「分散の公式って、なんで2乗するんだっけ?」
「計算途中で偏差の合計を求めたら0になってしまって、どう計算を進めればいいか分からない…」
前回の「四分位数と箱ひげ図」ではデータの散らばりを視覚的に捉える方法を学びました。
今回は、すべてのデータ値を使ってデータのばらつき具合を『数値』で精密に表す方法である「偏差」「分散(ぶんさん)」「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」を学習します!
「偏差の和は必ず0になる」という記述対策に必須の性質から、共通テスト・定期テストの計算スピードを上げるための「2乗の平均 $-$ 平均の2乗」公式まで、わかりやすく解説します。
1. 「偏差(へんさ)」とは?〜絶対に押さえるべき性質〜
分散を理解するための第一歩が「偏差」です。
💡 偏差の定義
偏差 $=$ 各データ値 $-$ 平均値
「それぞれのデータが、平均値からどれくらい離れているか」を示す値です。平均より大きければ正(プラス)、小さければ負(マイナス)の値になります。
【重要】偏差の合計は必ず「0」になる!
データの散らばり具合を1つの数値で表したいとき、「全員の偏差を足して平均すればいいのでは?」と考えたくなります。
しかし、偏差の合計(和)は常に 0 になってしまうという決定的な性質があります。
【例】平均点 60 点のテスト(3人の生徒:50点, 60点, 70点)
・50点の偏差:50 - 60 = -10
・60点の偏差:60 - 60 = 0
・70点の偏差:70 - 60 = +10
偏差の合計 = (-10) + 0 + (+10) = 0
プラスとマイナスが打ち消し合って 0 になるため、「偏差の単純な合計」は散らばりの指標として使えません。
2. プラスに変える工夫!「分散」と「標準偏差」
「プラスとマイナスの打ち消し合い」を防ぐため、「偏差を2乗してから平均をとる」という計算を行います。これが分散です。
① 分散( $s^2$ )の定義
$$s^2 = \frac{(\text{偏差}_1)^2 + (\text{偏差}_2)^2 + \cdots + (\text{偏差}_n)^2}{n}$$
- メリット:2乗することで全ての値をプラスにできる。
- デメリット:単位も2乗されてしまう(例:点数「点」の2乗で「点$^2$」となり、元のデータと単位が揃わない)。
② 標準偏差( $s$ )の定義
分散にかかった「2乗」を取り除き、元のデータと単位を揃えたものが標準偏差です。
$$s = \sqrt{\text{分散}} = \sqrt{s^2}$$
数値が大きいほど「データが平均のまわりに広く散らばっている」、数値が小さいほど「データが平均の近くに固まっている」ことを示します。
3. 分散を求める2つの公式(基本と裏ワザ)
分散の計算には以下の2パターンが存在します。問題の数値に応じて使い分けましょう!
1. 定義通り計算する基本公式
$$s^2 = \frac{1}{n} \sum (x – \bar{x})^2$$
(各データの偏差を求めて、2乗して平均する)
👉 平均値が綺麗に「整数」になるときに有効!
2. 2乗の平均から求める公式(超頻出!)
$$\text{分散} = (\text{データの2乗の平均}) – (\text{平均の2乗})$$
$$s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2$$
👉 平均値が「分数」や「小数」になったときに圧倒的に計算が楽!
4. 【実践例題】分散と標準偏差を求めてみよう
実際に例題を解いて解法プロセスを確認しましょう。
【例題】
次のデータは、5人の生徒の数学の小テストの得点(点)である。
$3, \quad 5, \quad 7, \quad 8, \quad 12$
(1) 平均値 $\bar{x}$ を求めよ。
(2) 偏差の表を作成し、分散 $s^2$ と標準偏差 $s$ を求めよ。
解答・解説
(1) 平均値を求める
$$\bar{x} = \frac{3 + 5 + 7 + 8 + 12}{5} = \frac{35}{5} = \mathbf{7 \text{点}}$$
(2) 偏差と分散・標準偏差を求める
平均値が整数($7$)なので、基本定義(偏差の2乗の平均)で計算します。表を作成すると計算ミスを防げます。
| 生徒 | 得点 x | 偏差 (x−xˉ) | 偏差の2乗 (x−xˉ)2 |
| A | 3 | $3 – 7 = -4$ | 16 |
| B | 5 | $5 – 7 = -2$ | 4 |
| C | 7 | $7 – 7 = 0$ | 0 |
| D | 8 | $8 – 7 = 1$ | 1 |
| E | 12 | $12 – 7 = 5$ | 25 |
| 合計 | 35 | 0 (※検算) | 46 |
- 偏差の合計が 0 になっていることを確認(検算になります)。
- 偏差の2乗の平均(分散 $s^2$)を計算:$$s^2 = \frac{16 + 4 + 0 + 1 + 25}{5} = \frac{46}{5} = \mathbf{9.2}$$
- 標準偏差 $s$ を計算:$$s = \sqrt{9.2} \approx \mathbf{3.03 \text{点}}$$
【答え】 分散 $s^2 = 9.2$、標準偏差 $s = \sqrt{9.2}$(約 $3.03$ 点)
5. テストで差がつく!計算をスピードアップするコツ
① 平均値が整数のとき $\implies$ 「偏差の2乗の平均」
偏差が整数になるため、表を書いて足し合わせるのが一番確実です。
② 平均値が小数・分数のとき $\implies$ 「2乗の平均 $-$ 平均の2乗」
平均値が $6.4$ のような小数の場合、$(3 – 6.4)^2 = (-3.4)^2 = 11.56$ のように小数計算を繰り返すと計算ミスが多発します。
その場合は、まず元のデータをすべて2乗した値($3^2=9, 5^2=25, \dots$)の平均を出し、そこから $(\text{平均})^2$ を引き算する公式2を活用しましょう!
6. まとめ
- 偏差 $=$ 各データ $-$ 平均値(和は必ず0になる!)
- 分散($s^2$) $=$ 偏差の2乗の平均(単位は2乗される)
- 標準偏差($s$) $= \sqrt{\text{分散}}$(単位を元に戻したもの)
- 計算のショートカット: $\text{分散} = (\text{データの2乗の平均}) – (\text{平均の2乗})$
次回は、2つのデータの関係性を表す「第30回:共分散(きょうぶんさん)と相関係数(そうかんけいすう)」について解説します!
参考PR
- 安さ&予備校級の講義動画なら 👉 [スタディサプリ高校講座]
- 定期テスト&推薦入試対策なら 👉 [進研ゼミ高校講座]
- 難関大突破&記述・添削なら 👉 [Z会の通信教育]
コメント