「三角形の『内心』『外心』『重心』『垂心』って、名前も定義も似ていてどれがどれだかごちゃ混ぜになりやすい……」
「それぞれの中心が『何の線のかわりの交点』なのか、スッキリ見分けるコツが知りたい!」
高校数学A「図形の性質」の第2回は、平面図形のなかでも特に試験に出やすい「三角形の4つの心(内心・外心・重心・垂心)」の定義と決定的な見分け方を徹底解説します!
作図のルーツやそれぞれの中心がもつ強力な幾何学的性質を整理し、どんな問題でも迷わず図形を描けるようにしましょう!
1. 三角形の 4 つの心の定義と見分け方マップ
三角形の「心」と呼ばれるものは、主に 4 つ存在します。まずは「どんな線を交差させて作られるか」を完全に押さえましょう。
| 名称 | 作図方法(何の交点か) | 決定的な特徴・性質 |
|---|---|---|
| 外心(がいしん) | 各辺の垂直二等分線の交点 | 3つの頂点までの距離が等しい(=外接円の中心) |
| 内心(ないしん) | 各内角の二等分線の交点 | 3つの辺までの距離が等しい(=内接円の中心) |
| 重心(じゅうしん) | 各頂点と対辺の中点を結ぶ中線の交点 | 中線を必ず $2 : 1$ に内分する |
| 垂心(すいしん) | 各頂点から対辺に下ろした垂線の交点 | 直角を成す補助線を引くときの強力な目印になる |
2. それぞれの「心」の深掘りと重要公式
① 外心(Circumcenter)
外心 $O$ から 3 つの頂点 $A, B, C$ までの距離はすべて等しくなります(これを外接円の半径 $R$ といいます)。
※ 鋭角三角形なら内部に、鈍角三角形なら外部に、直角三角形なら斜辺の中点に外心が存在します。
② 内心(Incenter)
内心 $I$ から 3 つの辺に下ろした垂線の長さはすべて等しくなります(これを内接円の半径 $r$ といいます)。
また、三角形の面積 $S$ と内接円の半径 $r$、周の長さ $a+b+c$ の間には、次の美しい関係が成り立ちます:
$$\mathbf{S = \frac{1}{2} r (a + b + c)}$$
③ 重心(Centroid)
物理的なおもりのバランスが取れる点です。三角形を頂点から対辺の中点に向けて引いた線(中線)を、必ず $2 : 1$ に分けるという性質は、座標平面やベクトルでも頻出します。
3. 【実践例題】三角形の心の性質の活用
【例題1】外心の性質(外接円の半径と角の大きさ)
鋭角三角形 $ABC$ において、$O$ は外心である。$\angle OBC = 30^\circ$ のとき、$\angle A$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する
1. 外心の距離の等しさに注目する
$O$ は外心なので、$OA = OB = OC$(すべて外接円の半径 $R$)が成り立ちます。
したがって、$\triangle OBC$ は $OB = OC$ の二等辺三角形です。
2. 角度を計算する
$\angle OBC = 30^\circ$ であるため、底角が等しいことから: $$\angle OCB = \angle OBC = 30^\circ$$
よって、$\triangle OBC$ の頂角 $\angle BOC$ は: $$\angle BOC = 180^\circ – (30^\circ + 30^\circ) = 120^\circ$$
3. 円周角の定理を利用する
中心角 $\angle BOC$ に対する円周角が $\angle A$ であるため、円周角の定理より: $$\angle A = \frac{1}{2} \angle BOC = \frac{1}{2} \times 120^\circ = \mathbf{60^\circ}$$
【答え】 $\angle A = 60^\circ$
【例題2】内心と角の二等分線の関係
$\triangle ABC$ の内心を $I$ とする。直線 $AI$ と辺 $BC$ の交点を $D$ とするとき、$\angle ABC = 60^\circ, \angle ACB = 80^\circ$ のときの $\angle BID$ の大きさを求めよ。 解答・解説を表示する
1. 内心の定義から角の半分を求める
内心 $I$ は角の二等分線の交点であるため、直線 $BI$ は $\angle B$ の二等分線です。
$\angle ABC = 60^\circ$ より: $$\angle ABI = \frac{1}{2} \angle ABC = \frac{1}{2} \times 60^\circ = 30^\circ$$
2. $\angle BAI$ の大きさを求める
同様に、直線 $AI$ は $\angle A$ の二等分線です。まずは $\triangle ABC$ の $\angle A$ を求めます: $$\angle A = 180^\circ – (60^\circ + 80^\circ) = 40^\circ$$
したがって: $$\angle BAD = \frac{1}{2} \angle A = \frac{1}{2} \times 40^\circ = 20^\circ$$
3. $\triangle ABD$ の外角の性質を利用する
$\triangle ABI$ において、外角の定理より $\angle BID$ は次のように求められます: $$\angle BID = \angle ABI + \angle BAD = 30^\circ + 20^\circ = \mathbf{50^\circ}$$
【答え】 $\angle BID = 50^\circ$
4. まとめ
- 外心: 垂直二等分線の交点 $\implies$ 「頂点までの距離が等しい(外接円)」!
- 内心: 角の二等分線の交点 $\implies$ 「辺までの距離が等しい(内接円)」!
- 重心: 中線の交点 $\implies$ 「中線を $2 : 1$ に内分する」!
- 垂心: 垂線の交点 $\implies$ 直角を作る強力な目印!
三角形の 4 つの心の定義と、それぞれの特性がすっきりと整理できました!
次回は「【数A:第3回】チェバの定理とメネラウスの定理|図形の性質③(比の計算を秒殺する2大定理)」を解説します!
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