【数Ⅰ:第30回】共分散と相関係数の計算方法・散布図との関係をわかりやすく解説!

高校数学

「共分散の公式って複雑で覚えにくい…」

「相関係数がなぜ -1 から 1 の間に収まるのか、どう読み取ればいいのか分からない」

これまで学習してきた平均値、分散、標準偏差は、すべて「1つのデータ(変数)」の性質を表すものでした。

今回学習する「共分散(きょうぶんさん)」「相関係数(そうかんけいすう)」は、「2つのデータ(変数 $x, y$)の間にどのような関係(相関関係)があるか」を数値でクリアに捉えるための強力なツールです!

共通テストや定期テストでは、散布図との照らし合わせや表を使った計算問題が頻出します。

今回は、共分散と相関係数の本質的な意味から計算手順、散布図との対応まで丁寧に解説します!

1. 2つの変数の関係を表す「散布図」と「相関」

2つの変数 $x, y$(例:数学の点数と物理の点数、気温と清涼飲料水の売上など)のデータを平面上の点 $(x, y)$ としてプロットしたグラフを散布図(さんぷず)と呼びます。

散布図を描いたときに見られる2変数の傾向(相関関係)には、主に次の3パターンがあります。

  • 正の相関: $x$ が増えると、$y$ も増える傾向がある(右上がりの分布)
  • 負の相関: $x$ が増えると、$y$ は減る傾向がある(右下がりの分布)
  • 相関がない: $x$ と $y$ の間に関係性が見られない(バラバラに分布)

この「関係の強さ」を客観的に数値化したものが、次に紹介する共分散相関係数です。

2. 偏差の積の平均「共分散( $s_{xy}$ )」とは?

2つの変数 $x, y$ の偏差(平均からのズレ)を掛け合わせたものの平均値を共分散(きょうぶんさん)と呼びます。

💡 共分散( $s_{xy}$ )の定義

$$s_{xy} = \frac{(x_1 – \bar{x})(y_1 – \bar{y}) + (x_2 – \bar{x})(y_2 – \bar{y}) + \dots + (x_n – \bar{x})(y_n – \bar{y})}{n}$$

【言葉でのイメージ】

「($x$ の偏差)$\times$($y$ の偏差)の平均値」

なぜ「偏差の掛け算」で相関がわかるの?

散布図を平均値 $(\bar{x}, \bar{y})$ を中心に4つのエリア(象限)に分けて考えてみましょう。

              y
     (第2象限)|(第1象限)
     xの偏差- | xの偏差+
     yの偏差+ | yの偏差+
     (積は負) | (積は正)  ★正の相関で多くなるエリア
   -----------+----------- x (xの平均)
     (第3象限)|(第4象限)
     xの偏差- | xの偏差+
     yの偏差- | yの偏差-
     (積は正) | (積は負)
              |
           (yの平均)
  1. 正の相関のとき:データが第1象限(プラス$\times$プラス=正)と第3象限(マイナス$\times$マイナス=)に多く集まります。そのため、積の平均(共分散)は「正の値」になります。
  2. 負の相関のとき:データが第2象限(マイナス$\times$プラス=負)と第4象限(プラス$\times$マイナス=)に多く集まります。そのため、積の平均(共分散)は「負の値」になります。

⚠️ 共分散のデメリット

共分散は単位(例:$\text{cm} \times \text{kg}$)に依存するため、「数値がどれくらい大きければ相関が強いのか」が判断しにくいという弱点があります。これを克服するのが相関係数です!

3. 相関の強さを揃えた指標「相関係数( $r$ )」

共分散をそれぞれの標準偏差($s_x, s_y$)で割ることで、単位の影響を取り除き、必ず $-1$ から $1$ の間に収まるように標準化した数値が相関係数( $r$ )です。

💡 相関係数( $r$ )の公式

$$r = \frac{s_{xy}}{s_x s_y} = \frac{\text{共分散}}{(\text{x の標準偏差}) \times (\text{y の標準偏差})}$$

※数値の範囲: $-1 \leqq r \leqq 1$

相関係数 $r$ の値と散布図の読み取り

相関係数 r の値相関の強さと傾き散布図の形状
$r$ が $1$ に近い強い正の相関右上がりの直線上にデータが細長く集まる
$r$ が $0.5 \sim 0.7$ 程度弱〜中程度の正の相関右上がりにゆるやかにばらつく
$r \approx 0$ほぼ相関なし円状やランダムにばらつく
$r$ が $-0.5 \sim -0.7$ 程度弱〜中程度の負の相関右下がりにゆるやかにばらつく
$r$ が $-1$ に近い強い負の相関右下がりの直線上にデータが細長く集まる

4. 【実践例題】共分散と相関係数を求めてみよう

実際の小テストのデータを使って、共分散と相関係数を計算する表の書き方を押さえましょう!

