【数A:第15回】長さの積・商と平方根($\sqrt{a}$)の作図|平面図形②(相似と方べきの定理の応用)

数学A

「与えられた線分の長さを使って、積 $ab$ や商 $\frac{a}{b}$ を作図できるの?」
「$\sqrt{a}$ や $\sqrt{x}$ の長さを定規とコンパスだけで描き出す手順が知りたい!」

高校数学A「図形の性質」の第44回(第9回)は、基本作図を一歩進めた「長さの計算(積・商)の作図」と「平方根($\sqrt{a}$)の作図」を解説します!

一見すると代数的な計算に見える数式を、「平行線と線分の比(相似)」「方べきの定理・三平方の定理」という図形の性質を使って線分の長さとして表現するテクニックをマスターしましょう!


1. 長さ 1 の線分を用いた「積 $ab$」と「商 $\frac{a}{b}$」の作図

長さ $1, a, b$ の 3 つの線分が与えられたとき、「平行線と線分の比」を利用して求める長さを代数的に作図できます。

💡 【積 $x = ab$ の作図原理】
比例式 $1 : a = b : x$ を作れば、内項の積=外項の積 より $x = ab$ となります。

  1. 角の頂点 $\text{O}$ から伸びる 2 つの半直線上に、一方に長さ $1, b$ の点、他方に長さ $a$ の点を取る。
  2. 長さ $1$ の点と長さ $a$ の点を直線で結ぶ。
  3. 長さ $b$ の点を通り、その直線に平行な直線を引くと、もう一方の半直線上に長さ $x = ab$ が作図できる!

💡 【商 $x = \frac{a}{b}$ の作図原理】
比例式 $b : a = 1 : x$ を作れば、$bx = a \implies x = \frac{a}{b}$ となります。

  1. 一方の半直線上に長さ $b, 1$ の点、他方に長さ $a$ の点を取る。
  2. 長さ $b$ の点と長さ $a$ の点を結び、長さ $1$ の点から平行線を引くことで長さ $x = \frac{a}{b}$ を作図できる!

2. 平方根 $\sqrt{a}$ の作図(2つのアプローチ)

長さ $1$ と長さ $a$ の線分が与えられたとき、$\sqrt{a}$ の長さを引き出すには 「方べきの定理(または直径に対する円周角)」 または 「三平方の定理」 を使います。

アプローチ A:方べきの定理(割線と接線)を利用

💡 【方べきの定理による $\sqrt{a}$ の作図】
方べきの定理 $\text{PA} \cdot \text{PB} = \text{PT}^2$ において、$\text{PA} = 1, \text{PB} = a$ となるように点を取れば:
$$1 \cdot a = \text{PT}^2 \implies \mathbf{\text{PT} = \sqrt{a}}$$
直線上に長さ $1$ と長さ $a$ を並べた線分を割線とし、その外部から円へ接線を引く(または円周角 $90^\circ$ を用いて直角三角形の高さを取る)ことで、接線長や高さとして $\sqrt{a}$ が得られます。

アプローチ B:三平方の定理と円(直角三角形の高さ)を利用

💡 【半円と直角三角形による $\sqrt{a}$ の作図】

  1. 直線上に長さ $1$ の線分 $\text{AH}$ と長さ $a$ の線分 $\text{HB}$ を隣り合うように配置し、線分 $\text{AB}$(長さ $1+a$)を作る。
  2. 線分 $\text{AB}$ を直径とする半円を描く。
  3. 境界の点 $\text{H}$ から直径 $\text{AB}$ に垂線を立て、半円との交点を $\text{C}$ とする。
  4. $\triangle \text{ABC}$ は $\angle \text{C} = 90^\circ$ の直角三角形となり、$\text{CH}^2 = \text{AH} \cdot \text{HB} = 1 \cdot a$ が成立!
    したがって、垂線の長さ $\mathbf{\text{CH} = \sqrt{a}}$ となる。

🔍 なぜ $\text{CH} = \sqrt{a}$ になるの?(相似による証明)

直径 $\text{AB}$ に対する円周角は $\angle \text{ACB} = 90^\circ$ です。
垂線 $\text{CH}$ によってできる 2 つの直角三角形は相似($\triangle \text{ACH} \sim \triangle \text{CBH}$)になるため:
$$\text{AH} : \text{CH} = \text{CH} : \text{HB} \implies \text{CH}^2 = \text{AH} \cdot \text{HB}$$ $\text{AH} = 1, \text{HB} = a$ を代入すると $\text{CH}^2 = a \implies \text{CH} = \sqrt{a}$ となります!


