【数A:第1回】集合の要素の個数と和集合の法則|$n(A \cup B)$ の公式とベン図の使い方を完全マスター!

数学A

「集合の記号($\cup$ や $\cap$)を見ると頭が混乱する……」
「『どちらか一方だけ』や『どちらも〜ない』の要素の数をどう数えればいいか分からない!」

今回からは、高校数学Aの新しい大章【場合の数と確率編】がスタートします! 記念すべき第18回(場合の数と確率 第1回)は、すべての基礎となる「集合の要素の個数と和集合の法則」を解説します。

要素の個数を数えるときの基本は、重複して数えたり数え漏らしたりしないことです。そのために超強力なツールとなるのが「ベン図(Venn diagram)」です。公式の意味を視覚的に理解し、確実に解けるようになりましょう!


1. 集合の基本記号とベン図の整理

まずは、集合で使われる基本的な用語と記号をおさらいしておきましょう。全体の集まりを全体集合 $U$ とし、その部分集合を $A, B$ とします。

  • 要素の個数 $n(A)$: 集合 $A$ に含まれる要素の個数を表す。
  • かつ(共通部分 $A \cap B$): 集合 $A$ と集合 $B$ の両方に含まれる要素の集まり(ベン図の重なっている部分)。
  • または(和集合 $A \cup B$): 集合 $A$ と集合 $B$ の少なくとも一方に含まれる要素の集まり(ベン図の $A$ と $B$ を合わせた全体)。
  • 補集合 $\overline{A}$: 全体集合 $U$ の要素のうち、集合 $A$ に含まれない要素の集まり。

2. 和集合の要素の個数の公式

2つの集合 $A, B$ のどちらかに含まれる要素の総数 $n(A \cup B)$ を求めるとき、単純に $n(A) + n(B)$ と足してしまうと、中央の重なっている部分 $n(A \cap B)$ を2回重複して数えてしまうことになります。

そのため、重なった分を 1 回引き算する必要があります。

💡 【個数定理(和集合の要素の個数)】
$$\mathbf{n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B)}$$
※ 特に、$A$ と $B$ に共通部分がない($A \cap B = \varnothing$)ときは:
$$\mathbf{n(A \cup B) = n(A) + n(B)}$$

補集合とド・モルガンの法則

「どちらも〜ない」という個数を求めるときは、ド・モルガンの法則と補集合の性質を利用します。

  • 補集合の個数: $n(\overline{A}) = n(U) – n(A)$
  • ド・モルガンの法則:
    • $\overline{A} \cap \overline{B} = \overline{A \cup B}$ ($A$ も $B$ もどちらも〜ない $\Rightarrow$ 「$A \cup B$」の否定)
    • $\overline{A} \cup \overline{B} = \overline{A \cap B}$ (少なくとも一方が〜ない $\Rightarrow$ 「$A \cap B$」の否定)

3. 【実践例題】集合の要素の個数の計算問題

【例題1】倍数の個数と和集合(基本)

1 から 100 までの整数のうち、次のような数は何個あるか。
(1) 3 の倍数または 5 の倍数
(2) 3 の倍数であるが 5 の倍数でない数
(3) 3 の倍数でも 5 の倍数でもない数 解答・解説を表示する

1. 各集合の要素の個数を求める
全体集合を $U = \{1, 2, \dots, 100\}$ とし、$n(U) = 100$ とします。
* 3 の倍数の集合を $A$ とすると:$100 \div 3 = 33 \dots 1$ より、$n(A) = 33$
* 5 の倍数の集合を $B$ とすると:$100 \div 5 = 20$ より、$n(B) = 20$
* 3 かつ 5 の倍数(=15 の倍数)の集合は $A \cap B$:$100 \div 15 = 6 \dots 10$ より、$n(A \cap B) = 6$

(1) の解答・解説:3 の倍数または 5 の倍数 $n(A \cup B)$
個数定理より:

$$n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B) = 33 + 20 – 6 = 47$$

(2) の解答・解説:3 の倍数であるが 5 の倍数でない数 $n(A \cap \overline{B})$
ベン図で考えると、集合 $A$ 全体から、共通部分 $A \cap B$ を取り除いた領域です。

$$n(A \cap \overline{B}) = n(A) – n(A \cap B) = 33 – 6 = 27$$

(3) の解答・解説:3 の倍数でも 5 の倍数でもない数 $n(\overline{A} \cap \overline{B})$
ド・モルガンの法則より $\overline{A} \cap \overline{B} = \overline{A \cup B}$ です。
全体から (1) で求めた $n(A \cup B)$ を引き算します。

$$n(\overline{A \cup B}) = n(U) – n(A \cup B) = 100 – 47 = 53$$

【答え】 (1) $\mathbf{47}$ 個, (2) $\mathbf{27}$ 個, (3) $\mathbf{53}$ 個

【例題2】アンケート調査とベン図の活用(応用)

あるクラス 40 人の生徒に、2 つのスポーツ A, B が好きかどうかアンケートをとったところ、A が好きと答えた生徒が 24 人、B が好きと答えた生徒が 18 人、どちらも嫌いと答えた生徒が 5 人いた。
(1) A と B の両方が好きな生徒は何人いるか。
(2) A だけが好きで、B は嫌いな生徒は何人いるか。 解答・解説を表示する

1. 与えられた条件を数式に整理する
全体集合 $n(U) = 40$, $n(A) = 24$, $n(B) = 18$
「どちらも嫌い」は $n(\overline{A} \cap \overline{B}) = n(\overline{A \cup B}) = 5$ 人です。

2. $n(A \cup B)$(少なくとも一方が好きな人)を求める

$$n(A \cup B) = n(U) – n(\overline{A \cup B}) = 40 – 5 = 35$$

(1) の解答・解説:両方が好きな生徒 $n(A \cap B)$
公式 $n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B)$ 変形します:

$$n(A \cap B) = n(A) + n(B) – n(A \cup B) = 24 + 18 – 35 = 42 – 35 = 7$$

(2) の解答・解説:A だけが好き $n(A \cap \overline{B})$
集合 $A$ の人数から、両方好きな人を引きます:

$$n(A \cap \overline{B}) = n(A) – n(A \cap B) = 24 – 7 = 17$$

【答え】 (1) $\mathbf{7}$ 人, (2) $\mathbf{17}$ 人


4. まとめ

  • 和集合の基本公式: $n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A \cap B)$ (重複する共通部分を1回引く!)。
  • 「どちらも〜ない」の処理: ド・モルガンの法則 $\overline{A} \cap \overline{B} = \overline{A \cup B}$ を利用して全体から引く。
  • 困ったらベン図: 領域ごとに人数を書き込んで整理するのが最短の近道!

集合の個数の考え方は、これから学習する「場合の数」の数え上げで強力な基礎になります。

次回は「【数A:第2回】和の法則と積の法則|「または」と「つづけて」を見極める場合の数の基本ルール」を解説します!

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