【数Ⅰ:第41回】余事象の確率|「少なくとも1つ」が出たら 1-P(A) で一発解消!

高校数学

「『少なくとも1つは赤玉が出る確率』って、1個の場合、2個の場合……って全部足すの?」

「余事象(よじしょう)って言葉は聞くけれど、具体的にいつ使えばいいの?」

確率の問題を解いていて、場合分けが多くて計算が面倒だと感じたことはありませんか?

そんなときに大活躍するのが「余事象の確率」です。

今回は、テストや共通テストで超頻出のキーワード「少なくとも〜」を見た瞬間に使える解法パターンから、計算ミスを激減させる $1 – P(A)$ の仕組み、そして具体的な例題まで分かりやすく解説します!

1. 「余事象(よじしょう)」とは?

ある事象 $A$ に対して、「 $A$ が起こらない」という事象のことを、$A$ の余事象といい、$\bar{A}$(Aバー) と表します。

たとえば、1つのサイコロを投げるとき:

  • 事象 $A$ : 「偶数の目が出る」(2, 4, 6)
  • 余事象 $\bar{A}$ : 「偶数の目が出ない = 奇数の目が出る」(1, 3, 5)

全体の確率(すべての事象が起こる確率の和)は必ず $1$ になるため、次の重要な関係が成り立ちます。

💡 【余事象の確率の公式】

$$\mathbf{P(A) = 1 – P(\bar{A})}$$

(事象 $A$ が起こる確率 = $1$ - 事象 $A$ が起こらない確率)

「全体(1)から、ダメなパターン(起きない確率)を引き算する」という非常にシンプルな考え方です。

2. なぜ余事象を使うの?(発動の合図は「少なくとも〜」)

余事象を使う最大のメリットは、「直接計算すると大変な問題を、一瞬で終わらせられること」です。

問題文に以下のフレーズが出てきたら、「余事象を使え!」という合図(サイン)です。

  • 「少なくとも1つは〜」
  • 「少なくとも〜以上」
  • 「〜でない」

【具体例】コインを 4枚 投げるとき

少なくとも1枚は表が出る確率」を考えてみましょう。

1. 直接求める場合(大変!)

「少なくとも1枚は表」ということは、以下の 4つのパターン をすべて計算して合計する必要があります。

  • 表が 1枚(裏3枚)になる確率
  • 表が 2枚(裏2枚)になる確率
  • 表が 3枚(裏1枚)になる確率
  • 表が 4枚(裏0枚)になる確率

これらを1つずつ計算して足し合わせるのは、時間もかかり計算ミスの元になります。

2. 余事象( – P(\bar{A})$)を使う場合(圧倒的にラク!)

「少なくとも1枚は表」の逆(=起こらなかったら困る唯一のパターン)は何でしょうか?

それは、「4枚ともすべて裏が出る」パターンだけです!

つまり、$1 – (\text{4枚とも裏が出る確率})$ を計算するだけで、一発で答えが求まります。

3. 【実践例題】余事象を使った基本・応用パターン

実際にテストで出題される典型問題に挑戦してみましょう。

【例題1】玉を取り出す問題(基本)

赤玉 5個、白玉 4個が入っている袋から、同時に 3個の玉を取り出すとき、少なくとも1個は白玉が含まれる確率を求めよ。

解答・解説

  1. 余事象を定義する求める事象は「少なくとも1個は白玉が含まれる」です。その余事象は「3個ともすべて赤玉を取り出す」ことになります。
  2. すべての取り出し方の総数 $N$ を求める合計 9個の玉から 3個を選ぶ組み合わせです。$$N = _9C_3 = \frac{9 \times 8 \times 7}{3 \times 2 \times 1} = 84 \text{通り}$$
  3. 余事象(3個とも赤玉)が起こる場合の数 $a$ を求める5個の赤玉から 3個を選ぶ組み合わせです。$$a = _5C_3 = _5C_2 = \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = 10 \text{通り}$$
  4. 余事象の確率 $P(\bar{A})$ を求めて、$1 – P(\bar{A})$ を計算する$$P(\bar{A}) = \frac{10}{84} = \frac{5}{42}$$したがって、求める確率は$$P(A) = 1 – \frac{5}{42} = \mathbf{\frac{37}{42}}$$

【答え】 $\dfrac{37}{42}$

【例題2】サイコロと積の確率(応用)

3つのサイコロを同時に投げるとき、出る目の積(かけ算)が偶数になる確率を求めよ。

解答・解説

  1. 「積が偶数」の条件を考える掛け算の答えが偶数になるのは、「少なくとも1つのサイコロが偶数」のときです。(偶数が1つでも含まれていれば、かけ算の結果は必ず偶数になります)
  2. 余事象を考える「少なくとも1つは偶数」の余事象は、「3つのサイコロがすべて奇数」のときです。
  3. 余事象の確率を計算する
    • すべての目の出方: $6 \times 6 \times 6 = 216 \text{通り}$
    • 奇数の目(1, 3, 5)が出る出方: $3 \times 3 \times 3 = 27 \text{通り}$
    余事象(すべて奇数)の確率は$$P(\bar{A}) = \frac{27}{216} = \frac{1}{8}$$
  4. 全体の確率から引き算する$$P(A) = 1 – \frac{1}{8} = \mathbf{\frac{7}{8}}$$

【答え】 $\dfrac{7}{8}$

4. まとめ

  • 余事象とは:「〜でない」という反対の事象のこと(記号は $\bar{A}$)。
  • 公式$P(A) = 1 – P(\bar{A})$
  • 発動の合図:問題文に 「少なくとも1つ〜」 という言葉があったら、即座に余事象の利用を疑う!
  • 思考のコツ:「直接求める場合分け」と「逆パターン(余事象)の場合分け」の数を比べ、数が少ない方で計算する

余事象マスターになると、確率の問題を解くスピードが何倍にも跳ね上がります。問題文の「キーワード」を絶対に見逃さないようにしましょう!

次回は、複数の事象が組み合わさったときの基本法則「第42回:和法則と積法則(互いに排他・独立な試行の確率)」を解説します!

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