「条件付き確率の公式を変形しただけ……? どういう場面で使うの?」
「『元に戻さないくじ引き』で毎回掛け算をする理由をスッキリ納得したい!」
高校数学A「場合の数と確率」の第34回(第17回)は、連続して起こる事象の確率をスムーズに計算するための最重要ルール「確率の乗法定理(Multiplication Rule for Probability)」を解説します!
独立な試行の掛け算との違いや、「くじを元に戻さない試行」における具体的な式の立て方をしっかりマスターしましょう!
1. 確率の乗法定理とは?
前回学習した「条件付き確率の公式」の両辺に分母の $P(A)$ を掛けることで得られる、2つの事象がともに起こる確率 $P(A \cap B)$ を求めるための定理です。
💡 【確率の乗法定理の公式】
2つの事象 $A, B$ について、$P(A) > 0$ のとき:
$$\mathbf{P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)}$$
※ 「事象 $A$ が起こり、かつ(条件付きで)事象 $B$ も起こる確率」は、「$A$ が起こる確率」と「$A$ が起こったという前提のもとで $B$ が起こる確率」の掛け算で計算できるというルールです。
独立な試行の公式との違い
- 試行が独立なとき: $B$ の確率は $A$ の結果に影響されないため $P_A(B) = P(B)$ となり、 $P(A \cap B) = P(A) \times P(B)$ となります。
- 試行が独立でない(従属な)とき: $A$ の結果によって $B$ の確率が変わるため、変化後の確率 $P_A(B)$ を掛ける必要があります。
2. 3つの事象へ拡張した乗法定理
事象が3つ($A \rightarrow B \rightarrow C$)と連続して起こる場合も、同様に順に掛けていくことで計算できます。
💡 【3つの事象の乗法定理】
$$\mathbf{P(A \cap B \cap C) = P(A) \times P_A(B) \times P_{A \cap B}(C)}$$
* 1番目が起こる確率 $\rightarrow$ $P(A)$
* 1番目が起きた下で 2番目が起こる確率 $\rightarrow$ $P_A(B)$
* 1番目と2番目が起きた下で 3番目が起こる確率 $\rightarrow$ $P_{A \cap B}(C)$
3. 【実践例題】確率の乗法定理の演習
【例題1】元に戻さないくじ引き(2回の連続試行)
10本中3本のあたりが入っているくじがある。
引いたくじは元に戻さないものとして、A君、B君の順に1本ずつくじを引くとき、2人ともあたりを引く確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 事象を設定する
- 事象 $A$ : A君があたりを引く
- 事象 $B$ : B君があたりを引く
求める確率は、$P(A \cap B)$ です。
2. それぞれの確率を求める
- まず、A君があたりを引く確率は $P(A) = \frac{3}{10}$ です。
- A君があたりを引いた後、くじは残り9本(あたりは2本)になるため、その前提でB君があたりを引く確率は $P_A(B) = \frac{2}{9}$ です。
3. 乗法定理で計算する
$$P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B) = \frac{3}{10} \times \frac{2}{9} = \frac{6}{90} = \frac{1}{15}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{1}{15}}$
【例題2】3回連続で引く試行(応用)
赤玉 5個、白玉 4個が入っている袋から、玉を1個ずつ取り出す。
ただし、取り出した玉は元に戻さないものとする。
1番目に赤玉、2番目に白玉、3番目に赤玉を取り出す確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 各ステップでの袋の中身と確率の変化を追いかける
- 1番目(赤玉):
全体9個のうち赤玉5個 $\rightarrow$ 確率は $\mathbf{\frac{5}{9}}$
(袋の残り:赤4個、白4個 / 計8個) - 2番目(白玉):
全体8個のうち白玉4個 $\rightarrow$ 確率は $\mathbf{\frac{4}{8}} = \frac{1}{2}$
(袋の残り:赤4個、白3個 / 計7個) - 3番目(赤玉):
全体7個のうち赤玉4個 $\rightarrow$ 確率は $\mathbf{\frac{4}{7}}$
2. 乗法定理(3つの事象)を適用する
$$P = \frac{5}{9} \times \frac{4}{8} \times \frac{4}{7} = \frac{5}{9} \times \frac{1}{2} \times \frac{4}{7} = \frac{20}{126} = \frac{10}{63}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{10}{63}}$
4. まとめ
- 確率の乗法定理: $P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)$ (条件が変化していく連続試行の掛け算ルール)。
- 非復元抽出の考え方: 「元に戻さない」試行では、1回進むごとに分母(全体数)と分子(対象の数)の両方の変化に注目して順番に掛ける!
- 独立との使い分け: 影響しないなら通常の掛け算 $P(A) \times P(B)$、影響するなら状況変化を考慮した $P(A) \times P_A(B)$!
連続した試行における確率の掛け算の仕組みが完璧に整理できました!
次回は「【数A:第35回】場合の数と確率の総復習|定期テスト・入試頻出問題で全パターン完全攻略」を解説します!
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