ばない: Windowsで作ったプログラムがMacやLinuxでもそのまま動く。
- 安定性: 大規模なシステム開発に耐えうる堅牢な設計。ライブラリが膨大。
- デメリット:
- 記述が長い: コードが長くなりがち(冗長)。
- 起動が少し重い: JVMを立ち上げる分、C言語よりは重い。
- こんな時に使う: 銀行のシステム、大規模ECサイト、Androidアプリ。
C# (シーシャープ): 「進化し続ける現代の武器」
Microsoftが開発。当初はJavaに対抗して作られましたが、現在では独自の進化を遂げ、非常に生産性の高い言語になっています。.NET(ドットネット)というフレームワーク上で動作します。
- メリット:
- 開発効率が高い: Visual Studioという強力な開発ツールがあり、コードを書くのが楽。
- 機能が豊富: LINQ(データ操作)や非同期処理など、現代的な機能が書きやすい。
- ゲーム開発: Unityエンジンの標準言語であるため、ゲーム開発者に大人気。
- デメリット:
- Windows色が強い: 最近はMac/Linuxでも動く(.NET Core以降)が、歴史的にWindows環境がメイン。
- こんな時に使う: 業務アプリ、Webアプリ、VR/AR、ゲーム(Unity)。
4. コード比較:「Hello World」
同じ「画面に文字を表示する」プログラムでも、書き方が異なります。
C言語
#include <stdio.h>
int main() {
printf("Hello, World!\n");
return 0;
}
特徴: シンプルですが、
#includeや、return 0などOSへ返す値を意識する必要があります。
Java
public class Main {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, World!");
}
}
特徴: 全てを「クラス」の中に書く必要があります。
public static void mainという定型文が必須です。
C#
using System;
class Program {
static void Main() {
Console.WriteLine("Hello, World!");
}
}
特徴: Javaに似ていますが、関数名が大文字始まり(PascalCase)であるなど、命名規則に違いがあります。(※最新のC#ではもっと短く書けますが、基本形はこれです)
5. どの言語を選ぶべきか?
あなたの目的によって正解は変わります。
- 「コンピュータの仕組みを深く理解したい」「ロボットやIoTを作りたい」
- 👉 C言語 がおすすめ。
- 「就職に強い言語がいい」「大規模なWebサービスに関わりたい」
- 👉 Java がおすすめ(求人数が非常に多い)。
- 「ゲームを作りたい」「Windows向けのアプリを効率よく作りたい」
- 👉 C# がおすすめ。
PR

コメント