「『 $2^{100}$ を 7 で割った余りはいくつか』なんて、実際に計算できるわけがない……」
「整数の証明問題で、どんな風に場合分けして式を立てればいいのかパターンが覚えられない」
高校数学A「整数の性質」の第2回は、複雑な計算を劇的にラクにする最強のツール「合同式(ごうどうしき:$\equiv$)」と、余りに着目した数の分類・証明法を徹底解説します!
「余りの世界」の独自の計算ルールをマスターし、巨大な数の剰余問題や整数の性質の証明をスマートに解きこなしましょう!
1. 余りによる整数の分類と証明の基本
整数を特定の数(法)で割ったときの「余り」に着目して、すべての整数をいくつかのグループに分けて考えるのが整数問題の基本アプローチです。
💡 【余りによる分類の原則】**
自然数 $m$ で割ったときの余りは $0, 1, 2, \dots, m-1$ の $m$ パターンしかありません。
例えば、$3$ で割った余りで分類する場合、すべての整数は次のいずれかの形で表されます:
- $3k$ (3の倍数:余り 0)
- $3k + 1$ (3で割って1余る数:余り 1)
- $3k + 2$ (3で割って2余る数、または $3k-1$ とも表せる:余り 2)
※ 問題の条件に合わせて、この分類を使って「すべての整数」を網羅して証明を行います。
2. 合同式(Congruence)の定義と最強の計算ルール
整数の余りに関する計算を、まるで通常の「等式」のように扱えるようにしたものが合同式です。
💡 【合同式の定義】
整数 $a, b$ を自然数 $m$ で割ったときの余りが等しいとき、$a$ と $b$ は法 $m$ について合同であるいい、次のように表します。
$$\mathbf{a \equiv b \pmod m}$$
(意味:$a – b$ は $m$ の倍数である、または $a$ と $b$ を $m$ で割った余りが等しい)
【合同式の基本性質(足す・掛ける・累乗が自由!)】
$a \equiv b \pmod m$ かつ $c \equiv d \pmod m$ であるとき、次の計算が成り立ちます:
- 和: $a + c \equiv b + d \pmod m$
- 差: $a – c \equiv b – d \pmod m$
- 積: $ac \equiv bd \pmod m$
- 累乗: $a^n \equiv b^n \pmod m$
※ 途中の計算でいつでも $m$ で割った余りに置き換えて数字を小さくしてよいのが、合同式の最大のメリットです!
3. 【実践例題】合同式と余りの応用演習
【例題1】巨大な数の累乗の余りを求める
$2^{100}$ を 7 で割った余りを求めよ。 解答・解説を表示する1. 2 の累乗を法 7 の世界で調べて規則性(周期)を見つける
法を $7$ として、$2$ の累乗の余りを順に計算していきます: $2^1 \equiv 2 \pmod 7$ $2^2 = 4 \equiv 4 \pmod 7$ $2^3 = 8 \equiv 1 \pmod 7$ (★余りが 1 に戻った!) 2. 周期を利用して $2^{100}$ を変形する
$2^3 \equiv 1 \pmod 7$ であるため、$100$ 乗を 3 の倍数を利用して次のように分解します: $$2^{100} = (2^3)^{33} \times 2^1$$3. 合同式に当てはめて計算する $$2^3 \equiv 1 \pmod 7 \text{ なので }$$ $$(2^3)^{33} \equiv 1^{33} \equiv 1 \pmod 7$$ したがって、次のように計算できます: $$2^{100} = (2^3)^{33} \times 2 \equiv 1 \times 2 \equiv 2 \pmod 7$$【答え】 余りは 2
【例題2】整数の性質の証明(余りによる場合分け)
$n$ が整数であるとき、$n^3 – n$ は 6 の倍数であることを証明せよ。 解答・解説を表示する1. 式を因数分解して構造をシンプルにする
与えられた式を因数分解すると、連続する整数の積の形が現れます: $$n^3 – n = n(n^2 – 1) = (n-1)n(n+1)$$ これは「連続する 3 つの整数($n-1, n, n+1$)の積」である。2. 6(=2 かつ 3)の倍数であることを示す 2の倍数であること: 連続する 2 つの整数が含まれているため、その中には必ず偶数が 1 つ以上存在し、積は 2 の倍数になる。 3の倍数であること: 連続する 3 つの整数の中には必ず 3 の倍数が 1 つ含まれるため、積は 3 の倍数になる。 3. 結論をまとめる
互いに素である 2 と 3 の両方の倍数であるため、$(n-1)n(n+1)$ は $2 \times 3 = 6$ の倍数である。
(※もちろん、法 6 の世界で $n \equiv 0, 1, 2, 3, 4, 5 \pmod 6$ の 6 パターンをすべて代入して $0$ になることを確かめる方法でも証明できます!)【答え】 終($n^3 – n$ は 6 の倍数である)
4. まとめ
- 余りによる分類: $3$ で割るなら $3k, 3k+1, 3k+2$ のように、すべての整数をもれなく場合分けする!
- 合同式($\equiv$): 「余りの世界」での計算ルール。途中計算でいつでも小さな余りに置き換えてOK!
- 累乗の計算: 合同式を使うことで、$2^{100}$ のような巨大な数の余りも「周期性」を見つけて一発で求められる!
- 因数分解の活用: 整数の証明問題では、因数分解して「連続する整数の積」の形に持ち込むのが王道!
整数の割り算の余りと合同式の便利な計算テクニックがすっきりと整理できました!
次回は「【数A:第33回】一次不定方程式の整数解|整数の性質③($ax+by=c$ の解き方と応用)」を解説します!
コメント