正弦定理と余弦定理、問題を見たときにどっちを使えばいいのか分からない…」
「余弦定理の公式って長くて覚えるのが大変そう…」
前回学習した「正弦定理」に続き、今回登場するのは図形計算のもう一つの主役「余弦定理(よげんていり)」です。
余弦定理は、一見すると公式が長くて難しそうに見えますが、実は中学で習った「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の拡張版」に過ぎません!
今回は、余弦定理の2つの公式パターン(辺を求める形/角を求める変形)から、正弦定理との完璧な使い分け、実際の解き方の流れまで分かりやすく徹底解説します!
1. 余弦定理(よげんていり)の公式
$\triangle \text{ABC}$ の 3 つの角の大きさを $A, B, C$、それぞれの向かい側にある辺の長さを $a, b, c$ とします。
A
/ \
c / \ b
/ \
B-------C
a
このとき、次の関係式が成り立ちます。
💡 余弦定理の基本公式(辺の長さを求めるとき)
- $a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A$
- $b^2 = c^2 + a^2 – 2ca \cos B$
- $c^2 = a^2 + b^2 – 2ab \cos C$
公式の形に注目!
たとえば $a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A$ を見ると、前半の $a^2 = b^2 + c^2$ はまさに三平方の定理そのものです。
もし $\angle A = 90^\circ$ ならば、$\cos 90^\circ = 0$ となるため、お尻の $- 2bc \cos A$ がまるごと消えて三平方の定理に一致します。
つまり、余弦定理とは「直角ではない一般の三角形でも使えるように三平方の定理をバージョンアップしたもの」なのです!
2. 角を求めるための「変形公式」
余弦定理の式を変形すると、「3つの辺の長さから角度の $\cos$ を直接計算できる公式」になります。テストや入試ではこちらも頻出です!
💡 余弦定理の変形公式(角度を求めるとき)
- $\cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}$
- $\cos B = \frac{c^2 + a^2 – b^2}{2ca}$
- $\cos C = \frac{a^2 + b^2 – c^2}{2ab}$
覚え方のコツ
求めたい角(たとえば $A$)の向かい側にある辺 $a$ だけが分子でマイナス($-a^2$)になります。残りの2辺($b, c$)は分子で足し算になり、分母($2bc$)にも登場します。
3. 正弦定理 vs 余弦定理!一瞬で見分ける判定法
図形問題でどちらの定理を使うべきか迷ったら、「分かっている情報のセット」を確認しましょう!
| 条件パターン | 使うべき定理 | 理由 |
| 2辺とその間の角 が分かっている | 余弦定理 | 残りの 1 辺を求めるため |
| 3辺の長さ が分かっている | 余弦定理(変形版) | 角度を求めるため |
| 向かい合う角と辺のペア が分かっている | 正弦定理 | 対向関係を利用するため |
| 外接円の半径 $R$ が問題文にある | 正弦定理 | $2R$ が公式に含まれるため |
🔥 鉄則
「2辺と挟む角」 または 「3辺」 が見えたら 100% 余弦定理 です!
4. 【実践】例題で覚える余弦定理の使い方
【例題1】残りの 1 辺の長さを求める
$\triangle \text{ABC}$ において、$b = 3, c = 5, A = 60^\circ$ のとき、辺 $a$ の長さを求めよ。
解答・解説
- 問題の確認:
- 分かっていること:2つの辺 $b=3, c=5$ と、その間の角 $A = 60^\circ$
- 「2辺と間の角」が揃っているので余弦定理を使います!
- 公式に代入:$$a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A$$$$a^2 = 3^2 + 5^2 – 2 \times 3 \times 5 \times \cos 60^\circ$$
- 計算($\cos 60^\circ = \frac{1}{2}$):$$a^2 = 9 + 25 – 30 \times \frac{1}{2}$$$$a^2 = 34 – 15 = 19$$$a > 0$(辺の長さは必ずプラス)なので、$$a = \mathbf{\sqrt{19}}$$
【答え】 $a = \sqrt{19}$
【例題2】3辺から角度を求める
$\triangle \text{ABC}$ において、$a = 7, b = 5, c = 3$ のとき、角 $A$ の大きさを求めよ。
解答・解説
- 問題の確認:
- 3つの辺の長さ $a=7, b=5, c=3$ がすべて判明しています。
- 「3辺」から角を求めるので余弦定理の変形公式を使います!
- 変形公式に代入:$$\cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}$$$$\cos A = \frac{5^2 + 3^2 – 7^2}{2 \times 5 \times 3}$$
- 計算:$$\cos A = \frac{25 + 9 – 49}{30} = \frac{-15}{30} = -\frac{1}{2}$$
- 角度の特定:$0^\circ < A < 180^\circ$ の範囲で、$\cos A = -\frac{1}{2}$ となる角 $A$ を探します($\cos$ がマイナスなので鈍角です)。$$A = \mathbf{120^\circ}$$
【答え】 $A = 120^\circ$
5. まとめ
- 余弦定理(基本型):2辺とその間の角から 1辺の長さを求める$$a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A$$
- 余弦定理(変形型):3辺の長さから 角の大きさ($\cos$)を求める$$\cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}$$
- 見分け方:「2辺と間の角」 または 「3辺」 が与えられたら迷わず余弦定理!
次回は、正弦定理と余弦定理を組み合わせて三角形の形状やすべてのパーツを決定する「第25回:正弦定理・余弦定理の総合演習と三角形の解法」を解説します!
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