【数A:第2回】三角形の内心・外心・重心・垂心|図形の性質②(4つの重要な中心の性質)

数学A

「三角形の『内心』『外心』『重心』『垂心』って、名前も定義も似ていてどれがどれだかごちゃ混ぜになりやすい……」
「それぞれの中心が『何の線のかわりの交点』なのか、スッキリ見分けるコツが知りたい!」

高校数学A「図形の性質」の第2回は、平面図形のなかでも特に試験に出やすい「三角形の4つの心(内心・外心・重心・垂心)」の定義と決定的な見分け方を徹底解説します!

作図のルーツやそれぞれの中心がもつ強力な幾何学的性質を整理し、どんな問題でも迷わず図形を描けるようにしましょう!


1. 三角形の 4 つの心の定義と見分け方マップ

三角形の「心」と呼ばれるものは、主に 4 つ存在します。まずは「どんな線を交差させて作られるか」を完全に押さえましょう。

名称作図方法(何の交点か)決定的な特徴・性質
外心(がいしん)各辺の垂直二等分線の交点3つの頂点までの距離が等しい(=外接円の中心)
内心(ないしん)各内角の二等分線の交点3つのまでの距離が等しい(=内接円の中心)
重心(じゅうしん)各頂点と対辺の中点を結ぶ中線の交点中線を必ず $2 : 1$ に内分する
垂心(すいしん)各頂点から対辺に下ろした垂線の交点直角を成す補助線を引くときの強力な目印になる

2. それぞれの「心」の深掘りと重要公式

① 外心(Circumcenter)

外心 $O$ から 3 つの頂点 $A, B, C$ までの距離はすべて等しくなります(これを外接円の半径 $R$ といいます)。
※ 鋭角三角形なら内部に、鈍角三角形なら外部に、直角三角形なら斜辺の中点に外心が存在します。

② 内心(Incenter)

内心 $I$ から 3 つの辺に下ろした垂線の長さはすべて等しくなります(これを内接円の半径 $r$ といいます)。
また、三角形の面積 $S$ と内接円の半径 $r$、周の長さ $a+b+c$ の間には、次の美しい関係が成り立ちます:
$$\mathbf{S = \frac{1}{2} r (a + b + c)}$$

③ 重心(Centroid)

物理的なおもりのバランスが取れる点です。三角形を頂点から対辺の中点に向けて引いた線(中線)を、必ず $2 : 1$ に分けるという性質は、座標平面やベクトルでも頻出します。


3. 【実践例題】三角形の心の性質の活用

【例題1】外心の性質(外接円の半径と角の大きさ)

鋭角三角形 $ABC$ において、$O$ は外心である。$\angle OBC = 30^\circ$ のとき、$\angle A$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する

1. 外心の距離の等しさに注目する
$O$ は外心なので、$OA = OB = OC$(すべて外接円の半径 $R$)が成り立ちます。
したがって、$\triangle OBC$ は $OB = OC$ の二等辺三角形です。

2. 角度を計算する
$\angle OBC = 30^\circ$ であるため、底角が等しいことから: $$\angle OCB = \angle OBC = 30^\circ$$

よって、$\triangle OBC$ の頂角 $\angle BOC$ は: $$\angle BOC = 180^\circ – (30^\circ + 30^\circ) = 120^\circ$$

3. 円周角の定理を利用する
中心角 $\angle BOC$ に対する円周角が $\angle A$ であるため、円周角の定理より: $$\angle A = \frac{1}{2} \angle BOC = \frac{1}{2} \times 120^\circ = \mathbf{60^\circ}$$

【答え】 $\angle A = 60^\circ$

【例題2】内心と角の二等分線の関係

$\triangle ABC$ の内心を $I$ とする。直線 $AI$ と辺 $BC$ の交点を $D$ とするとき、$\angle ABC = 60^\circ, \angle ACB = 80^\circ$ のときの $\angle BID$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する

1. 内心の定義から角の半分を求める
内心 $I$ は角の二等分線の交点であるため、直線 $BI$ は $\angle B$ の二等分線です。
$\angle ABC = 60^\circ$ より: $$\angle ABI = \frac{1}{2} \angle ABC = \frac{1}{2} \times 60^\circ = 30^\circ$$

2. $\angle BAI$ の大きさを求める
同様に、直線 $AI$ は $\angle A$ の二等分線です。まずは $\triangle ABC$ の $\angle A$ を求めます: $$\angle A = 180^\circ – (60^\circ + 80^\circ) = 40^\circ$$

したがって: $$\angle BAD = \frac{1}{2} \angle A = \frac{1}{2} \times 40^\circ = 20^\circ$$

3. $\triangle ABD$ の外角の性質を利用する
$\triangle ABI$ において、外角の定理より $\angle BID$ は次のように求められます: $$\angle BID = \angle ABI + \angle BAD = 30^\circ + 20^\circ = \mathbf{50^\circ}$$

【答え】 $\angle BID = 50^\circ$


4. まとめ

  • 外心: 垂直二等分線の交点 $\implies$ 「頂点までの距離が等しい(外接円)」!
  • 内心: 角の二等分線の交点 $\implies$ 「辺までの距離が等しい(内接円)」!
  • 重心: 中線の交点 $\implies$ 「中線を $2 : 1$ に内分する」!
  • 垂心: 垂線の交点 $\implies$ 直角を作る強力な目印!

三角形の 4 つの心の定義と、それぞれの特性がすっきりと整理できました!

次回は「【数A:第3回】チェバの定理とメネラウスの定理|図形の性質③(比の計算を秒殺する2大定理)」を解説します!

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