【数Ⅰ:第25回】正弦定理・余弦定理の総合演習(三角形を解く最短ルートと決定パターン)

高校数学

「正弦定理と余弦定理を習ったけれど、実際の応用問題でどっちから使えばいいか迷ってしまう…」

「『三角形を解く』って具体的に何をすればいいの?」

これまで学習してきた正弦定理と余弦定理は、別々に使うのではなく組み合わせて使うことで真価を発揮します!

三角形の $6$ つの要素($3$ つの辺と $3$ つの角)のうち、いくつかの条件から残りの要素をすべて求めることを「三角形を解く」と言います。

今回は、テストや入試で迷わずに解き進めるための「定理選びの最短フローチャート」と、絶対に押さえておくべき代表的な総合問題の解法パターンを詳しく解説します!

1. 1秒で迷わなくなる!「定理選び」の最短フローチャート

問題文を見たとき、最初に着目すべき条件によってスタートラインが決まります。

【スタート】与えられた条件を確認する
   │
   ├─①「3辺の長さ」が判明している
   │   └─► まず【余弦定理(変形型)】で最も大きい角の cos を求める
   │
   ├─②「2辺とその間の角」が判明している
   │   └─► まず【余弦定理】で残りの 1 辺を求める
   │
   ├─③「2角と 1 辺」が判明している
   │   └─► 三角形のの内角の和(180°)で残りの 1 角を出す
   │       └─► その後【正弦定理】で残りの辺を求める
   │
   └─④「向かい合う角と辺のペア」+ 1 つの条件
       └─►【正弦定理】を使って残りの角や辺を求める

この優先順位を持っておくだけで、「どの公式から書き始めればいいか分からない」という悩みは完全に解消されます!

2. 【総合演習1】「2辺と1角」からすべての要素を求める

【問題1】

$\triangle \text{ABC}$ において、$b = \sqrt{2}, c = 1 + \sqrt{3}, A = 45^\circ$ のとき、残りの辺の長さ $a$ と角の大きさ $B, C$ を求めよ。

解答・解説

ステップ1:残りの 1 辺 $a$ を求める

「2辺と間の角 $A$」が分かっているため、余弦定理からスタートします。

$$a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A$$

$$a^2 = (\sqrt{2})^2 + (1 + \sqrt{3})^2 – 2 \cdot \sqrt{2} \cdot (1 + \sqrt{3}) \cos 45^\circ$$

$\cos 45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}}$ なので代入して展開します。

$$a^2 = 2 + (1 + 2\sqrt{3} + 3) – 2\sqrt{2}(1 + \sqrt{3}) \cdot \frac{1}{\sqrt{2}}$$

$$a^2 = 6 + 2\sqrt{3} – 2(1 + \sqrt{3})$$

$$a^2 = 6 + 2\sqrt{3} – 2 – 2\sqrt{3} = 4$$

$a > 0$ より、$a = 2$ と求まります。

ステップ2:角 $B$ を求める(※ここが最大の落とし穴!)

3辺が $a=2, b=\sqrt{2}, c=1+\sqrt{3}$ と揃いました。

角 $B$ を求めるために正弦定理・余弦定理のどちらも使えますが、「小さいほうの角(辺が短いほう)」から求めるのが鉄則です。

なぜなら、小さい角(この場合は $b = \sqrt{2}$ に対する角 $B$)は必ず鋭角($<90^\circ$)になるため、$\sin$ から角度を求めるときに鈍角の可能性を排除できるからです!

正弦定理より:

$$\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} \implies \frac{2}{\sin 45^\circ} = \frac{\sqrt{2}}{\sin B}$$

$$\sin B = \frac{\sqrt{2} \sin 45^\circ}{2} = \frac{\sqrt{2} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}}}{2} = \frac{1}{2}$$

角 $B$ は最小辺 $b$ の対角なので鋭角です。したがって、$B = 30^\circ$ と決まります。

ステップ3:最後の角 $C$ を求める

内角の和は $180^\circ$ なので:

$$C = 180^\circ – (A + B) = 180^\circ – (45^\circ + 30^\circ) = \mathbf{105^\circ}$$

【答え】 $a = 2, B = 30^\circ, C = 105^\circ$

3. 【総合演習2】「3辺の関係式」から三角形の形状を決定する

入試によく出る「どのような形の三角形か答えよ」という問題です。

🔥 形状決定問題の鉄則

正弦定理・余弦定理を使って、角の条件($\sin, \cos$)をすべて「辺の長さ($a, b, c$)」の式に書き換える!

【問題2】

$\triangle \text{ABC}$ において、$a \cos A = b \cos B$ が成り立っているとき、この三角形はどのような形をしているか。

解答・解説

ステップ1: $\cos A, \cos B$ を余弦定理で辺の式に変形する

$$\cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}, \quad \cos B = \frac{c^2 + a^2 – b^2}{2ca}$$

ステップ2: 与えられた等式に代入する

$$a \cdot \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc} = b \cdot \frac{c^2 + a^2 – b^2}{2ca}$$

両辺に $2abc$ をかけて分母を払います。

$$a^2 (b^2 + c^2 – a^2) = b^2 (c^2 + a^2 – b^2)$$

$$a^2 b^2 + a^2 c^2 – a^4 = b^2 c^2 + a^2 b^2 – b^4$$

両辺から $a^2 b^2$ を引き、すべて左辺に移行します。

$$(a^2 c^2 – b^2 c^2) – (a^4 – b^4) = 0$$

$$c^2 (a^2 – b^2) – (a^2 – b^2)(a^2 + b^2) = 0$$

共通因数 $(a^2 – b^2)$ でくくります。

$$(a^2 – b^2) \{ c^2 – (a^2 + b^2) \} = 0$$

$$(a – b)(a + b)(c^2 – a^2 – b^2) = 0$$

ステップ3: 因数分解した式を解釈する

$a, b, c$ は三角形の辺の長さなので $a + b > 0$ です。

したがって、成り立つ可能性があるのは次のどちらかです。

  1. $a – b = 0 \implies \mathbf{a = b}$ ($a = b$ の二等辺三角形)
  2. $c^2 – a^2 – b^2 = 0 \implies \mathbf{c^2 = a^2 + b^2}$ ($\angle C = 90^\circ$ の直角三角形)

【答え】 $a = b$ の二等辺三角形、または $\angle \text{C} = 90^\circ$ の直角三角形

4. テストで失点しないための3大チェックポイント

  1. 角を求めるときは「小さい角(短い辺の対角)」から狙う!
    • $\sin$ から角度を求めるとき、鈍角($90^\circ \sim 180^\circ$)の罠を回避するため、必ず鋭角であることが確定している「短い辺の向かい側の角」から出しましょう。
  2. 正弦定理で出た答えは直径($2R$)か半径($R$)か確認!
    • うっかり $2R$ のまま答えに書かないように注意しましょう。
  3. 形状決定問題は「辺だけの関係式」に持ち込む!
    • $\sin A \to \frac{a}{2R}$、$\cos A \to \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$ に置き換える手順を徹底しましょう。

5. まとめ

  • 三角形の解法パターン
    • 2辺と間の角 $\to$ 余弦定理でスタート
    • 3辺 $\to$ 余弦定理(変形版)でスタート
    • 対角・対辺のペア $\to$ 正弦定理でスタート
  • 形状決定問題は「すべて辺の長さ($a, b, c$)」に変換して因数分解する!

次回は、三角比の最後のテーマである「第26回:三角形の面積公式と応用(内接円の半径・四角形の面積)」を解説します!

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