「足し算(和の法則)を使うのか、掛け算(積の法則)を使うのか迷ってしまう……」
「問題文のどこを見て判断すればいいの?」
高校数学A「場合の数と確率」の第19回(第2回)は、場合の数のすべての計算の土台となる超重要原理「和の法則と積の法則」を解説します!
この2つの法則の違いは、公式として丸暗記するのではなく「事象が同時に起こる(連続する)か、それとも別々のパターンとして枝分かれしている(同時に起こらない)か」という視点で整理すれば一発でスッキリ理解できます。
1. 和の法則と積の法則のちがい
| 法則名 | キーワード・状況 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 和の法則(足し算) | 「事象 A または 事象 B」 (同時に起こらない・別々の分類) | $\mathbf{a + b}$ 通り |
| 積の法則(掛け算) | 「事象 A が起こり、続いて / ともに 事象 B」 (連続して起こる・組み合わせて起こる) | $\mathbf{a \times b}$ 通り |
2. 和の法則(足し算)の考え方
2つの事象 A, B が絶対に同時に起こらない(互いに排他的である)とき、A または B のどちらかが起こる場合の数は、それぞれの通り数を足し算します。
💡 【和の法則】
事象 A の起こり方が $a$ 通り、事象 B の起こり方が $b$ 通りあり、A と B が同時に起こることがないとき、
A または B のいずれかが起こる場合の数は $\mathbf{a + b}$ 通り。
見分け方のコツ:
「場合分け」をしたときです。「パターン1 のとき($a$ 通り)」「パターン2 のとき($b$ 通り)」のように、それぞれ独立した世界で数えたものは、最後に足し合わせます。
3. 積の法則(掛け算)の考え方
事象 A のそれぞれの起こり方に対して、事象 B が起こる場合、その組み合わせの総数は掛け算で求めます(樹形図をイメージすると、1本の枝からさらに枝が伸びていくイメージです)。
💡 【積の法則】
事象 A の起こり方が $a$ 通りあり、そのどれに対しても事象 B の起こり方が $b$ 通りあるとき、
A が起こり、続いて B が起こる(または A, B がともに起こる)場合の数は $\mathbf{a \times b}$ 通り。
見分け方のコツ:
一連の動作が「セット」になっているときです。「服を選んで、さらに 靴を選ぶ」「サイコロを1個投げて、続いて コインを投げる」といった一連の流れは掛け算になります。
4. 【実践例題】和の法則・積の法則の使い分け
【例題1】道順の計算(積の法則と和の法則の融合)
A町からB町へ行く道が 3 本、B町からC町へ行く道が 2 本ある。また、A町からB町を通らずに直接C町へ行く道が 2 本ある。
A町からC町へ行く行き方は全部で何通りあるか。 解答・解説を表示する
1. 行き方をパターン(場合分け)に分解する
A町からC町への行き方は次の 2 つのパターンに大きく分けられます。
[パターン①] A町 $\rightarrow$ B町 $\rightarrow$ C町(B町を経由する)
[パターン②] A町 $\rightarrow$ C町(直接行く)
この 2 つのパターンは同時に起こらないので、最終的に【和の法則】で足し合わせます。
2. パターン①の通り数を計算する(積の法則)
A町からB町へ行く(3通り)「続いて」 B町からC町へ行く(2通り)ので、【積の法則】を用立ちます。
$$3 \times 2 = 6 \text{ 通り}$$
3. パターン②の通り数を確認する
直接行く道は $2$ 通りです。
4. 和の法則で合計する
$$6 + 2 = 8 \text{ 通り}$$
【答え】 $\mathbf{8}$ 通り
【例題2】約数の個数(積の法則の応用)
$72$ の正の約数は全部で何個あるか。 解答・解説を表示する
1. $72$ を素因数分解する
$$72 = 2^3 \times 3^2$$
2. 各素因数の選び方を考える
$72$ の約数は、$2^a \times 3^b$ の形で表されます。
* $2$ の指数 $a$ の選び方: $2^0, 2^1, 2^2, 2^3$ の $4$ 通り(※ $2^0 = 1$ も含むことに注意!)
* $3$ の指数 $b$ の選び方: $3^0, 3^1, 3^2$ の $3$ 通り
3. 積の法則を適用する
$2$ の選び方のそれぞれに対して $3$ の選び方を組み合わせるので、積の法則を用立ちます。
$$4 \times 3 = 12 \text{ 個}$$
【答え】 $\mathbf{12}$ 個
5. まとめ
- 和の法則($+ $): 「場合分け」したとき。同時に起こらない別々のルート・パターンを足す。
- 積の法則($\times$): 「一連の動作・組み合わせ」のとき。連続して選ぶ、セットで考えるものを掛ける。
- 約数の個数公式: $(a + 1)(b + 1) \dots$ (指数の値に $1$ を足して掛け合わせる!)。
場合の数の基本ルールである「足すか・掛けるか」がしっかり整理できました!
次回は「【数A:第3回】順列 $P$ の基本と計算|異なる $n$ 個から $r$ 個を選んで並べる並べ方」を解説します!
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