時の音

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第1章: 驚きの発見

東京の静かな街角、路地を入ると車の喧噪とは離れ、昔ながらの古い家並みが続く。
IT企業に勤める佐々木達也は、緑色の屋根の小さな入り口の骨董店、「時の鍵」で足を止めた。
ショーウインドウに不思議なアイテムを見つける。
何もない空中に蛇口が浮かんでおり、水が流れている。
物理的にあり得ない。
じっと凝視する。原理が分からない。
いつの間にか、店主らしき人物が近くに来ていた。
「分かりますか。」
「・・・」
「水を止めてみましょう」
店主は言って店の奥に入っていった。
蛇口の水の流れが徐々に小さくなる。
「あ、」

水が円筒状になった。
蛇口は透明なパイプで支えられていた。
分かってみれば簡単な仕組みである。
思わず、達也は店主を追って店内に入った。
「いらしゃいませ」
店主は笑いながら、声をかけた。
古びた置き時計を見つめている。
骨董品のようであるが、動いている。
「この時計はどうやって動いているか分かりますか」
「ゼンマイか、電池で動いているんですよね」
店主は、時計を傾け、蓋を開いた。
「中を見てください」
「え、空っぽ!」
中には何も入っていない。

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