「同じ数字や記号を何回使ってもいいと言われたら、どう計算する?」
「$n^r$ なのか $r^n$ なのか、どっちがどっちだか分からなくなる…」
普通の順列($_nP_r$)では「1度使ったものは二度と使えない」というルールがありましたが、今回の「重複順列」は「何度でも繰り返し使ってOK」というルールに変わります。
一見難しそうに見えますが、仕組みさえ理解してしまえば公式を覚える必要すらないほどシンプルなテーマです。
今回は、受験生がよく陥る「底($n$)と指数($r$)の逆転ミス」を防ぐ決定的な考え方と、定期テスト・共通テストで頻出の解法パターンを詳しく解説します!
1. 重複順列とは?
異なる $n$ 個のものから、同じものを何度も重複して選ぶことを許して、$r$ 個選んで一列に並べる並べ方を重複順列と呼びます。
💡 普通の順列($_nP_r$)との違い
- 普通の順列($_nP_r$): カードを1枚選んだら、次は残りから選ぶ(選択肢が減る)。
- 重複順列($n^r$): 1回使った選択肢も戻して何度でも使える(選択肢がずっと減らない)。
2. 重複順列の公式と計算方法
💡 【重複順列の公式】
異なる $n$ 種類のものから、重複を許して $r$ 個並べる並べ方の総数は、
$$\mathbf{n^r \quad \text{通り}}$$
※教科書によっては記号 $\Pi$(パイ)を用いて $_n\Pi_r = n^r$ と表すこともありますが、高校数学では直接 $n^r$ の形で計算するのが主流です。
なぜ $n^r$ になるの?(積の法則での考え方)
例えば、「1, 2, 3 の3種類の数字を重複して使って、3桁の整数を作る」場面を考えてみましょう。
【桁の場所】 [ 百の位 ] [ 十の位 ] [ 一の位 ]
【選べる数字】 3通り × 3通り × 3通り = 3³ = 27通り
- 百の位: 1, 2, 3 の 3通り
- 十の位: 百の位で使った数字も使えるので 3通り
- 一の位: 再び 1, 2, 3 のどれでも良いので 3通り
積の法則より、$3 \times 3 \times 3 = 3^3 = \mathbf{27 \text{通り}}$ と計算できます。
つまり、「1回ごとの選択肢 $n$ 通り」を「試す回数 $r$ 回」分だけ掛け合わせるので $n^r$ となるのです!
3. 【超重要】$n^r$ と $r^n$ どっち?迷ったときの判別法!
重複順列で一番多い間違いが、「$n^r$ なのか $r^n$ なのか分からなくなる」というミスです。
例えば、「5人の生徒を A, B の2つの部屋に分ける方法は何通りか?」という問題。
$5^2 = 25$ 通りでしょうか? それとも $2^5 = 32$ 通りでしょうか?
迷わないための極意:「選ぶ側」目線で考える!
公式のアルファベット($n, r$)に当てはめようとすると混乱します。
「決定権を持っているのはどちらか(選択肢を選ぶのは誰か?)」を考えましょう!
- 部屋(A, B)目線で考える(間違い):部屋Aが「生徒を誰にするか」を選ぶと、生徒がかぶったり余ったりして上手く分類できません。
- 生徒(5人)目線で考える(正しい):生徒一人ひとりが「自分はAとBのどっちに入るか」という2通りの選択肢を持っています。
【生徒】 [1人目] [2人目] [3人目] [4人目] [5人目]
【選択肢】 2通り × 2通り × 2通り × 2通り × 2通り = 2⁵ = 32通り
一人あたり 2通りの選択肢が 5人分連続して起こるので、正解は $2^5 = \mathbf{32 \text{通り}}$ となります。
💡 まとめテクニック
(選択肢の数)$^{\text{選ぶ主体の数}}$
と覚えておけば、絶対に迷いません!
4. 【実践例題】定期テスト・入試の定番問題
【例題1】〇✕クイズ(基本)
6問の〇✕クイズがある。すべての問題に〇か✕のどちらかを答えるとき、答え方は何通りあるか。
解答・解説
1問につき「〇」か「✕」の 2通りの選択肢 があり、それが 6問題分 あります。
$$2^6 = 2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 2 = \mathbf{64 \text{通り}}$$
【例題2】部屋割り・グループ分け(「空き部屋があってはならない」条件つき)
5人の生徒を A, B の 2つの部屋に入れる。ただし、どちらの部屋にも少なくとも1人は入るものとする。部屋の入り方は何通りあるか。
解答・解説
「少なくとも1人は入る=空き部屋を作ってはいけない」という制限がついた問題です。
このような条件がある場合は、「全体の分け方」から「ダメなパターン(空き部屋ができる場合)」を引く(余事象)のが鉄則です!
- 全員が自由に部屋を選ぶ(全体の分け方)一人あたり A, B の 2通り $\to$ 5人分なので、$$2^5 = 32 \text{通り}$$
- 空き部屋ができる「ダメなパターン」を数える
- 全員が A 部屋に入る(B が空になる) $\to$ 1通り
- 全員が B 部屋に入る(A が空になる) $\to$ 1通り合計 2通り が条件を満たさないパターンです。
- 全体から引き算する$$32 – 2 = \mathbf{30 \text{通り}}$$
【答え】 30通り
5. まとめ
- 重複順列:同じものを何度使っても良い並べ方(公式は $n^r$ )。
- 迷ったときの鉄則:(1回あたりの選択肢)$^{\text{試す回数・人数の乗数}}$ で立式する!
- 部屋割り問題:「空部屋を作らない」条件がついたら、全体から「全員が1つの部屋に偏る場合」を引く!
次回は、同じ文字を並べ替えるときのテクニック「第36回:同じものを含む順列の解法と公式」を解説します!
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