「場合の数は得意だったけれど、確率に入った途端に計算が合わなくなる……」
「『同様に確からしい』って結局どういうこと? なんで区別のないサイコロやコインも区別して考えるの?」
今回からいよいよ新単元「確率」に入ります!
第28回(第11回)では、確率の基礎となる用語(試行・事象)の整理と、確率を計算するうえで最も重要な前提条件である「同様に確からしい」の本質をわかりやすく解説します。
1. 確率の基本用語を整理しよう
まずは、数学の確率で使われる基本的な用語の意味を正しく押さえましょう。
| 用語 | 意味 | 具体例(サイコロを1回投げる) |
|---|---|---|
| 試行(しこう) | 同じ条件で何度も繰り返すことができ、結果が偶然によって決まる実験や観察 | 「サイコロを投げる」こと |
| 事象(じしょう) | 試行の結果として起こる出来事(結果の集まり) | 「偶数の目が出る」こと |
| 全事象(ぜんじしょう) | その試行で起こり得るすべての結果の集合(通常 $U$ や $S$ で表す) | $\{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ の 6 通り |
| 根本事象(こんぽんじしょう) | それ以上分解できない、1 つ 1 つの最も基本的な結果 | $\{1\}, \{2\}, \dots, \{6\}$ の各目 |
2. 確率の超重要ルール:「同様に確からしい」とは?
ある事象 $A$ が起こる確率 $P(A)$ は、次の公式で計算します。
$$P(A) = \frac{\text{事象 } A \text{ の起こる場合の数}}{\text{起こり得るすべての場合の数(全事象)}} = \frac{n(A)}{n(U)}$$
ただし、この公式を使ってよいのは「すべての根本事象が同様に確からしいとき」に限られます!
💡 【「同様に確からしい」とは?】
どの根本事象が起こることも「同程度に期待できる(偏りがない)」状態のこと。
例えば、歪みのないサイコロを投げるとき、1 の目が出ることも 6 の目が出ることも、出やすさは全く同じと考えられます。
🚨 つまずきポイント:「区別のないもの」も区別して考える!
確率で最も多くの受験生がハマる罠がここにあります。
【問題】区別のつかない 2 枚のコインを同時に投げるとき、1 枚が表で 1 枚が裏になる確率は?
一見すると、出方は「2枚とも表」「1枚表・1枚裏」「2枚とも裏」の 3 通り だから、求める確率は $\frac{1}{3}$ ……と答えたくなりますが、これは間違いです!
なぜなら、この 3 通りは「出やすさ(確率)」が等しくないからです。
- 「2枚とも表」となる出方: (表, 表) の 1 通り
- 「1枚表・1枚裏」となる出方: (表, 裏), (裏, 表) の 2 通り
- 「2枚とも裏」となる出方: (裏, 裏) の 1 通り
コインに「コインA」「コインB」と名前(区別)をつけて根本事象を分解すると、全事象は 4 通りとなり、それぞれの根元事象が対等(同様に確からしい)になります。
したがって、正しい確率は $\frac{2}{4} = \mathbf{\frac{1}{2}}$ となります。
★ 鉄則:確率の計算では、たとえ問題文で「区別のない同じもの」と書かれていても、すべて「区別して」場合の数を数え上げる!
3. 確率の基本性質(値の範囲)
確率 $P(A)$ は必ず以下の性質を満たします。
- $0 \leqq P(A) \leqq 1$ (確率が 1(100%)を超えることや、マイナスになることは絶対にありません)
- 絶対に起こらない事象(空事象 $\varnothing$)の確率は $P(\varnothing) = 0$
- 必ず起こる事象(全事象 $U$)の確率は $P(U) = 1$
4. 【実践例題】基礎確認問題
【例題】赤玉・白玉を取り出す確率
袋の中に、赤玉 4 個と白玉 3 個が入っている。
この袋から同時に 2 個の玉を取り出すとき、次の場合の確率を求めよ。
(1) 2 個とも赤玉である確率
(2) 赤玉 1 個、白玉 1 個である確率 解答・解説を表示する
【考え方】
赤玉 4 個($\text{R}_1, \text{R}_2, \text{R}_3, \text{R}_4$)、白玉 3 個($\text{W}_1, \text{W}_2, \text{W}_3$)は、見た目が同じであってもすべて区別して考えます(合計 7 個の異なる玉)。
1. 全事象 $n(U)$ を求める
7 個の玉から同時に 2 個を取り出す組み合わせの総数は:
$$n(U) = {}_7\text{C}_2 = \frac{7 \times 6}{2 \times 1} = 21 \text{ 通り}$$
(1) 2 個とも赤玉である確率
赤玉 4 個の中から 2 個を取り出す場合の数は:
$${}_4\text{C}_2 = \frac{4 \times 3}{2 \times 1} = 6 \text{ 通り}$$
したがって、求める確率は:
$$P = \frac{6}{21} = \frac{2}{7}$$
(2) 赤玉 1 個、白玉 1 個である確率
赤玉 4 個から 1 個を選び、かつ白玉 3 個から 1 個を選ぶ場合の数は(積の法則):
$${}_4\text{C}_1 \times {}_3\text{C}_1 = 4 \times 3 = 12 \text{ 通り}$$
したがって、求める確率は:
$$P = \frac{12}{21} = \frac{4}{7}$$
【答え】 (1) $\mathbf{\frac{2}{7}}$ / (2) $\mathbf{\frac{4}{7}}$
5. まとめ
- 確率の定義:$P(A) = \frac{n(A)}{n(U)}$ ($n(U)$ は全事象、$n(A)$ は対象の事象)
- 「同様に確からしい」が必須条件! 事象の「出やすさ」を揃える。
- 確率の大原則:同じものであってもすべて「区別して」数える!
確率の基本ルールと「区別して数える」重要性が理解できました!
次回は「【数A:第29回】和事象の確率と加法定理|『AまたはB』の確率の計算と排反事象」を解説します!
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