3. 【実践例題】代数作図の演習

【例題1】$\sqrt{3}$ の長さの作図手順

長さ $1$ の線分が与えられているとき、長さ $\sqrt{3}$ の線分を作図する手順を 2 つの方法のいずれかで説明せよ。 解答・解説を表示する

【解答例:半円と垂線を利用する方法】

  1. 直線上において、長さ $1$ の線分 $\text{AH}$ と、長さ $3$ の線分 $\text{HB}$(長さ $1$ の線分を 3 つつなげたもの)を隣り合わせに取る。
  2. 線分 $\text{AB}$(長さ $1 + 3 = 4$)の中点 $\text{M}$ を垂直二等分線によって求め、点 $\text{M}$ を中心として半径 $\text{MA} = 2$ の半円を描く。
  3. 点 $\text{H}$ を通る直線 $\text{AB}$ の垂線を作図し、半円との交点を $\text{C}$ とする。
  4. このとき、線分 $\text{CH}$ の長さが求める $\sqrt{3}$ となる。

【根拠】
直径に対する円周角より $\angle \text{ACB} = 90^\circ$。直角三角形の相似より $\text{CH}^2 = \text{AH} \cdot \text{HB} = 1 \cdot 3 = 3$。したがって $\text{CH} = \sqrt{3}$ となる。

【例題2】比例式を利用した積の作図の立式

長さ $1, a, b$ の線分を用いて、長さ $x = \frac{a^2}{b}$ を作図するためのステップを説明せよ。 解答・解説を表示する

【方針】
$x = \frac{a^2}{b}$ は $b : a = a : x$ という比例式に書き換えることができます。

【手順】

  1. 任意の角 $\angle \text{XOY}$ を作る。
  2. 半直線 $\text{OX}$ 上に $\text{OP} = b$, $\text{OQ} = a$ となる点 $\text{P}, \text{Q}$ を取る。
  3. 半直線 $\text{OY}$ 上に $\text{OR} = a$ となる点 $\text{R}$ を取る。
  4. 点 $\text{P}$ と点 $\text{R}$ を結ぶ直線 $\text{PR}$ を引く。
  5. 点 $\text{Q}$ を通り、直線 $\text{PR}$ に平行な直線を引き、半直線 $\text{OY}$ との交点を $\text{S}$ とする。
  6. 線分 $\text{RS}$ の長さ(または $\text{OS}$ から $\text{OR}$ を引いた残り)ではなく、$\text{OS}$ 全体の長さが $x = \frac{a^2}{b}$ となる。

【根拠】
平行線と比の性質より $\text{OP} : \text{OQ} = \text{OR} : \text{OS} \implies b : a = a : \text{OS}$ となり、$b \cdot \text{OS} = a^2 \implies \text{OS} = \frac{a^2}{b}$ となる。


4. まとめ

  • 積・商の作図: 比例式を作って「平行線と線分の比」を利用する!
  • 平方根 $\sqrt{a}$ の作図: 長さ $1$ と $a$ をつなげて直径 $1+a$ の半円を描き、境界から立てた垂線の長さが $\sqrt{a}$!
  • 代数と図形の融合: 数式(掛け算・割り算・ルート)の計算を「幾何学的な操作」に置き換える視点がポイント!

長さの積・商や平方根の作図テクニックまでマスターできました!

次回は「【数A:第16回】空間図形と位置関係|空間図形①(直線と平面的位置関係・ねじれの位置・平行と垂直)」を解説します!

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