【数Ⅰ:第21回】90°〜180°の三角比と単位円(鈍角への拡張をわかりやすく解説)

高校数学

直角三角形の定式だと、90°を超える鈍角(90°〜180°)の三角比なんて考えられなくない?」

「sin, cos, tan のプラスとマイナス(符号)がごちゃごちゃになって覚えるのが大変…」

これまで学習してきた $\sin, \cos, \tan$ は、直角三角形(鋭角 $0^\circ < \theta < 90^\circ$)における「辺の長さの比」でした。

しかし、ここから三角比の定義を「単位円(半径1の円)」を使った新しい見方にアップデートします!

単位円を使うことで、$90^\circ$ を超える鈍角や $0^\circ, 90^\circ, 180^\circ$ といった特別な角度の三角比もスッキリ理解できるようになります。

今回は、単位円を使った三角比の再定義と、符号の覚え方のコツを徹底解説します!

1. 直角三角形から「単位円」へのアップデート

直角三角形では $90^\circ$ 以上の角を作ることができません。そこで数学では、座標平面上に半径1の円(=単位円)を描いて三角比を再定義します。

原点 $\text{O}$ を中心とする半径 $1$ の半円を描き、$x$ 軸の正の部分から反時計回りに角度 $\theta$ だけ回転させた動径(半径)と半円の交点を $\text{P}(x, y)$ とします。

          y
          |   P(x, y) = (cos θ, sin θ)
          |  *
          | /| 
   -------+/------- x  (半径 1)
        O |  |
          |

このとき、$\theta$ の三角比を次のように座標で定義し直します!

💡 単位円による三角比の定義

  • $\sin \theta = y$ 座標 (高さ)
  • $\cos \theta = x$ 座標 (横の位置)
  • $\tan \theta = \frac{y}{x} = \text{直線 OP の傾き}$

この定義に切り替えると、直角三角形が作れない $90^\circ$ 以上の角度(鈍角)でも、点 $\text{P}$ の座標を読むだけで $\sin, \cos, \tan$ が決まります!

2. 鈍角(90°〜180°)での三角比の符号(+ / −)

点 $\text{P}(x, y)$ が第2象限($x < 0, y > 0$ のエリア、つまり鈍角の位置)に移動したときの符号を確認してみましょう。

  • $y$ 座標($\sin \theta$): $x$ 軸より上側にあるので 常にプラス(正)
  • $x$ 座標($\cos \theta$): $y$ 軸より左側に行くので マイナス(負)に変わる!
  • 傾き($\tan \theta$): 右下がりの直線になるので マイナス(負)に変わる!

符号のまとめ(

符号のまとめ( $0^\circ \leqq \theta \leqq 180^\circ$ )

^\circ \leqq \theta \leqq 180^\circ$ )

角度の範囲鋭角 (0∘<θ<90∘)鈍角 (90∘<θ<180∘)
$\sin \theta$ ($y$座標)+ (プラス)+ (プラス)
$\cos \theta$ ($x$座標)+ (プラス)マイナス (負)
$\tan \theta$ (傾き)+ (プラス)マイナス (負)

🔥 覚え方の合言葉

鈍角(90°〜180°)では、「$\sin$ だけがプラス!」 と覚えましょう。

$\cos$ と $\tan$ は鈍角になるとマイナスに変身します。

3. 端っこの角度(0°, 90°, 180°)の三角比

直角三角形では絶対に考えられなかった $0^\circ, 90^\circ, 180^\circ$ も、単位円上の点 $\text{P}$ の座標を読むだけで一発で求まります!

