「三垂線の定理って、名前は聞いたことあるけど何が言いたいのかよく分からない……」
「1、2、3のパターンの違いがややこしくて問題で使いこなせない!」
高校数学A「図形の性質(空間図形編)」の第14回(空間図形 第2回)は、空間における長さや角、距離を求める計算問題で超強力な威力を発揮する「三垂線の定理(さんすいせんのていり)」を解説します!
一見複雑に見えるこの定理ですが、本質は前回の「直線と平面の垂直条件」の応用です。「どの 2 つの垂直から、どの 3 つ目の垂直が導かれるのか」という構造を視覚的な図と一緒にマスターしましょう!
1. 三垂線の定理とは?(3つの基本パターン)
平面 $\alpha$ と、その上にない点 $P$ を考えます。
平面 $\alpha$ 上に直線 $l$ があり、点 $P$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足を $O$ とします。
💡 【三垂線の定理】
平面 $\alpha$ 上の直線 $l$ と、その上にない点 $O$、平面外の点 $P$ について:
- パターン①: $PO \perp \alpha$ かつ $OA \perp l$ $\Rightarrow$ $\mathbf{PA \perp l}$
- パターン②: $PO \perp \alpha$ かつ $PA \perp l$ $\Rightarrow$ $\mathbf{OA \perp l}$
- パターン③: $PA \perp l$, $OA \perp l$(ただし $O, A$ は $l$ 上の異なる点)かつ $PO \perp OA$ $\Rightarrow$ $\mathbf{PO \perp \alpha}$
P (平面外の点)
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/ |
/ |
A----O (平面 α 上)
/
/ l (平面 α 上の直線)
イメージの掴み方(特にパターン①・②):
直角三角形 $POA$ があり、その「底辺($OA$)」や「斜辺($PA$)」が平面上の線 $l$ と垂直ならば、残る一方の辺も線 $l$ と垂直になるという「垂直の伝染」を表しています!
2. なぜ成り立つ? パターン①の1分証明
基本となるパターン①($PO \perp \alpha, OA \perp l \Rightarrow PA \perp l$)の仕組みを確認しましょう。
【証明のながれ】
1. $PO \perp \alpha$ より、直線 $PO$ は平面 $\alpha$ 上のあらゆる直線と垂直である。したがって、$PO \perp l$。
2. 仮定より $OA \perp l$ なので、直線 $l$ は平面 $POA$ 上の交わる 2 直線 $PO, OA$ の両方に垂直である。
3. 直線と平面の垂直条件より、直線 $l$ は平面 $POA$ 全体と垂直($l \perp \text{平面 } POA$)となる。
4. 直線 $PA$ は平面 $POA$ 上の直線なので、当然 $l \perp PA$(つまり $\mathbf{PA \perp l}$)が成り立つ!【証明終】
3. 【実践例題】三垂線の定理を使った空間の距離・長さ計算
【例題1】点と直線の距離の計算(基本)
平面 $\alpha$ 上にない点 $P$ から $\alpha$ に下ろした垂線を $PO$ とし、$PO = 4$ とする。
平面 $\alpha$ 上にある直線 $l$ と点 $O$ との距離が $3$ であるとき、点 $P$ と直線 $l$ との距離(線分 $PA$ の長さ)を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 三垂線の定理を適用する準備をする
点 $O$ から直線 $l$ に下ろした垂線の足を $A$ とします。
条件より $PO \perp \alpha$ であり、「点 $O$ と直線 $l$ との距離が $3$」とは $OA \perp l$ かつ $OA = 3$ であることを意味します。
2. 三垂線の定理(パターン①)を用いる
$PO \perp \alpha$ かつ $OA \perp l$ より、三垂線の定理から $\mathbf{PA \perp l}$ が成り立つ。
したがって、求める「点 $P$ と直線 $l$ との距離」とは、線分 $PA$ の長さそのものになります。
3. 直角三角形 $\triangle POA$ に三平方の定理を適用する
$PO \perp \alpha$ より $PO \perp OA$ なので、$\triangle POA$ は $\angle POA = 90^\circ$ の直角三角形です。
$$PA^2 = PO^2 + OA^2$$
$$PA^2 = 4^2 + 3^2 = 16 + 9 = 25$$
$PA > 0$(長さ)より:
$$PA = 5$$
【答え】 $\mathbf{5}$
【例題2】立方体における垂線の長さ(応用)
1 辺の長さが $2$ の立方体 $ABCD-EFGH$ において、頂点 $A$ から対角線 $FH$ に下ろした垂線を $AK$ とする。線分 $AK$ の長さを求めよ。 解答・解説を表示する
1. 三垂線の定理の構造を見つけ出す
* 平面 $EFGH$ 外の点:頂点 $A$
* 点 $A$ から平面 $EFGH$ に下ろした垂線の足:頂点 $E$($AE \perp \text{平面 } EFGH$、長さ $AE = 2$)
* 平面 $EFGH$ 上の直線:対角線 $FH$
点 $E$ から対角線 $FH$ に垂線 $EK$(足 $K$)を下ろすと、三垂線の定理パターン①より $\mathbf{AK \perp FH}$ となります。
2. 正方形 $EFGH$ において $EK$ の長さを求める
底面 $EFGH$ は 1 辺 $2$ の正方形で、対角線 $FH = 2\sqrt{2}$ です。
対角線の交点に向かって二等分されるため、直角二等辺三角形 $\triangle EKF$ に着目すると、$EK$ の長さは対角線の半分になります。
$$EK = \sqrt{2}$$
3. 直角三角形 $\triangle AEK$ から $AK$ を計算する
$AE \perp \text{平面 } EFGH$ より $\angle AEK = 90^\circ$ です。
$$AK = \sqrt{AE^2 + EK^2} = \sqrt{2^2 + (\sqrt{2})^2} = \sqrt{4 + 2} = \sqrt{6}$$
【答え】 $\mathbf{AK = \sqrt{6}}$
4. まとめ
- 三垂線の定理: 2 つの直角関係(垂直)から、自動的に 3 つ目の直角関係 が生み出される定理。
- 使いどころ: 「平面外の点」から「平面上の直線」までの最短距離を求めたいとき!
- 基本の流れ: 平面への垂線の足 $O$ を探し、そこから直線へ垂線を下ろして直角三角形 $\triangle POA$ を作る。
三垂線の定理を扱えるようになると、空間内の立体を平面に切り出して長さを計算できるようになります!
次回は「【数A:第15回】多面体と正多面体|正多面体が5種類しかない理由とオイラーの多面体定理」を解説します!
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