「同じ文字が含まれているときの並べ替えってどう計算するの?」
「街路樹のようなグリッド(格子)上の『最短経路』の問題が苦手…」
これまでに学んだ順列($_nP_r$)では、すべてのものが「区別できる(異なるもの)」ことが前提でした。
しかし、実際のテストでは「Aが3個、Bが2個あるときの並べ替え」のように、区別がつかない同じものが含まれるパターンが頻出します。
今回は、同じものを含む順列の公式 $\frac{n!}{p!q!r!}$ の仕組みと、受験・テスト必出の「最短経路(道順)の問題」への応用解法を分かりやすく解説します!
1. 同じものを含む順列とは?
例えば、「A, A, A, B, B」 という5つの文字を一列に並べる場面を考えてみましょう。
もしこれらがすべて異なる文字(A₁, A₂, A₃, B₁, B₂)であれば、並べ方は $5! = 120$ 通りです。
しかし実際には、「A」同士、「B」同士の区別がつきません。
そのため、$5!$ のままだと「同じ並び順」を何度も重複して数えてしまうことになります。
重複して数えてしまった分を割り算で取り除くのが、同じものを含む順列の基本的な考え方です。
2. 同じものを含む順列の公式
💡 【同じものを含む順列の公式】
全体 $n$ 個のうち、$p$ 個、$q$ 個、$r$ 個…のように同じものがそれぞれ含まれているとき、これらすべてを一列に並べる場合の数は、
$$\mathbf{\frac{n!}{p!q!r!\cdots} \quad \text{通り}}$$
(※ただし $p + q + r + \cdots = n$)
なぜ階乗で割るの?(公式の成り立ち)
先ほどの 「Aが3個、Bが2個(計5個)」 を並べる例で考えてみましょう。
- 仮に区別をつけて並べる $\to$ $5!$ 通り
- A の内部での入れ替えを解消する3個の A(A₁, A₂, A₃)の並べ替えは $3! = 6$ 通りあります。見た目上はすべて同じ「A A A」になるため、$3!$ で割ります。
- B の内部での入れ替えを解消する2個の B(B₁, B₂)の並べ替えは $2! = 2$ 通りあります。見た目上はすべて同じ「B B」になるため、$2!$ で割ります。
したがって、計算式は以下のようになります。
$$\frac{5!}{3!2!} = \frac{120}{6 \times 2} = \mathbf{10 \text{通り}}$$
3. 【実践例題1】文字列の並べ替え問題
定期テストでよく出る英語の単語を使った並べ替え問題です。
【例題】
「INDIAN」の6つの文字すべてを使ってできる順列は何通りあるか。
解答・解説
まず、含まれている文字の内訳を整理します。
- I : 2個
- N : 2個
- D : 1個
- A : 1個
- 合計 : 6個
同じものが 「Iが2個」「Nが2個」 含まれているので、公式 $\frac{n!}{p!q!}$ を使います。
$$\frac{6!}{2!2!} = \frac{720}{2 \times 2} = \mathbf{180 \text{通り}}$$
【答え】 180通り
4. 【超重要】最短経路(道順)問題への応用!
同じものを含む順列の考え方は、図形問題である「格子状の最短経路」を求める際に大活躍します。
なぜ「道順」が「同じものを含む順列」になるの?
下図のような、地点 A から地点 B へ行く最短ルートを考えてみましょう。
B ○---○---○---○
| | | |
○---○---○---○
| | | |
A ○---○---○---○
最短で行くためには、どのようなルートを通っても必ず「右に3コマ(→→→)」「上に2コマ(↑↑)」進む必要があります。
つまり、どんなルートを通るかということは、「→」3個と「↑」2個の計5個をどう並べるかという問題と完全に同じなのです!
【例1】 → → → ↑ ↑ (右へ3つ行ってから上へ2つ)
【例2】 → ↑ → ↑ → (ジグザグに進む)
【実践例題2】途中の点を通る最短経路
下の図のような道路網がある。A から C を通って B まで行く最短の道順は何通りあるか。
(C) (B) ○---○---○---○---○ | | | | | ○---○---○---○---○ | | | | | ○---○---○---○---○ (A)※ A は左下 $(0,0)$、C は $(1,2)$ の位置、B は右上 $(4,2)$ の位置とする。
解答・解説
「A $\to$ C」と「C $\to$ B」の 2つの区間に分けて計算し、積の法則で掛け合わせます。
- A から C への道順
- 右方向(→):1コマ
- 上方向(↑):2コマ
- 計3コマ の並べ替え $\to$ $\frac{3!}{1!2!} = \mathbf{3 \text{通り}}$
- C から B への道順
- 右方向(→):3コマ
- 上方向(↑):0コマ(直線)
- ※上には進まないため、右に進む 1通り だけです。
- (計算で書くなら $\frac{3!}{3!0!} = \mathbf{1 \text{通り}}$)
- 積の法則で掛け合わせる$$3 \times 1 = \mathbf{3 \text{通り}}$$
【答え】 3通り
5. まとめ
- 同じものを含む順列:同じものの個数の階乗( $p!, q! \cdots$ )で全体( $n!$ )を割る!
- 公式: $\mathbf{\frac{n!}{p!q!r!}}$
- 最短経路問題:右方向「→」と上方向「↑」の並べ替え問題に置き換えて解く!
同じものを含む順列マスターになれば、一見難しそうな道のり計算も秒殺できるようになります。
次回は、いよいよ「選ぶだけで並べない」グループ作りの基本「第37回:組み合わせ C の計算方法と順列 P との違い」を解説します!
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