「反復試行(はんぷくしこう)の公式に出てくる $_nC_r$ って、なんで掛けるの?」
「独立な試行と反復試行の違いがイマイチ分からない……」
確率の分野で、決まった計算手順(型)を覚えれば確実に満点が狙える超得点源、それが「反復試行の確率」です。
今回は、公式 $_nC_rp^r(1−p)^{n−r}$ を丸暗記するのではなく、「なぜこの公式で解けるのか」という仕組みから、実際の計算問題、よくあるミスまで分かりやすく徹底解説します!
1. 「独立な試行」と「反復試行」とは?
まずは言葉の意味をスッキリ整理しておきましょう。
① 独立な試行(どくりつなしかう)
2つ以上の試行において、「一方の結果が、もう一方の結果に影響を与えない」関係のことです。
- 例:「コインを投げる」動作と「サイコロを振る」動作→ コインが表になろうが裏になろうが、サイコロの目の出やすさには何の影響もありません。このような関係を独立といいます。
💡 独立な試行の確率公式(積の法則)
互いに独立な試行 A,B が起こる確率は、単純に掛け合わせるだけ!
P(A∩B)=P(A)×P(B)
② 反復試行(はんぷくしこう)
「サイコロを 5回 続けて投げる」「コインを 10回 投げる」のように、「同じ条件(独立な試行)を何度も繰り返し行うこと」を反復試行と呼びます。
何回行っても、1回ごとに特定の事象が起こる確率 p は変わりません。
2. 反復試行の確率公式
💡 【反復試行の確率の公式】
1回の試行で事象 A が起こる確率を p とする。
この試行を n 回繰り返すとき、事象 A が ちょうど r 回起こる確率 は、
$P=_nC_r⋅p^r⋅(1−p)^{n−r}$
※ ただし $1−p$ は「事象 A が起こらない確率(余事象の確率 $q$)」です。
なぜ $_nC_r$ を掛けるの?(公式の成り立ち)
「サイコロを 3回 投げて、1の目がちょうど 2回 出る確率」を例に考えてみましょう。
1の目が出る確率を $O = \frac{1}{6}$、出ない確率を $X = \frac{5}{6}$ とします。
3回のうち 2回 1の目が出るパターンを書き出すと、以下の 3通り あります。
- (1回目: O, 2回目: O, 3回目: X) $\to \left(\frac{1}{6}\right) \times \left(\frac{1}{6}\right) \times \left(\frac{5}{6}\right) = \left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^1$
- (1回目: O, 2回目: X, 3回目: O) $\to \left(\frac{1}{6}\right) \times \left(\frac{5}{6}\right) \times \left(\frac{1}{6}\right) = \left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^1$
- (1回目: X, 2回目: O, 3回目: O) $\to \left(\frac{5}{6}\right) \times \left(\frac{1}{6}\right) \times \left(\frac{1}{6}\right) = \left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^1$
どのパターンも、かける数字の順番が違うだけで確率はすべて同じです。
そして、「3回のうち 2回 ◯ が出る場所(順番)の選び方」は $_3C_2 = 3 \text{通り}$ あります。
つまり、「1パターン分の確率」に「場所の選び方 $_nC_r$」を掛け算しているのが反復試行の公式の正体です!
【反復試行の構造】
[ 場所の選び方 $_nC_r$ ] × [ 起こる確率 $p^r$ ] × [ 起こらない確率 $(1-p)^{n-r}$ ]
3. 【実践例題】反復試行の基本と応用
【例題1】サイコロの反復試行(基本)
1つのサイコロを 5回 投げるとき、1の目がちょうど 3回 出る確率を求めよ。
解答・解説
- 必要な数字を整理する
- 試行回数 n=5
- 成功回数 r=3
- 1の目が出る確率 $p = \frac{1}{6}$
- 1の目が出ない確率 $1-p = \frac{5}{6}$
- 公式にあてはめて計算する
- $$P = _5C_3 \left(\frac{1}{6}\right)^3 \left(\frac{5}{6}\right)^{5-3}$$
- $_5C_3 = _5C_2 = \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = 10$
$\left(\frac{1}{6}\right)^3 = \frac{1}{216}$
$\left(\frac{5}{6}\right)^2 = \frac{25}{36}$
$$P = 10 \times \frac{1}{216} \times \frac{25}{36} = \frac{10 \times 25}{7776} = \mathbf{\frac{125}{3888}}$$
【答え】 $\dfrac{125}{3888}$
【例題2】ゲームの勝敗(応用:◯回目に達成する確率)
A君とB君がじゃんけんをし、先に 3回 勝った方を優勝とする。あいこも 1回と数えるとき、5回目に A君の優勝が決まる確率を求めよ。
⚠️ 超重要注意点!
「5回目に優勝が決まる」ということは、5回目は絶対に A君が勝たなければなりません。 ということは、「4回目終了時点で A君が 2勝 2敗(あるいはあいこ)」 になっている必要があります!
解答・解説
- じゃんけん 1回で A君が勝つ確率 $p$ を確認勝つ気率は $p = \frac{1}{3}$、勝たない(負け・あいこ)確率は $1-p = \frac{2}{3}$ です。
- 【ステップ1】 1〜4回目で A君が「ちょうど 2勝」する確率を求める試行回数 $n=4$、勝利回数 $r=2$ の反復試行です。$$P_1 = _4C_2 \left(\frac{1}{3}\right)^2 \left(\frac{2}{3}\right)^2 = 6 \times \frac{1}{9} \times \frac{4}{9} = \frac{24}{81}$$
- 【ステップ2】 5回目に A君が勝つ確率($\frac{1}{3}$)を掛ける$$P = P_1 \times \frac{1}{3} = \frac{24}{81} \times \frac{1}{3} = \mathbf{\frac{8}{81}}$$
【答え】 $\dfrac{8}{81}$
4. まとめ
- 独立な試行:お互いの結果に影響しない試行。確率は掛け算(積の法則)でOK!
- 反復試行の公式: $P = _nC_r \cdot p^r \cdot (1-p)^{n-r}$
- $_nC_r$ の意味:何回目にその事象が起こるかという「順番の選び方の総数」!
- 「◯回目に達成する」パターンのコツ:最後の 1回を固定し、その手前までの回数で反復試行を計算する!
反復試行は、構造さえ理解できれば「数字をあてはめるだけ」で確実に解けるサービス問題になります。
次回は、大学入試や共通テストで大人気の難関テーマ「第44回:条件付き確率とベイズの定理の考え方」を解説します!
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