  • $\theta = 0^\circ$ のとき $\to$ 点 $\text{P}$ の座標は $(1, 0)$
    • $\sin 0^\circ = 0$, $\cos 0^\circ = 1$, $\tan 0^\circ = 0$
  • $\theta = 90^\circ$ のとき $\to$ 点 $\text{P}$ の座標は $(0, 1)$
    • $\sin 90^\circ = 1$, $\cos 90^\circ = 0$, $\tan 90^\circ = \text{(定義されない / なし)}$※ $x = 0$ で割ることはできない(垂直な直線の傾きは存在しない)ため!
  • $\theta = 180^\circ$ のとき $\to$ 点 $\text{P}$ の座標は $(-1, 0)$
    • $\sin 180^\circ = 0$, $\cos 180^\circ = -1$, $\tan 180^\circ = 0$

4. 【完全版】0°〜180° の三角比一覧表

絶対に暗記・復元できるようにしておきたい主要な角度の三角比一覧です。

θ0∘30∘45∘60∘90∘120∘135∘150∘180∘
$\sin \theta$$0$$\frac{1}{2}$$\frac{1}{\sqrt{2}}$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{1}{\sqrt{2}}$$\frac{1}{2}$$0$
$\cos \theta$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{1}{\sqrt{2}}$$\frac{1}{2}$$0$$-\frac{1}{2}$$-\frac{1}{\sqrt{2}}$$-\frac{\sqrt{3}}{2}$$-1$
$\tan \theta$$0$$\frac{1}{\sqrt{3}}$$1$$\sqrt{3}$なし$-\sqrt{3}$$-1$$-\frac{1}{\sqrt{3}}$$0$

💡 表の対称性に注目!

  • $\sin$ の値は $90^\circ$ を軸にして**左右対称(すべてプラス)**です!
  • $\cos$ と $\tan$ の値は $90^\circ$ を境にして**符号が反転(マイナスがつく)**します!

5. 【例題】鈍角の三角比を求める・方程式を解く

【例題1】鈍角の三角比の値を求める

$\theta = 135^\circ$ のとき、$\sin 135^\circ, \cos 135^\circ, \tan 135^\circ$ の値を求めよ。

解答・解説

  1. 単位円上で $135^\circ$ の動径を描くと、$180^\circ – 135^\circ = 45^\circ$ の直角二等辺三角形が左側に現れます。
  2. 座標を読み取ると $\text{P}\left(-\frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{\sqrt{2}}\right)$ となります。
  • $\sin 135^\circ = \mathbf{\frac{1}{\sqrt{2}}}$ ($y$ 座標・プラス)
  • $\cos 135^\circ = \mathbf{-\frac{1}{\sqrt{2}}}$ ($x$ 座標・マイナス)
  • $\tan 135^\circ = \mathbf{-1}$ (傾き・マイナス)

【例題2】三角比の方程式を解く

$0^\circ \leqq \theta \leqq 180^\circ$ のとき、$\sin \theta = \frac{1}{2}$ を満たす $\theta$ を求めよ。

解答・解説

  1. $\sin \theta$ は単位円上の $y$ 座標 です。
  2. $y = \frac{1}{2}$ となる横線を単位円に引くと、交点が 2箇所 できます。
  3. 右側の交点は $30^\circ$、左側の交点は $180^\circ – 30^\circ = 150^\circ$ となります。

【答え】 $\theta = 30^\circ, 150^\circ$

⚠️ 注意!

$\sin \theta = c \quad (c > 0)$ の方程式では、答えが**鋭角と鈍角の2つ(ペア)**出てくることが非常に多いので見落とさないようにしましょう!

6. まとめ

  • 90°以上の角度は「単位円(半径1の円)」で考える!
    • $\sin \theta$ = $y$ 座標
    • $\cos \theta$ = $x$ 座標
    • $\tan \theta$ = 傾き
  • 鈍角(90°〜180°)では $\sin$ だけがプラスで、$\cos$ と $\tan$ はマイナス!
  • $\sin \theta = c$ の方程式は 答えが2つ(鋭角と鈍角) 存在する場合がある!

次回は、180°−θ や 90°−θ の三角比をスッキリまとめる超便利公式「第22回:三角比の拡張・補角の公式(180°−θ の三角比)」を解説します!

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