「『〜という条件のもとで、…が起きる確率』って、分母をどう変えればいいのか混乱する……」
「条件付き確率の公式の分母と分子の意味が、図や表で考えるとごちゃ混ぜになってしまう」
高校数学A「場合の数と確率」の第5回は、確率の山場の一つである「条件付き確率」と、それを逆用する「乗法定理・原因の確率(ベイズの定理の基礎)」を徹底解説します!
「全体の世界が狭まる」という条件付き確率の本質を捉え、複雑な確率の連鎖をスッキリ解きほがす視点をマスターしましょう!
1. 条件付き確率の定義と意味
ある事象 $A$ が起きたという「条件のもとで」、別の事象 $B$ が起こる確率を、事象 $A$ に関する事象 $B$ の条件付き確率といい、$P_A(B)$(または $P(B|A)$)で表します。
💡 【条件付き確率の公式】
事象 $A$ が起こったときの事象 $B$ の条件付き確率 $P_A(B)$ は:
$$\mathbf{P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}}$$
【イメージの捉え方】
・通常の確率:全体 $U$ の中から $A \cap B$ が占める割合。
・条件付き確率:事象 $A$ が起きた世界(分母が $P(A)$ に縮小)の中で、$A$ でもあり同時に $B$ でもある部分($A \cap B$)が占める割合。
2. 条件付き確率から導く「乗法定理」
条件付き確率の公式を変形すると、2 つの事象 $A$ と $B$ が同時に起こる確率を求める強力な式が得られます。
💡 【確率の乗法定理】**
事象 $A$ が起こり、続いて事象 $A$ が起きたもとで事象 $B$ が起こる確率(同時確率)は:
$$\mathbf{P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)}$$
※ 独立な試行の場合は $P_A(B) = P(B)$ となるため、おなじみの $P(A) \times P(B)$ に一致します!
3. 【実践例題】条件付き確率の演習
【例題1】くじ引きの順番による確率の不変性
当たりくじ 2 本を含む 5 本のくじがある。A が先に 1 本を引き、それを元に戻さないで、続いて B が 1 本を引く。
(1) A が外れたとき、B が当たりを引く条件付き確率を求めよ。
(2) B が当たりを引く確率を求めよ。 解答・解説を表示する(1) A が外れたとき、B が当たりを引く確率
A が外れた(=ハズレくじ 3 本、当たりくじ 2 本の中からハズレを引いた)直後の状況を考えます。
残りのくじは全体で 4 本になり、そのうち当たりくじは 2 本のままです: $$\text{条件付き確率} = \frac{2}{4} = \mathbf{\frac{1}{2}}$$(2) B が当たりを引く確率
B が当たりを引くケースは、次の 2 つの「排反な場合」に分けられます: A が当たり、B も当たる:$\frac{2}{5} \times \frac{1}{4} = \frac{2}{20}$ A が外れ、B が当たる:$\frac{3}{5} \times \frac{2}{4} = \frac{6}{20}$ 和の定理により、これらを足し合わせます: $$\frac{2}{20} + \frac{6}{20} = \frac{8}{20} = \mathbf{\frac{2}{5}}$$ (※ 引く順番にかかわらず、くじの当たる確率は最初から $\frac{2}{5}$ で等しいという有名な性質です!)
【例題2】病気検査の陽性反応と条件付き確率
ある病気にかかっている人は全体の $1\%$ ($0.01$) である。この病気の検査には、病気の人が検査を受けると $90\%$ の確率で「陽性」になり、健康な人が検査を受けると $5\%$ の確率で誤って「陽性」になってしまう特性がある。
ある人がこの検査を受けたところ「陽性」であった。この人が実際にその病気にかかっている確率を求めよ。 解答・解説を表示する1. 全体の数(例えば 10,000 人)をベースに整理する 実際に病気の人:$10,000 \times 0.01 = 100$ 人 そのうち陽性になる人(真陽性):$100 \times 0.90 = 90$ 人 健康な人:$10,000 \times 0.99 = 9,900$ 人 そのうち陽性になってしまう人(偽陽性):$9,900 \times 0.05 = 495$ 人 2. 条件付き確率の公式にあてはめる
「検査が陽性である人(全体)」の中から、「実際に病気である人」の割合を計算します: $$\text{陽性になる総数} = 90 + 495 = 585 \text{人}$$ $$\text{実際に病気で陽性} = 90 \text{人}$$ $$\text{確率} = \frac{90}{585} = \frac{2}{13} \fallingdotseq \mathbf{0.154 \text{(約 15.4\%)}}$$ (※「陽性」と判定されても、実際に病気である確率は約 $15\%$ にとどまるという直感に反する結果になります!)
4. まとめ
- 条件付き確率: 「$A$ が起きた世界」を新しい分母にして、その中で $A$ と $B$ が同時に起きる割合を計算する!
- 乗法定理: $P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)$ を用いて、連続する事象の確率をスムーズにつなぐ!
- 表や樹形図の活用: 複雑な条件付き確率は、全体を 100 や 10,000 などの具体的な人数に置き換えると一気に視覚化できる!
条件付き確率の意味と、乗法定理を活用した計算アプローチがすっきりと整理できました!
次回は「【数A:第6回】事象の独立・従属と確率の総仕上げ|確率④(独立な試行の判定・総まとめ)」を解説します!
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