【数Ⅰ:第29回】分散と標準偏差の計算方法・偏差の和が0になる重要性質を解説!

高校数学

「分散の公式って、なんで2乗するんだっけ?」

「計算途中で偏差の合計を求めたら0になってしまって、どう計算を進めればいいか分からない…」

前回の「四分位数と箱ひげ図」ではデータの散らばりを視覚的に捉える方法を学びました。

今回は、すべてのデータ値を使ってデータのばらつき具合を『数値』で精密に表す方法である「偏差」「分散(ぶんさん)」「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」を学習します!

「偏差の和は必ず0になる」という記述対策に必須の性質から、共通テスト・定期テストの計算スピードを上げるための「2乗の平均 $-$ 平均の2乗」公式まで、わかりやすく解説します。

1. 「偏差(へんさ)」とは?〜絶対に押さえるべき性質〜

分散を理解するための第一歩が「偏差」です。

💡 偏差の定義

偏差 $=$ 各データ値 $-$ 平均値

「それぞれのデータが、平均値からどれくらい離れているか」を示す値です。平均より大きければ正(プラス)、小さければ負(マイナス)の値になります。

【重要】偏差の合計は必ず「0」になる!

データの散らばり具合を1つの数値で表したいとき、「全員の偏差を足して平均すればいいのでは?」と考えたくなります。

しかし、偏差の合計(和)は常に 0 になってしまうという決定的な性質があります。

【例】平均点 60 点のテスト(3人の生徒:50点, 60点, 70点)
・50点の偏差:50 - 60 = -10
・60点の偏差:60 - 60 =  0
・70点の偏差:70 - 60 = +10

偏差の合計 = (-10) + 0 + (+10) = 0

プラスとマイナスが打ち消し合って 0 になるため、「偏差の単純な合計」は散らばりの指標として使えません

2. プラスに変える工夫!「分散」と「標準偏差」

「プラスとマイナスの打ち消し合い」を防ぐため、「偏差を2乗してから平均をとる」という計算を行います。これが分散です。

① 分散( $s^2$ )の定義

$$s^2 = \frac{(\text{偏差}_1)^2 + (\text{偏差}_2)^2 + \cdots + (\text{偏差}_n)^2}{n}$$

  • メリット:2乗することで全ての値をプラスにできる。
  • デメリット:単位も2乗されてしまう(例:点数「点」の2乗で「点$^2$」となり、元のデータと単位が揃わない)。

② 標準偏差( $s$ )の定義

分散にかかった「2乗」を取り除き、元のデータと単位を揃えたもの標準偏差です。

$$s = \sqrt{\text{分散}} = \sqrt{s^2}$$

数値が大きいほど「データが平均のまわりに広く散らばっている」、数値が小さいほど「データが平均の近くに固まっている」ことを示します。

3. 分散を求める2つの公式(基本と裏ワザ)

分散の計算には以下の2パターンが存在します。問題の数値に応じて使い分けましょう!

1. 定義通り計算する基本公式

$$s^2 = \frac{1}{n} \sum (x – \bar{x})^2$$

(各データの偏差を求めて、2乗して平均する)

👉 平均値が綺麗に「整数」になるときに有効!

2. 2乗の平均から求める公式(超頻出!)

$$\text{分散} = (\text{データの2乗の平均}) – (\text{平均の2乗})$$

$$s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2$$

👉 平均値が「分数」や「小数」になったときに圧倒的に計算が楽!

4. 【実践例題】分散と標準偏差を求めてみよう

実際に例題を解いて解法プロセスを確認しましょう。

【例題】

次のデータは、5人の生徒の数学の小テストの得点(点)である。

$3, \quad 5, \quad 7, \quad 8, \quad 12$

(1) 平均値 $\bar{x}$ を求めよ。

(2) 偏差の表を作成し、分散 $s^2$ と標準偏差 $s$ を求めよ。

解答・解説

(1) 平均値を求める

$$\bar{x} = \frac{3 + 5 + 7 + 8 + 12}{5} = \frac{35}{5} = \mathbf{7 \text{点}}$$

(2) 偏差と分散・標準偏差を求める

平均値が整数($7$)なので、基本定義(偏差の2乗の平均)で計算します。表を作成すると計算ミスを防げます。

生徒得点 x偏差 (x−xˉ)偏差の2乗 (x−xˉ)2
A3$3 – 7 = -4$16
B5$5 – 7 = -2$4
C7$7 – 7 = 0$0
D8$8 – 7 = 1$1
E12$12 – 7 = 5$25
合計350 (※検算)46
  1. 偏差の合計が 0 になっていることを確認(検算になります)。
  2. 偏差の2乗の平均(分散 $s^2$)を計算:$$s^2 = \frac{16 + 4 + 0 + 1 + 25}{5} = \frac{46}{5} = \mathbf{9.2}$$
  3. 標準偏差 $s$ を計算:$$s = \sqrt{9.2} \approx \mathbf{3.03 \text{点}}$$

【答え】 分散 $s^2 = 9.2$、標準偏差 $s = \sqrt{9.2}$(約 $3.03$ 点)

5. テストで差がつく!計算をスピードアップするコツ

① 平均値が整数のとき $\implies$ 「偏差の2乗の平均」

偏差が整数になるため、表を書いて足し合わせるのが一番確実です。

② 平均値が小数・分数のとき $\implies$ 「2乗の平均 $-$ 平均の2乗」

平均値が $6.4$ のような小数の場合、$(3 – 6.4)^2 = (-3.4)^2 = 11.56$ のように小数計算を繰り返すと計算ミスが多発します。

その場合は、まず元のデータをすべて2乗した値($3^2=9, 5^2=25, \dots$)の平均を出し、そこから $(\text{平均})^2$ を引き算する公式2を活用しましょう!

6. まとめ

  • 偏差 $=$ 各データ $-$ 平均値(和は必ず0になる!
  • 分散($s^2$) $=$ 偏差の2乗の平均(単位は2乗される)
  • 標準偏差($s$) $= \sqrt{\text{分散}}$(単位を元に戻したもの)
  • 計算のショートカット: $\text{分散} = (\text{データの2乗の平均}) – (\text{平均の2乗})$

次回は、2つのデータの関係性を表す「第30回:共分散(きょうぶんさん)と相関係数(そうかんけいすう)」について解説します!

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