【数Ⅰ:第45回】期待値の定義と計算方法|ゲームの得点や宝くじの例題で分かりやすく解説!

数学Ⅰ

「『期待値』って言葉は聞くけれど、具体的にどうやって計算するの?」

「確率変数の分布表(確率分布表)の書き方がよく分からない……」

場合の数から始まった「場合の数と確率」単元も、いよいよ今回が最終回です!

最後を締めくくる「期待値(Expected Value)」は、あるゲームや試行を行ったときに「平均してどれくらいの値(得点や賞金など)が得られると期待できるか」を表す超実用的な概念です。

今回は、期待値の基礎定義から計算手順(確率分布表の作成)、そしてテスト・共通テスト頻出の「宝くじやゲームの得点の計算問題」まで分かりやすく徹底解説します!

1. 期待値(Expected Value)とは?

期待値とは、簡単に言えば「1回あたりの平均値(期待できる見込みの値)」のことです。

たとえば、サイコロを1回投げたときに出る目の平均(期待値)はいくらになるでしょうか?

「1から6の中間だから 3.5 かな?」と直感的に思った方、大正解です!

この「3.5」という値を数学的に計算するのが期待値の考え方です。

2. 期待値の定義と計算公式

取り得る値を x1​,x2​,…,xn​ とし、それぞれの値をとる確率を p1​,p2​,…,pn​ とします。

💡 【期待値の計算公式】

期待値 E は、「(取る値)×(その値になる確率)」の総和(合計)で求められます。

$$\mathbf{E = x_1 p_1 + x_2 p_2 + \dots + x_n p_n}$$

※ 確率の合計は必ず $p_1 + p_2 + \dots + p_n = 1$ になります。

【ステップ】期待値を求める3手順

期待値の問題を解くときは、以下の「確率分布表(表)」を作成するのが絶対の鉄則です!

【確率分布表の基本形】

値 (x) x₁ x₂xₙ
確率 (p)p₁ p₂ pₙ1
  1. 取る値(x)のバリエーションをすべて書き出す
  2. それぞれの値になる確率(p)を計算する(合計が 1 になるか確認!)
  3. 「縦に掛け算」して、それらを「横にすべて足し合わせる」

💡【例】1つのサイコロの目の期待値

1つのサイコロを投げたときに出る目の期待値を、公式を使って計算してみましょう。

  • 各目の出る確率:すべて $\dfrac{1}{6}$

$$E = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} + 3 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{1}{6} + 5 \times \frac{1}{6} + 6 \times \frac{1}{6}$$

$$E = \frac{1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6}{6} = \frac{21}{6} = \mathbf{3.5}$$

【答え】 3.5

3. 【実践例題】テスト・入試で出る計算パターン

【例題1】ゲームの得点と期待値(基本)

赤玉 3個、白玉 2個が入った袋から同時に 2個の玉を取り出す。 取り出した赤玉 1個につき 100点、白玉 1個につき 50点が得られるゲームを行う。 このゲームで得られる得点の期待値を求めよ。

解答・解説

1.取り出し方の総数 $N$ を求める
  5個から 2個を選ぶ組み合わせです。
  $$N = _5C_2 = 10 \text{通り}$$

2.得点パターンとそれぞれの確率を求める
  取り出す赤玉の個数は「0個」「1個」「2個」の 3パターン あります。

  • (i) 赤0個(白2個)の場合:得点 100点 ($50 \times 2$)確率: $\dfrac{_3C_0 \times _2C_2}{10} = \dfrac{1}{10}$
  • (ii) 赤1個・白1個の場合:得点 150点 ($100 \times 1 + 50 \times 1$)確率: $\dfrac{_3C_1 \times _2C_1}{10} = \dfrac{3 \times 2}{10} = \dfrac{6}{10}$
  • (iii) 赤2個(白0個)の場合:得点 200点 ($100 \times 2$)確率: $\dfrac{_3C_2 \times _2C_0}{10} = \dfrac{3}{10}$

3.確率分布表を作成する

得点 x (点)100150200
確率 $p$$\dfrac{1}{10}$$\dfrac{6}{10}$$\dfrac{3}{10}$$\dfrac{10}{10} = 1$

4.(値)×(確率)を計算して合計する$$E = 100 \times \frac{1}{10} + 150 \times \frac{6}{10} + 200 \times \frac{3}{10}$$$$E = \frac{100 + 900 + 600}{10} = \frac{1600}{10} = \mathbf{160 \text{点}}$$

    【答え】 $160 \text{点}$

    【例題2】宝くじの損得(応用)

    1枚 200円 で販売されている宝くじがある。 1000枚 のうち、

    • 1等 10000円 が 1本
    • 2等 1000円 が 10本
    • 3等 100円 が 100本

    が入っている(はずれは 889本で 0円)。 1枚あたりの賞金の期待値を求めよ。また、この宝くじを買うのは「得」か「損」か判定せよ。

    解答・解説

    1.賞金ごとの確率を整理して表にする

    賞金 x (円)1000010001000
    本数1本10本100本889本1000本
    確率 $p$$\dfrac{1}{1000}$$\dfrac{10}{1000}$$\dfrac{100}{1000}$$\dfrac{889}{1000}$$1$

    2.期待値を計算する
    $$E = 10000 \times \frac{1}{1000} + 1000 \times \frac{10}{1000} + 100 \times \frac{100}{1000} + 0 \times \frac{889}{1000}$$$$E = \frac{10000 + 10000 + 10000 + 0}{1000} = \frac{30000}{1000} = \mathbf{30 \text{円}}$$

    3.損得を判定する

    • くじの購入価格: 200円
    • 賞金の期待値: 30円
    期待値(30円)が購入価格(200円)を下回っているため、1枚買うごとに平均して 170円 損をする計算になります。

      【答え】 期待値:30円 / 損得:損である

      4. まとめと「場合の数と確率」全体の総復習

      期待値のポイント

      • 期待値=「1回あたりの見込み平均値」
      • 計算の手順
        1. 値のパターンをすべて出し、確率を求める
        2. 確率分布表(表)を作る
        3. 「(値)×(確率)」を計算してすべて足し合わせる!

      🎉 「場合の数と確率」単元 完結!

      全45回にわたって解説してきた「場合の数と確率」の主要テーマを振り返っておきましょう。

      1. 基本のカウント:樹形図・和の法則・積の法則
      2. 順列(P):一列に並べる・円順列・重複順列・同じものを含む順列
      3. 組み合わせ(C):選ぶだけ・組分け・二項定理
      4. 確率の基礎:同様に確からしい・区別の徹底・余事象(1−P)
      5. 確率の応用:加法定理・反復試行(n​Cr​pr(1−p)n−r)・条件付き確率(PA​(B))・期待値

      場合の数と確率は、「解法パターン(型)の引き出しをどれだけ持っているか」で得点力が決まる単元です。

      解き方に迷ったときは、ぜひこれまでの記事に戻って復習してみてくださいね!

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