【例題】

次の表は、5人の生徒の数学の点数 $x$ と英語の点数 $y$(点)である。

共分散 $s_{xy}$ と相関係数 $r$ を求めよ。

生徒ABCDE
数学 $x$$3$$5$$7$$8$$12$
英語 $y$$4$$7$$6$$9$$9$

解答・解説

ステップ1:それぞれの平均値を求める

  • 数学 $x$ の平均: $\bar{x} = \frac{3 + 5 + 7 + 8 + 12}{5} = \frac{35}{5} = \mathbf{7}$
  • 英語 $y$ の平均: $\bar{y} = \frac{4 + 7 + 6 + 9 + 9}{5} = \frac{35}{5} = \mathbf{7}$

ステップ2:計算表を作成して必要な合計を出す

生徒xyxの偏差 (x−xˉ)yの偏差 (y−yˉ​)xの偏差$^2$yの偏差$^2$偏差の積 (x−xˉ)(y−yˉ​)
A34$-4$$-3$$16$$9$$(-4) \times (-3) = \mathbf{12}$
B57$-2$$0$$4$$0$$(-2) \times 0 = \mathbf{0}$
C76$0$$-1$$0$$1$$0 \times (-1) = \mathbf{0}$
D89$1$$2$$1$$4$$1 \times 2 = \mathbf{2}$
E129$5$$2$$25$$4$$5 \times 2 = \mathbf{10}$
合計00461824

ステップ3:分散・標準偏差・共分散を計算する

  • $x$ の分散: $s_x^2 = \frac{46}{5} = 9.2 \implies s_x = \sqrt{9.2}$
  • $y$ の分散: $s_y^2 = \frac{18}{5} = 3.6 \implies s_y = \sqrt{3.6}$
  • 共分散 $s_{xy}$: $s_{xy} = \frac{24}{5} = \mathbf{4.8}$

ステップ4:相関係数 $r$ を計算する

$$r = \frac{s_{xy}}{s_x s_y} = \frac{4.8}{\sqrt{9.2} \times \sqrt{3.6}} = \frac{4.8}{\sqrt{33.12}} \approx \frac{4.8}{5.75} \approx \mathbf{0.83}$$

(※数学と英語の点数には強い正の相関関係があることが判明しました!)

【答え】 共分散: $4.8$ 、相関係数: 約 $0.83$

5. 試験で差がつく!「相関関係」と「因果関係」の注意点

テストの文章選択問題で非常によく問われるのが、「相関関係」と「因果関係」の違いです。

  • 相関関係:2つのデータに連動した動きが見られること(例:アイスの売上とプール来場者数)
  • 因果関係:一方の変数が原因となって、他方の結果が引き起こされていること(原因と結果の関係)

⚠️ 注意

「相関係数が高い $\ne$ 因果関係がある」

例えば、「アイスの売上」と「水難事故の件数」の相関係数は高くなりますが、これは「気温が高い(隠れた原因)」という共通の要因があるためであり、アイスを食べたから事故が増えたわけではありません(これを偽相関と呼びます)。

共通テストでは「相関係数が高いからといって、因果関係があると断定することはできない」という選択肢が正解になるケースが多いので、必ず押さえておきましょう!

6. まとめ

  • 共分散( $s_{xy}$ ): $x$ の偏差と $y$ の偏差の積の平均(正なら正の相関、負なら負の相関)
  • 相関係数( $r$ ): 共分散を双方の標準偏差で割ったもの($-1 \leqq r \leqq 1$
  • 解法のコツ: 計算問題が出たら、迷わず「偏差・偏差の2乗・偏差の積」をまとめた表を書く!
  • 理論のポイント: 相関係数が高くても「因果関係」があるとは限らない!

これにて高校数学Ⅰの第5章「データの分析」の解説はすべて完了です!お疲れ様でした!

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