【数A:第11回】和事象の確率と加法定理|「排反(はいはん)」の意味と $P(A \cup B)$ の計算公式

数学A

「『A または B が起こる確率』を求めるとき、単に足し算していい場合とダメな場合の違いは?」
「『排反(はいはん)』ってどういう状態? 和集合の計算と何が違うの?」

高校数学A「場合の数と確率」の第29回(第12回)は、複数の事象がからむ「和事象の確率」「確率の加法定理」を解説します!

集合のベン図をイメージしながら、足し算で解決できる「排反事象」と、重複(重なり)を引き算する必要がある一般的な和事象の解法を完全マスターしましょう!


1. 事象の「和」と「積」・「排反」とは?

まずは事象と集合の関係を整理します。

概念・用語記号・意味具体例(サイコロを1回振る)
和事象(わじしょう)$A \cup B$
($A$ または $B$ が起こる事象)
「偶数の目」または「5以上の目」が出る
積事象(せきじしょう)$A \cap B$
($A$ かつ $B$ が同時に起こる事象)
「偶数の目」かつ「5以上の目」が出る(=6の目)
排反事象(はいはんじしょう)$A \cap B = \varnothing$
($A$ と $B$ が絶対に同時には起こらない関係)
「1の目が出る」と「偶数の目が出る」は同時に起こり得ない(排反!)

2. 確率の加法定理(公式)

事象 $A$ または $B$ の少なくとも一方が起こる確率 $P(A \cup B)$ は、2 つの事象が「排反」かどうかで計算式が変わります。

💡 【確率の加法定理】

① 2つの事象 $A, B$ が互いに「排反(重なりなし)」のとき:
$$\mathbf{P(A \cup B) = P(A) + P(B)}$$
② 一般の事象 $A, B$(重なりがあるかもしれないとき):
$$\mathbf{P(A \cup B) = P(A) + P(B) – P(A \cap B)}$$

ベン図で考える理由:
集合の要素の個数 $n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B)$ と全く同じです。
$P(A)$ と $P(B)$ を単純に足すと、中央の重なり部分 $P(A \cap B)$ を 2 回重複してカウントしてしまうため、最後に 1 回分差し引く必要があります。
排反($A \cap B = \varnothing$)の場合は重なりが $0$ なので、そのまま足すだけで OK です!


3. 【実践例題】和事象と加法定理の演習

【例題1】排反事象の確率(基本)

1 から 100 までの番号が書かれた 100 枚のカードから 1 枚を引き出すとき、その番号が「7 の倍数」または「11 の倍数」である確率を求めよ。 解答・解説を表示する

1. それぞれの事象の要素の個数を調べる
全事象 $n(U) = 100$ です。

  • 7 の倍数が出る事象を $A$ とする: $100 \div 7 = 14$ 余り 2 $\rightarrow n(A) = 14$
  • 11 の倍数が出る事象を $B$ とする: $100 \div 11 = 9$ 余り 1 $\rightarrow n(B) = 9$
  • 7 かつ 11 の倍数(77の倍数)が出る事象 $A \cap B$: 77 の 1 個のみ $\rightarrow n(A \cap B) = 1$

2. 公式を適用して計算する
重なり(77)が存在するため、加法定理 ② を用立ちます。

$$P(A \cup B) = P(A) + P(B) – P(A \cap B) = \frac{14}{100} + \frac{9}{100} – \frac{1}{100} = \frac{22}{100} = \frac{11}{50}$$

【答え】 $\mathbf{\frac{11}{50}}$

【例題2】玉を取り出す問題での排反利用(応用)

赤玉 5 個、白玉 4 個、青玉 3 個が入っている袋から同時に 3 個の玉を取り出すとき、3 個の玉が「すべて同じ色」になる確率を求めよ。 解答・解説を表示する

1. 全事象 $n(U)$ を求める
合計 $5 + 4 + 3 = 12$ 個の玉から 3 個を選ぶ組み合わせは:

$$n(U) = {}_{12}\text{C}_3 = \frac{12 \times 11 \times 10}{3 \times 2 \times 1} = 220 \text{ 通り}$$

2. 「すべて同じ色」を各色の事象に分解する

  • 事象 $R$(3個とも赤玉): ${}_5\text{C}_3 = {}_5\text{C}_2 = 10$ 通り $\rightarrow P(R) = \frac{10}{220}$
  • 事象 $W$(3個とも白玉): ${}_4\text{C}_3 = {}_4\text{C}_1 = 4$ 通り $\rightarrow P(W) = \frac{4}{220}$
  • 事象 $B$(3個とも青玉): ${}_3\text{C}_3 = 1$ 通り $\rightarrow P(B) = \frac{1}{220}$

3. 排反であることを確認して足し合わせる
「3個とも赤」「3個とも白」「3個とも青」が同時に起こることはあり得ない(互いに排反)です。
したがって、それぞれの確率をそのまま足し算します(加法定理 ①)。

$$P = P(R) + P(W) + P(B) = \frac{10}{220} + \frac{4}{220} + \frac{1}{220} = \frac{15}{220} = \frac{3}{44}$$

【答え】 $\mathbf{\frac{3}{44}}$


4. まとめ

  • 排反事象: 同時に起こることがない関係($A \cap B = \varnothing$)。
  • 加法定理(排反のとき): $P(A \cup B) = P(A) + P(B)$ (そのまま足すだけ!)
  • 加法定理(重なりがあるとき): $P(A \cup B) = P(A) + P(B) – P(A \cap B)$ (重なりを引く!)

和事象の確率と排反の考え方がすっきり整理できました!

次回は「【数A:第30回】余事象の確率|『少なくとも1つ』を見たら絶対使う最強の計算テクニック」を解説します!

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