「垂心ってどうやって角度を求めるの?直交する線がたくさんあって混乱する……」
「傍心って教科書の隅に載っているけれど、テストで出たときどう考えればいい?」
高校数学A「図形の性質」の第38回(第3回)は、三角形の「五心」を完成させる【垂心(すいしん)・傍心(ぼうしん)】を解説します!
前回学んだ外心・内心・重心とあわせて、これで三角形の五心がすべて出揃います。垂心の持つ「円に内接する四角形」の隠れた性質や、傍心の幾何的意味までしっかり押さえて完璧に整理しましょう!
1. 垂心(H)の定義と決定的な性質
三角形の各頂点から対辺(またはその延長)に下ろした 3 つの垂線の交点を垂心(H)と呼びます。
💡 【垂心(H)のポイント】
・頂点から対辺へ垂直($90^\circ$)に線を下ろす。
・鋭角三角形では三角形の内部、直角三角形では直角の頂点上、鈍角三角形では外部に垂心が存在する。
🔍 垂心問題の解法カギ:「円に内接する四角形」を見つける!
垂線によって $90^\circ$ の角がたくさんできるため、「対角の和が $180^\circ$」 または 「円周角の定理の逆(直角に対する円)」 により、図形の中に多くの「円に内接する四角形」が潜んでいます。
- 対角の和が $90^\circ + 90^\circ = 180^\circ$ となる四角形が複数存在する。
- 直角に対する対辺(斜辺)を直径とする円を描くことで、未知の角度を同角に変換できる。
2. 傍心(Ia, Ib, Ic)の定義と決定的な性質
三角形の 1 つの内角の二等分線と、残り 2 つの外角の二等分線の交点を傍心(ぼうしん)と呼びます。
💡 【傍心のポイント】
・三角形には各頂点に対応して 3 つの傍心が存在する。
・傍心を中心とし、1 辺と残り 2 辺の延長線に接する円を傍接円(ぼうせつえん)という。
・3 辺(またはその延長)までの距離(垂直の長さ)が等しい。
内心が「三角形の内側で 3 辺に接する」のに対し、傍心は「三角形の外側で 1 辺と 2 辺の延長に接する」双子のような関係にあります。
3. 【保存版】三角形の「五心」完全対比表
テストや共通テストで混同しないよう、5 つの心を一気に整理しておきましょう!
| 名称 | 交点をつくる直線 | 図形的性質・特徴 | 個数 |
|---|---|---|---|
| 外心(O) | 各辺の垂直二等分線 | 3 頂点までの距離が等しい(外接円) | 1 個 |
| 内心(I) | 各角の内角の二等分線 | 3 辺までの距離が等しい(内接円) | 1 個 |
| 重心(G) | 各頂点からの中線 | 中線を $2 : 1$ に内分する | 1 個 |
| 垂心(H) | 各頂点からの垂線 | 円に内接する四角形が多数生まれる | 1 個 |
| 傍心(Ia) | 1つの内角と2つの外角の二等分線 | 1辺と2辺の延長線までの距離が等しい(傍接円) | 3 個 |
4. 【実践例題】垂心と傍心の演習
【例題1】垂心と角度(応用)
鋭角三角形 $\text{ABC}$ の垂心を $\text{H}$ とし、頂点 $\text{A}, \text{B}$ から対辺に下ろした垂線をそれぞれ $\text{AD}, \text{BE}$ とする。
$\angle \text{BAC} = 70^\circ$, $\angle \text{ABC} = 60^\circ$ のとき、$\angle \text{AHE}$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する
1. 直角三角形 $\triangle \text{ADC}$ や $\triangle \text{BEC}$ に注目する
$\text{AD} \perp \text{BC}$ より、$\triangle \text{ABD}$ は直角三角形です。
$$\angle \text{BAD} = 90^\circ – \angle \text{ABC} = 90^\circ – 60^\circ = 30^\circ$$
2. 直角三角形 $\triangle \text{AEH}$ に注目する
$\text{BE} \perp \text{AC}$ より、$\angle \text{AEH} = 90^\circ$ です。
$\triangle \text{AEH}$ において内角の和は $180^\circ$ なので:
$$\angle \text{AHE} = 90^\circ – \angle \text{EAH} = 90^\circ – \angle \text{BAD} = 90^\circ – 30^\circ = 60^\circ$$
【答え】 $\mathbf{\angle AHE = 60^\circ}$
【例題2】傍心と角度(発展)
$\triangle \text{ABC}$ の頂点 $\text{A}$ における内角の二等分線と、頂点 $\text{B}, \text{C}$ における外角の二等分線の交点を傍心 $\text{I}_a$ とする。
$\angle \text{A} = 50^\circ$ のとき、$\angle \text{BI}_a\text{C}$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する
1. 外角の和の性質を利用する
頂点 $\text{B}, \text{C}$ における外角をそれぞれ $2x, 2y$ とおきます。
三角形の外角の性質より、内角との関係は:
$$2x + 2y = (180^\circ – \angle \text{B}) + (180^\circ – \angle \text{C}) = 360^\circ – (\angle \text{B} + \angle \text{C})$$
ここで $\triangle \text{ABC}$ の内角の和より $\angle \text{B} + \angle \text{C} = 180^\circ – \angle \text{A} = 180^\circ – 50^\circ = 130^\circ$ です。
これを代入すると:
$$2x + 2y = 360^\circ – 130^\circ = 230^\circ \implies x + y = 115^\circ$$
2. $\triangle \text{BI}_a\text{C}$ に注目する
$\angle \text{I}_a\text{BC} = x$, $\angle \text{I}_a\text{CB} = y$ であるため、$\triangle \text{BI}_a\text{C}$ の内角の和より:
$$\angle \text{BI}_a\text{C} = 180^\circ – (x + y) = 180^\circ – 115^\circ = 65^\circ$$
※一般に $\angle \text{BI}_a\text{C} = 90^\circ – \frac{1}{2}\angle \text{A}$ の公式としても知られています!($90^\circ – 25^\circ = 65^\circ$)
【答え】 $\mathbf{\angle BI_aC = 65^\circ}$
5. まとめ
- 垂心(H): 各頂点からの垂線の交点 $\rightarrow$ 直角から円に内接する四角形を探す!
- 傍心(Ia): 1つの内角+2つの外角の二等分線の交点 $\rightarrow$ 1 三角形につき 3 つ存在!
- 五心の覚え方: 「外二(垂直二等分線)」「内二(角の二等分線)」「重中(中線)」「垂垂(垂線)」と条件をセットで暗記しよう!
これで三角形の「五心」の単元がすべて完了しました!
次回は「【数A:第39回】チェバの定理・メネラウスの定理|図形の線分比を求める2大公式」を解説します!
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