「『〜のとき』って言われたら、全体の分母が変わるの?」
「$P(A \cap B)$ と $P_A(B)$ の違いがイマイチ分からない……」
高校数学A「場合の数と確率」の第33回(第16回)は、受験やテストで差がつきやすい最重要概念「条件付き確率(Conditional Probability)」を解説します!
文章題から「何が条件(前提)で、何が求める事象なのか」を正しく見極め、公式の使い方と問題解決のコツをマスターしましょう!
1. 条件付き確率とは?
ある事象 $A$ が起こったという前提(条件)のもとで、事象 $B$ が起こる確率のことを、$A$ が起こったときの $B$ の条件付き確率といい、記号で $P_A(B)$ と表します。
💡 【直感的なイメージ:全事象(分母)の縮小】
通常の確率 $P(B)$ は、全体のすべての起こり得る場合 $U$(全事象)を分母とします。
しかし、条件付き確率 $P_A(B)$ では、「事象 $A$ が起こった」ことが確定しているため、世界(分母)が $U$ から $A$ に縮小されます。
その縮小された $A$ の中で、さらに $B$ も起こっている部分(つまり $A \cap B$)の割合を計算します。
2. 条件付き確率の計算公式
事象 $A$ が起こる確率 $P(A)$ が $0$ でないとき、条件付き確率 $P_A(B)$ は次の公式で求められます。
💡 【条件付き確率の公式】
$$\mathbf{P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}}$$
※ 個数(場合の数)で計算する場合は、次のようになります:
$$\mathbf{P_A(B) = \frac{n(A \cap B)}{n(A)}}$$
| 記号・式 | 意味と役割 |
|---|---|
| $P(A)$ または $n(A)$ | 新しい分母(前提条件となる事象 $A$ の確率または場合の数) |
| $P(A \cap B)$ または $n(A \cap B)$ | 分子(条件 $A$ を満たし、かつ目的の $B$ も満たす確率または場合の数) |
3. 【実践例題】条件付き確率の演習
【例題1】基本問題(場合の数からのアプローチ)
あるクラスの生徒 40 人について、男子が 22 人、女子が 18 人いる。
また、通学で電車を利用している生徒は男子 12 人、女子 6 人である。
クラスから無作為に 1 人選んだところ「電車を利用している生徒」であったとき、その生徒が「男子である確率」を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 事象を整理する
- 事象 $A$ : 選ばれた生徒が「電車を利用している」
- 事象 $B$ : 選ばれた生徒が「男子である」
問題文の「電車を利用している生徒であったとき」というフレーズから、事象 $A$ が前提条件(分母)となります。
2. それぞれの場合の数(人数)を求める
- 電車を利用している生徒の総数 $n(A) = 12 + 6 = 18$ 人
- 電車を利用していて、かつ男子である人数 $n(A \cap B) = 12$ 人
3. 条件付き確率の公式にあてはめる
$$P_A(B) = \frac{n(A \cap B)}{n(A)} = \frac{12}{18} = \frac{2}{3}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{2}{3}}$
【例題2】くじ引きの条件付き確率(原因の確率)
10 本中 3 本のあたりが入っているくじがある。
引いたくじは元に戻さないものとして、A 君、B 君の順に 1 本ずつくじを引く。
B 君があたりを引いたとき、A 君もあたりを引いていた確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 事象を設定する
- 事象 $A$ : A 君があたりを引く
- 事象 $B$ : B 君があたりを引く
求めたいのは、B 君があたりを引いたという前提のもとで A 君もあたりであった確率、すなわち $P_B(A) = \frac{P(B \cap A)}{P(B)}$ です。
2. $P(B)$ (B 君があたりを引く確率)を求める
B 君があたりを引くには次の 2 パターンがあります。
- [1] A があたり、B もあたり: $\frac{3}{10} \times \frac{2}{9} = \frac{6}{90}$
- [2] A がハズレ、B はあたり: $\frac{7}{10} \times \frac{3}{9} = \frac{21}{90}$
これらは排反なので足します:
$$P(B) = \frac{6}{90} + \frac{21}{90} = \frac{27}{90}$$
3. $P(A \cap B)$ (A も B もあたりを引く確率)を求める
$$P(A \cap B) = \frac{6}{90}$$
4. 条件付き確率を計算する
$$P_B(A) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)} = \frac{\frac{6}{90}}{\frac{27}{90}} = \frac{6}{27} = \frac{2}{9}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{2}{9}}$
4. まとめ
- 条件付き確率: 事象 $A$ が起きた前提のもとでの $B$ の確率 $P_A(B)$。
- 計算公式: $P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} = \frac{n(A \cap B)}{n(A)}$ (「分母=前提条件」と覚える!)。
- 読解のポイント: 問題文の「〜のとき、…である確率」の「〜」にあたる部分を分母に設定する!
条件付き確率の構造と分母の切り替え方がマスターできました!
次回は「【数A:第34回】確率の乗法定理| $P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)$ の意味と連続した試行の計算」を解説します!
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