「『 $ax + by = c$ を満たす整数 $x, y$ の組をすべて求めよ』って言われても、文字が2つあって方程式が1つだから無限に解がありそうで困る……」
「特殊解を1つ見つける方法や、一般解を書き出す手順を型として覚えたい!」
高校数学A「整数の性質」の第3回は、整数問題のなかでも超重要かつ入試頻出のテーマである「一次不定方程式($ax + by = c$)」の解き方を徹底解説します!
「特殊解を1つ見つけて一般解を導く」という黄金のルーティンをマスターし、どんな複雑な不定方程式でも確実に完答できる実力を手に入れましょう!
1. 一次不定方程式と整数解の基本原理
文字が2つに対して方程式が1つしかない方程式を「不定方程式」といい、特に次数がすべて 1 のものを一次不定方程式といいます。
💡 【一次不定方程式が整数解をもつ条件】
方程式 $ax + by = c$ が整数解をもつための必要十分条件は、$a$ と $b$ の最大公約数 $\text{GCD}(a, b)$ が $c$ を割り切ることです。
特に、$a$ と $b$ が互いに素(最大公約数が 1)であるとき、方程式 $ax + by = c$ は必ず無限個の整数解をもちます!
2. 一般解を求める 3 ステップの黄金ルーティン
一次不定方程式のすべての整数解(一般解)を求めるための標準的な手順は次の 3 つのステップです。
| ステップ | 内容・手法 | ポイント |
|---|---|---|
| Step 1 | 特殊解を 1 つ見つける (目利き、またはユークリッドの互除法の逆算を利用) | まずは $ax_0 + by_0 = c$ を満たす組 $(x_0, y_0)$ を 1 つ死守する |
| Step 2 | もとの方程式から特殊解の式を引く ($a(x – x_0) + b(y – y_0) = 0$) | $= 0$ の形に変形して、倍数の関係に持ち込む |
| Step 3 | 互いに素の性質を利用して一般解を決定する ($x – x_0 = bk, \ y – y_0 = -ak$ など) | 整数 $k$ を用いてすべての解をパラメトリックに表す |
3. 【実践例題】一次不定方程式の解法演習
【例題1】基本的な一次不定方程式の整数解
次を満たすすべての整数 $x, y$ の組を求めよ。
$$7x + 19y = 1$$ 解答・解説を表示するStep 1: 特殊解を 1 つ見つける
$7x + 19y = 1$ を満たす簡単な整数を探します。目で見つけるのが難しい場合は、第1回で扱ったユークリッドの互除法を逆算します。
$19 = 7 \times 2 + 5 \implies 5 = 19 – 7 \times 2$
$7 = 5 \times 1 + 2 \implies 2 = 7 – 5 \times 1 = 7 – (19 – 7 \times 2) = 7 \times 3 – 19$
$5 = 2 \times 2 + 1 \implies 1 = 5 – 2 \times 2 = (19 – 7 \times 2) – (7 \times 3 – 19) \times 2$
整理すると:$7 \times (-8) + 19 \times 3 = 1$
よって、特殊解の一組として $(x_0, y_0) = (-8, 3)$ が得られる。(もちろん、暗算で $7 \times (-8) + 19 \times 3 = -56 + 57 = 1$ と見つけてもOKです!)Step 2: もとの式から特殊解の式を引き算する $$7x + 19y = 1$$ $$7(-8) + 19(3) = 1$$ 辺々を引き算すると: $$7(x – (-8)) + 19(y – 3) = 0$$ $$7(x + 8) = -19(y – 3)$$Step 3: 互いに素の性質を使って一般解を導く
$7$ と $19$ は互いに素であるため、左辺の $7(x + 8)$ が $19$ の倍数になるためには、$x + 8$ が $19$ の倍数でなければなりません。
したがって、整数 $k$ を用いて次のように置くことができます: $$x + 8 = 19k \implies \mathbf{x = 19k – 8}$$ $$7(19k) = -19(y – 3) \implies 7k = -(y – 3) \implies \mathbf{y = -7k + 3}$$【答え】 $x = 19k – 8, \ y = -7k + 3$ ($k$ は任意の整数)
【例題2】右辺が 1 以外の整数の方程式
次を満たすすべての整数 $x, y$ の組を求めよ。
$$5x + 12y = 4$$ 解答・解説を表示するStep 1: 特殊解を 1 つ見つける
まずは右辺を「 $1$ 」とした方程式 $5x’ + 12y’ = 1$ の特殊解を考えます。
$12 = 5 \times 2 + 2$
$5 = 2 \times 2 + 1 \implies 1 = 5 – 2 \times 2 = 5 – (12 – 5 \times 2) \times 2 = 5 \times 5 + 12 \times (-2)$
よって、$5(5) + 12(-2) = 1$ となる。
いま求めたいのは右辺が $4$ の場合なので、この両辺を $4$ 倍します: $$5(5 \times 4) + 12(-2 \times 4) = 4 \implies 5(20) + 12(-8) = 4$$ したがって、特殊解の 1 つとして $(x_0, y_0) = (20, -8)$ が見つかる。Step 2 & 3: 引き算と一般解の導出
もとの式から特殊解の式を引くと: $$5(x – 20) + 12(y – (-8)) = 0 \implies 5(x – 20) = -12(y + 8)$$ $5$ と $12$ は互いに素であるため、整数 $k$ を用いて: $$x – 20 = 12k \implies \mathbf{x = 12k + 20}$$ $$5(12k) = -12(y + 8) \implies 5k = -(y + 8) \implies \mathbf{y = -5k – 8}$$【答え】 $x = 12k + 20, \ y = -5k – 8$ ($k$ は任意の整数)
4. まとめ
- 一次不定方程式の基本: $ax + by = c$ の整数解を求めるには、まず「特殊解を 1 つ見つける」ことがすべてのスタート!
- 見つからないときは:係数が大きい場合は「ユークリッドの互除法の逆算」を使って確実に特殊解をぶり出す!
- 一般解の形: 特殊解を $(x_0, y_0)$ とすると、一般解は $\mathbf{x = bk + x_0, \ y = -ak + y_0}$ ($k$ は整数)の形に綺麗にまとまる!
一次不定方程式の解き方と、一般解を導く黄金のルーティンがすっきりと整理できました!
次回は「【数A:第35回】整数の性質の総仕上げと応用問題|整数の性質⑥(整数分野の総合演習)」を解説します!
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