観察者

小説

観察者、長友:
ふと見ると薄暗いビルの隙間を一人の男が歩いている。散歩でもするかの様な足取りである。
そのうち、暗い闇の中、ビルの中にでも入ったのであろうか、姿が見えなくなる。

傍観者、間宮:
夏の熱い盛り、涼むためにビルに入ろうと、扉を探したが見つからなかった。
都会の陽炎に中に消えていったのだろうか。おかしな事もある。
そういえば、このビルには入口がない。
今日もまた、暑い夏である。年々暑くなってくる。地球温暖化であろうか。
特に、コンクリートの照り返しがきつい。

観察者、長友:
超高層ビルから見る風景は、取り立てて目新しいものはない。見慣れれば、ただの景色である。
ここからは色々なものが見える。高倍率カメラで自動焦点の画像を巨大ディスプレイに映す。
カメラは好きなところに焦点を合わせることができる。
高層ビルから見る風景が無機質なディスプレイに映る。

傍観者、間宮:
そのビルには入口はなかった。地上には。
地下から入る構造である。地上にもあってもよいと思うが、地上にはなかった.

観察者、長友:
ビールを飲みながら、夜景を見る。最近夜には、ディスプレイに偶然に映る映像を見る。今日のディスプレイの映像は、灰色のビルである。
のっぺりとした外見の特徴のないビルであるが、どこか気にかかった。
思い出した。
昼間、散歩の時に見た、人が吸い込まれたように感じたビルである。
どれどれ、よく見てみよう。
入り口は...、、無い。
窓は...、、無い。
変わったビルである。

幹事、海老名:
今日は会合である。月一回開催され、会員が集合する。会合の準備は少し面倒である。






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