「場合の数と確率の単元が終わったけれど、どの公式をいつ使えばいいか整理しきれていない……」
「『組合せ $\text{C}$』なのか『順列 $\text{P}$』なのか、あるいは『反復試行』なのか、見分け方に不安がある」
高校数学A「場合の数と確率」シリーズの最終回(第35回)は、これまでに学習した重要解法を一気に整理する総復習スペシャルです!
テストや入試で最も重要となる「問題文からの公式・解法アプローチの見極め方」を確認し、代表的な頻出パターン問題を自力で解く力を完成させましょう!
1. 【解法フローチャート】どの公式を使う?判断基準まとめ
問題文を読んだら、以下の手順で使うべき考え方を判定しましょう。
| 注目するキーワード・状況 | 適用する考え方・公式 | ポイント |
|---|---|---|
| 「並べる」「順番がある」 | 順列 ${}_n\text{P}_r$ / 階乗 $n!$ | 順番が変わると区別されるか? |
| 「選ぶ」「組をつくる」 | 組合せ ${}_n\text{C}_r$ | 選ぶ順番は関係ないか? |
| 「少なくとも1つ〜」「〜でない」 | 余事象の確率 $1 – P(\bar{A})$ | 全確率 1 から「逆」を引く! |
| 「同じ試行を $n$ 回繰り返す」 | 反復試行 ${}_n\text{C}_r p^r (1-p)^{n-r}$ | 回数・確率・順番の 3 要素! |
| 「〜のとき、…である確率」 | 条件付き確率 $P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}$ | 「〜」の部分が新しい分母! |
2. 【総復習演習】入試・テスト頻出 3 大パターン
【問題1】順列・組合せと余事象の融合問題
男子 5 人、女子 4 人の計 9 人の中から無作為に 3 人の委員を選ぶとき、選ばれた 3 人の中に「女子が少なくとも 1 人含まれる」確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 解法アプローチを見極める
キーワード「少なくとも 1 人〜」があるので、余事象の確率($1 – P(\text{全男子})$)を利用します。
2. 全事象 $n(U)$ を求める
9 人の中から 3 人を選ぶ組み合わせ:
$$n(U) = {}_9\text{C}_3 = \frac{9 \times 8 \times 7}{3 \times 2 \times 1} = 84 \text{ 通り}$$
3. 余事象「3 人とも男子」の組み合わせ $n(\bar{A})$ を求める
男子 5 人の中から 3 人を選ぶ組み合わせ:
$$n(\bar{A}) = {}_5\text{C}_3 = {}_5\text{C}_2 = \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = 10 \text{ 通り}$$
4. 余事象の確率と求める確率を計算する
$$P(\bar{A}) = \frac{10}{84} = \frac{5}{42}$$
$$P(A) = 1 – P(\bar{A}) = 1 – \frac{5}{42} = \frac{37}{42}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{37}{42}}$
【問題2】反復試行とゲームの勝利条件
A君とB君がジャンケンをして、先に 3 勝した方を優勝とする。
あいこも含めてジャンケンを繰り返すとき、1 回のジャンケンで A 君が勝つ確率は $\frac{1}{3}$、B 君が勝つ確率は $\frac{1}{3}$、あいこになる確率は $\frac{1}{3}$ とする。
ちょうど 4 回目のジャンケンで A 君の優勝が決まる確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 状況を正しく整理する(超重要!)
「4 回目で A 君の優勝が決まる」ということは:
- 【第 1 〜 3 回】 の 3 回の中で、A 君がちょうど 2 勝し、残りの 1 回は「B 君の勝ち」または「あいこ」(A 君以外が勝つ:確率 $\frac{2}{3}$)
- 【第 4 回】 に A 君が 3 勝目となる勝ち(確率 $\frac{1}{3}$)を決める
という 2 つのステップの連続試行(乗法定理)です。
2. 第 1 〜 3 回までの反復試行の確率を計算する
3 回中 A 君がちょうど 2 回勝つ確率:
$$P_1 = {}_3\text{C}_2 \times \left(\frac{1}{3}\right)^2 \times \left(\frac{2}{3}\right)^1 = 3 \times \frac{1}{9} \times \frac{2}{3} = \frac{6}{27}$$
3. 第 4 回に A 君が勝つ確率を掛ける
$$P = P_1 \times \frac{1}{3} = \frac{6}{27} \times \frac{1}{3} = \frac{6}{81} = \frac{2}{27}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{2}{27}}$
【問題3】原因の条件付き確率
ある工場で作られる製品のうち、製品 A には $2\%$、製品 B には $3\%$ の割合で不良品が含まれている。
製品 A と製品 B を $2 : 1$ の割合で混ぜた大量の製品の中から 1 個を無作為に取り出したところ、不良品であった。
その取り出した不良品が「製品 A である確率」を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 事象を設定して確率を整理する
混ぜた割合が $2 : 1$ なので、取り出した製品が A である確率は $P(A) = \frac{2}{3}$、B である確率は $P(B) = \frac{1}{3}$ です。
- 事象 $X$ : 取り出した製品が不良品である
- $P_A(X) = \frac{2}{100}$ (A であるときの不良品率)
- $P_B(X) = \frac{3}{100}$ (B であるときの不良品率)
2. 全体の不良品が出る確率 $P(X)$ を求める
不良品が出るパターンは次の 2 つの和事象(排反)です。
- 製品 A で不良品: $P(A \cap X) = P(A) \times P_A(X) = \frac{2}{3} \times \frac{2}{100} = \frac{4}{300}$
- 製品 B で不良品: $P(B \cap X) = P(B) \times P_B(X) = \frac{1}{3} \times \frac{3}{100} = \frac{3}{300}$
$$P(X) = \frac{4}{300} + \frac{3}{300} = \frac{7}{300}$$
3. 条件付き確率 $P_X(A)$ を求める
「不良品であった(前提 $X$)」のもとで「それが A である(目的 $A$)」確率:
$$P_X(A) = \frac{P(A \cap X)}{P(X)} = \frac{\frac{4}{300}}{\frac{7}{300}} = \frac{4}{7}$$
【答え】 $\mathbf{\frac{4}{7}}$
3. 【場合の数と確率】全35回の学習完了!
お疲れ様でした!「場合の数と確率」の全35回のカリキュラムがこれで完結しました。
基本の和の法則・積の法則から始まり、順列・組合せ、独立試行・反復試行、条件付き確率まで、数学Aの確率分野における重要テーマをすべてカバーしました。
何度も解き直して、解法の引き出しを確実に自分のものにしていってください!
次回からは新章【数A:図形の性質(幾何学)】がスタートします!
第1回(通算第36回)は「三角形の角の二等分線と比の性質」を解説します。
コメント