「桁数がすごく大きい数字同士の最大公約数(GCD)なんて、素因数分解していたらいつまで経っても終わらない……」
「『ユークリッドの互除法』の仕組みって、なんで余りで割り続けるとうまくいくの?」
高校数学Aのもう一つの重要単元「整数の性質」の第1回は、すべての整数論の土台となる「約数・倍数の性質」と、桁の大きい数の最大公約数を一撃で求める最強のアルゴリズム「ユークリッドの互除法」を徹底解説します!
整数の割り算がもつ美しい構造を紐解き、複雑な計算を劇的にシンプルにするテクニックをマスターしましょう!
1. 整数の割り算と最大公約数・最小公倍数の基本
整数を別の整数で割ったときの「商と余り」の関係式と、基本的な用語を確認します。
💡 【整数の除法の定理】
整数 $a$ と正の整数 $b$ について、$a$ を $b$ で割ったときの商を $q$、余りを $r$ とすると、次の一意的な関係が成り立ちます。
$$\mathbf{a = bq + r} \quad (0 \le r < b)$$
【最大公約数(GCD)と最小公倍数(LCM)の性質】
2 つの正の整数 $a, b$ の最大公約数を $g$ とすると、$a = gx, \ b = gy$($x, y$ は互いに素な整数)とおくことができます。
このとき、最小公倍数 $l$ との間には次の重要な関係が成り立ちます:
$$\mathbf{l = gxy} \quad \text{かつ} \quad \mathbf{ab = gl}$$
2. ユークリッドの互除法(最大の武器)
桁数が大きい 2 つの整数の最大公約数を求めるとき、素因数分解する代わりに「割り算の余り」を次々に利用して数値を小さくしていく方法をユークリッドの互除法といいます。
💡 【ユークリッドの互除法の原理と手順】**
整数 $a$ と $b$($a > b$)の最大公約数を求めたいとき:
- $a$ を $b$ で割った余りを $r_1$ とする($a = bq_1 + r_1$)。このとき、$\text{GCD}(a, b) = \text{GCD}(b, r_1)$ が成り立つ。
- 今度は $b$ を $r_1$ で割った余り $r_2$ を求める($b = r_1 q_2 + r_2$)。すると、$\text{GCD}(b, r_1) = \text{GCD}(r_1, r_2)$ となる。
- この割り算を繰り返し、余りが $0$ になったときの「割る数(直前の余り)」が求める最大公約数となる!
3. 【実践例題】ユークリッドの互除法の活用
【例題1】大きな数字の最大公約数を求める
1173 と 1361 の最大公約数をユークリッドの互除法を用いて求めよ。 解答・解説を表示する1. 割り算を順番に実行する $1361 \div 1173$ を計算する:
$1361 = 1173 \times 1 + 188$ (余りは $188$) 次に、割る数 $1173$ を余り $188$ で割る:
$1173 = 188 \times 6 + 45$ (余りは $45$) さらに、割る数 $188$ を余り $45$ で割る:
$188 = 45 \times 4 + 8$ (余りは $8$) さらに、割る数 $45$ を余り $8$ で割る:
$45 = 8 \times 5 + 5$ (余りは $5$) さらに、割る数 $8$ を余り $5$ で割る:
$8 = 5 \times 1 + 3$ (余りは $3$) さらに、割る数 $5$ を余り $3$ で割る:
$5 = 3 \times 1 + 2$ (余りは $2$) さらに、割る数 $3$ を余り $2$ で割る:
$3 = 2 \times 1 + 1$ (余りは $1$) 最後に、割る数 $2$ を余り $1$ で割る:
$2 = 1 \times 2 + 0$ (余りが $0$ になった!) 2. 結論を導く
余りが $0$ になったときの「割る数(直前の余り)」は $1$ である。
したがって、1173 と 1361 は互いに素であり、最大公約数は $1$ である。【答え】 最大公約数は 1
【例題2】互除法の逆算(一次不定方程式への布石)
ユークリッドの互除法を逆にたどることで、次の等式を満たす整数 $x, y$ の一組を求めよ。
$$29x + 19y = 1$$ 解答・解説を表示する1. まず 29 と 19 で互除法を行う $29 = 19 \times 1 + 10 \implies 10 = 29 – 19 \times 1$ ① $19 = 10 \times 1 + 9 \implies 9 = 19 – 10 \times 1$ ② $10 = 9 \times 1 + 1 \implies 1 = 10 – 9 \times 1$ ③ 2. 下の式から逆に代入して「1」の形を作る(逆算)
式③に式②を代入する: $$1 = 10 – 9 \times 1 = 10 – (19 – 10 \times 1) = 10 \times 2 – 19 \times 1$$ さらに式①($10 = 29 – 19$)を代入する: $$1 = (29 – 19) \times 2 – 19 \times 1 = 29 \times 2 – 19 \times 2 – 19 \times 1 = 29 \times 2 + 19 \times (-3)$$3. 係数を比較する
$29(2) + 19(-3) = 1$ となるため、一組の整数解は $(x, y) = (2, -3)$ と求まる。【答え】 $(x, y) = (2, -3)$
4. まとめ
- 除法の定理: $a = bq + r \ (0 \le r < b)$ の形に必ず落とし込める!
- ユークリッドの互除法: 大きな数の最大公約数を求めるには、「余りが 0 になるまで割り算を繰り返す」!
- 逆算のテクニック: 互除法の式を下から逆に代入していくことで、不定方程式の整数解を一発で発見できる!
- 最小公倍数との関係: $ab = gl$(最大公約数 $\times$ 最小公倍数 = 2数の積)の公式も常に強力な武器になる!
整数の性質の基本となる除法の原理と、ユークリッドの互除法の仕組みがすっきりと整理できました!
次回は「【数A:第2回】整数の割り算の余りと合同式|整数の性質②(あまりの世界の計算術)」を解説します!
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