「正多面体って何で 5 種類しか存在しないの?」
「オイラーの多面体定理($v – e + f = 2$)の覚え方や使い所が知りたい!」
高校数学A「図形の性質(空間図形編)」の第15回(空間図形 第3回)は、空間に浮かぶ美しい立体「多面体と正多面体」をテーマに解説します!
古代ギリシャ時代から探求されてきた正多面体の特徴と「なぜ 5 種類に限られるのか」という感動的な証明、そしてすべての穴のない多面体に共通して成り立つ「オイラーの多面体定理」をマスターしていきましょう!
1. 正多面体の定義と 5 種類のデータ比較
多面体のうち、次の 2 つの条件をともに満たすものを正多面体と呼びます。
💡 【正多面体の定義】
1. すべての面が合同な正多角形である。
2. どの頂点に集まる面の数(角の数)も等しい。
この厳しい条件を満たす正多面体は、世界にたった 5 種類 しか存在しません。
| 名称 | 面の形 | 1頂点に集まる面の数 | 頂点の数 ($v$) | 辺の数 ($e$) | 面の数 ($f$) |
|---|---|---|---|---|---|
| 正四面体 | 正三角形 | 3 | 4 | 6 | 4 |
| 正六面体(立方体) | 正方形 | 3 | 8 | 12 | 6 |
| 正八面体 | 正三角形 | 4 | 6 | 12 | 8 |
| 正十二面体 | 正五角形 | 3 | 20 | 30 | 12 |
| 正二十面体 | 正三角形 | 5 | 12 | 30 | 20 |
双対(そうつい)関係のペアで覚える!
正六面体(頂点8, 面6)と 正八面体(頂点6, 面12は誤り $\rightarrow$ 頂点6, 面8)は「頂点の数」と「面の数」が逆転するペアです。
同様に 正十二面体(頂点20, 面12)と 正二十面体(頂点12, 面20)も美しいペアの関係にあります!
2. なぜ正多面体は 5 種類しかないのか?(証明)
立体として「頂点」を作るためには、次の 2 つの幾何学的なルールを満たす必要があります。
- 頂点を囲むには、少なくとも 3 つの面(内角)が集まる必要がある。
- 1つの頂点に集まる内角の和は $360^\circ$ 未満でなければならない($360^\circ$ 以上になると平らになるか折りたためない)。
このルールをもとに、面の形(正 $n$ 角形)ごとに検証してみましょう。
- ① 正三角形(1つの内角 $= 60^\circ$):
- 3枚集まる $\rightarrow 60^\circ \times 3 = 180^\circ < 360^\circ$ (正四面体)
- 4枚集まる $\rightarrow 60^\circ \times 4 = 240^\circ < 360^\circ$ (正八面体)
- 5枚集まる $\rightarrow 60^\circ \times 5 = 300^\circ < 360^\circ$ (正二十面体)
- 6枚集まる $\rightarrow 60^\circ \times 6 = 360^\circ$ (平らになり立体化不可)
- ② 正方形(1つの内角 $= 90^\circ$):
- 3枚集まる $\rightarrow 90^\circ \times 3 = 270^\circ < 360^\circ$ (正六面体)
- 4枚集まる $\rightarrow 90^\circ \times 4 = 360^\circ$ (不可)
- ③ 正五角形(1つの内角 $= 108^\circ$):
- 3枚集まる $\rightarrow 108^\circ \times 3 = 324^\circ < 360^\circ$ (正十二面体)
- 4枚集まる $\rightarrow 108^\circ \times 4 = 432^\circ \ge 360^\circ$ (不可)
- ④ 正六角形(1つの内角 $= 120^\circ$)以上:
- 最小の 3枚でも $\rightarrow 120^\circ \times 3 = 360^\circ$ となり、$360^\circ$ 未満を作れない(不可)。
以上の成り立ちから、正多面体は絶対にこの 5 種類以外存在しない ことが完璧に証明されます!
3. オイラーの多面体定理
穴の開いていないすべての多面体(へこみがない凸多面体)において、頂点・辺・面の数の間に次の関係が必ず成り立ちます。
💡 【オイラーの多面体定理】
多面体の頂点の数を $v$(vertex)、辺の数を $e$(edge)、面の数を $f$(face)とすると、
$$\mathbf{v – e + f = 2}$$
語呂合わせでの覚え方:
「頂($v$)で、引く($-$) 辺($e$)に、足す($+$) 面($f$)は 2」
(※アルファベット順 $e, f, v$ で整理する場合は「$\mathbf{v + f – e = 2}$(ヴィファ(v+f)から 居(e)なくなって 2 になる)」などで覚えるのも定番です)
4. 【実践例題】多面体データの計算問題
【例題1】オイラーの多面体定理を用いた未知の計算
ある多面体は、12 個の頂点と 30 本の辺を持っている。この多面体の面の数 $f$ を求めよ。 解答・解説を表示する
1. オイラーの多面体定理を立式する
頂点の数 $v = 12$、辺の数 $e = 30$、面の数 $f$ を定理の公式 $v – e + f = 2$ に代入します。
$$12 – 30 + f = 2$$
$$-18 + f = 2$$
$$f = 20$$
【答え】 面の数 $f = \mathbf{20}$ (正二十面体などのデータと一致)
【例題2】サッカーボール型(切頂二十面体)の頂点・辺の計算(応用)
正二十面体の各頂点を、各辺を3等分する点を通る平面で切り落としてできる立体(サッカーボール型多面体)について考える。
この立体は、正五角形 12 個と正六角形 20 個でできている。
(1) この立体の頂点の数 $v$ を求めよ。
(2) この立体の辺の数 $e$ を求めよ。 解答・解説を表示する
(1) 頂点の数 $v$ の求め方
正五角形(頂点 5 個)が 12 個、正六角形(頂点 6 個)が 20 個あります。
1つの頂点には必ず 3 つの面が集まっているため、重複してカウントした分を 3 で割ります。
$$v = \frac{5 \times 12 + 6 \times 20}{3} = \frac{60 + 120}{3} = \frac{180}{3} = \mathbf{60}$$
(2) 辺の数 $e$ の求め方(またはオイラーの定理の利用)
【方法1:辺の重複から直接計算】
1本の辺は必ず 2 つの面で共有されるため、各面の辺の合計を 2 で割ります。
$$e = \frac{5 \times 12 + 6 \times 20}{2} = \frac{180}{2} = \mathbf{90}$$
【方法2:オイラーの多面体定理から計算】
面の総数 $f = 12 + 20 = 32$
$v – e + f = 2$ に $v = 60, f = 32$ を代入すると:
$$60 – e + 32 = 2 \quad \Rightarrow \quad 92 – e = 2 \quad \Rightarrow \quad e = \mathbf{90}$$
【答え】 (1) 頂点 $v = \mathbf{60}$, (2) 辺 $e = \mathbf{90}$
5. まとめ
- 正多面体の数: 条件を満たす立体は 正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体 の 5 種類のみ。
- 5種類しかない理由: 1頂点に集まる内角の和が $360^\circ$ 未満 でなければならないため。
- オイラーの多面体定理: 穴のない多面体では常に $\mathbf{v – e + f = 2}$ (頂点 $-$ 辺 $+$ 面 $= 2$)。
空間図形の性質もしっかり身についてきました!
次回は「【数A:第16回】空間図形と最短経路|展開図を利用した平面化と三平方の定理の活用」を解説します!
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