「『期待値』って言葉は聞くけれど、具体的にどうやって計算するの?」
「確率変数の分布表(確率分布表)の書き方がよく分からない……」
場合の数から始まった「場合の数と確率」単元も、いよいよ今回が最終回です!
最後を締めくくる「期待値(Expected Value)」は、あるゲームや試行を行ったときに「平均してどれくらいの値(得点や賞金など)が得られると期待できるか」を表す超実用的な概念です。
今回は、期待値の基礎定義から計算手順(確率分布表の作成)、そしてテスト・共通テスト頻出の「宝くじやゲームの得点の計算問題」まで分かりやすく徹底解説します!
1. 期待値(Expected Value)とは?
期待値とは、簡単に言えば「1回あたりの平均値(期待できる見込みの値)」のことです。
たとえば、サイコロを1回投げたときに出る目の平均(期待値)はいくらになるでしょうか?
「1から6の中間だから 3.5 かな?」と直感的に思った方、大正解です!
この「3.5」という値を数学的に計算するのが期待値の考え方です。
2. 期待値の定義と計算公式
取り得る値を x1,x2,…,xn とし、それぞれの値をとる確率を p1,p2,…,pn とします。
💡 【期待値の計算公式】
期待値 E は、「(取る値)×(その値になる確率)」の総和(合計)で求められます。
$$\mathbf{E = x_1 p_1 + x_2 p_2 + \dots + x_n p_n}$$
※ 確率の合計は必ず $p_1 + p_2 + \dots + p_n = 1$ になります。
【ステップ】期待値を求める3手順
期待値の問題を解くときは、以下の「確率分布表(表)」を作成するのが絶対の鉄則です!
【確率分布表の基本形】
| 値 (x) | x₁ | x₂ | … | xₙ | 計 |
| 確率 (p) | p₁ | p₂ | … | pₙ | 1 |
- 取る値(x)のバリエーションをすべて書き出す
- それぞれの値になる確率(p)を計算する(合計が 1 になるか確認!)
- 「縦に掛け算」して、それらを「横にすべて足し合わせる」
💡【例】1つのサイコロの目の期待値
1つのサイコロを投げたときに出る目の期待値を、公式を使って計算してみましょう。
- 各目の出る確率:すべて $\dfrac{1}{6}$
$$E = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} + 3 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{1}{6} + 5 \times \frac{1}{6} + 6 \times \frac{1}{6}$$
$$E = \frac{1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6}{6} = \frac{21}{6} = \mathbf{3.5}$$
【答え】 3.5
3. 【実践例題】テスト・入試で出る計算パターン
【例題1】ゲームの得点と期待値(基本)
赤玉 3個、白玉 2個が入った袋から同時に 2個の玉を取り出す。 取り出した赤玉 1個につき 100点、白玉 1個につき 50点が得られるゲームを行う。 このゲームで得られる得点の期待値を求めよ。
解答・解説
1.取り出し方の総数 $N$ を求める
5個から 2個を選ぶ組み合わせです。
$$N = _5C_2 = 10 \text{通り}$$
2.得点パターンとそれぞれの確率を求める
取り出す赤玉の個数は「0個」「1個」「2個」の 3パターン あります。
- (i) 赤0個(白2個)の場合:得点 100点 ($50 \times 2$)確率: $\dfrac{_3C_0 \times _2C_2}{10} = \dfrac{1}{10}$
- (ii) 赤1個・白1個の場合:得点 150点 ($100 \times 1 + 50 \times 1$)確率: $\dfrac{_3C_1 \times _2C_1}{10} = \dfrac{3 \times 2}{10} = \dfrac{6}{10}$
- (iii) 赤2個(白0個)の場合:得点 200点 ($100 \times 2$)確率: $\dfrac{_3C_2 \times _2C_0}{10} = \dfrac{3}{10}$
3.確率分布表を作成する
| 得点 x (点) | 100 | 150 | 200 | 計 |
| 確率 $p$ | $\dfrac{1}{10}$ | $\dfrac{6}{10}$ | $\dfrac{3}{10}$ | $\dfrac{10}{10} = 1$ |
4.(値)×(確率)を計算して合計する$$E = 100 \times \frac{1}{10} + 150 \times \frac{6}{10} + 200 \times \frac{3}{10}$$$$E = \frac{100 + 900 + 600}{10} = \frac{1600}{10} = \mathbf{160 \text{点}}$$
【答え】 $160 \text{点}$
【例題2】宝くじの損得(応用)
1枚 200円 で販売されている宝くじがある。 1000枚 のうち、
- 1等 10000円 が 1本
- 2等 1000円 が 10本
- 3等 100円 が 100本
が入っている(はずれは 889本で 0円)。 1枚あたりの賞金の期待値を求めよ。また、この宝くじを買うのは「得」か「損」か判定せよ。
解答・解説
1.賞金ごとの確率を整理して表にする
| 賞金 x (円) | 10000 | 1000 | 100 | 0 | 計 |
| 本数 | 1本 | 10本 | 100本 | 889本 | 1000本 |
| 確率 $p$ | $\dfrac{1}{1000}$ | $\dfrac{10}{1000}$ | $\dfrac{100}{1000}$ | $\dfrac{889}{1000}$ | $1$ |
2.期待値を計算する
$$E = 10000 \times \frac{1}{1000} + 1000 \times \frac{10}{1000} + 100 \times \frac{100}{1000} + 0 \times \frac{889}{1000}$$$$E = \frac{10000 + 10000 + 10000 + 0}{1000} = \frac{30000}{1000} = \mathbf{30 \text{円}}$$
3.損得を判定する
- くじの購入価格: 200円
- 賞金の期待値: 30円
【答え】 期待値:30円 / 損得:損である
4. まとめと「場合の数と確率」全体の総復習
期待値のポイント
- 期待値=「1回あたりの見込み平均値」
- 計算の手順:
- 値のパターンをすべて出し、確率を求める
- 確率分布表(表)を作る
- 「(値)×(確率)」を計算してすべて足し合わせる!
🎉 「場合の数と確率」単元 完結!
全45回にわたって解説してきた「場合の数と確率」の主要テーマを振り返っておきましょう。
- 基本のカウント:樹形図・和の法則・積の法則
- 順列(P):一列に並べる・円順列・重複順列・同じものを含む順列
- 組み合わせ(C):選ぶだけ・組分け・二項定理
- 確率の基礎:同様に確からしい・区別の徹底・余事象(1−P)
- 確率の応用:加法定理・反復試行(nCrpr(1−p)n−r)・条件付き確率(PA(B))・期待値
場合の数と確率は、「解法パターン(型)の引き出しをどれだけ持っているか」で得点力が決まる単元です。
解き方に迷ったときは、ぜひこれまでの記事に戻って復習してみてくださいね!
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