「独立な事象って、直感的には分かるけど、数学的にはどうやって証明・判定するの?」
「確率の単元の総仕上げとして、複雑な問題でどの公式を使うべきか見抜くコツが知りたい!」
高校数学A「場合の数と確率」の第6回(確率単元の最終回)は、事象の「独立・従属」の数学的な厳密な判定方法と、これまでの知識を総動員して難問を攻略する「確率の総合演習」を解説します!
確率の全パターンのアプローチを整理し、どんな入試問題でも迷わず正解を導き出せる実戦力を完成させましょう!
1. 数学的な「独立」の厳密な定義
日常会話的な「関係ない」という感覚だけでなく、数学では数式によって独立を判定します。
💡 【事象の独立の数学的判定条件】
2 つの事象 $A, B$ について、$P(A) > 0$ かつ $P(B) > 0$ のとき、次が成り立つならば $A$ と $B$ は独立(互いに影響を与えない)であるという。
$$\mathbf{P(A \cap B) = P(A) \times P(B)}$$
※ この式が成り立たない場合、事象 $A$ と $B$ は従属(じゅうぞく:影響し合う)であるといいます。また、条件付き確率の言葉を使うと $P_A(B) = P(B)$ が成り立つ状態です。
🔍 排反(ははん)と独立の違いに注意!
・排反($A \cap B = \emptyset$): 同時に起きない($P(A \cap B) = 0$)。確率が $0$ でない限り、排反な 2 つの事象は絶対に独立ではありません(一方が起きると他方が起きないため、強烈に影響し合います)。
2. 確率の総合問題を解くための 4 大アプローチ
確率のテストや入試で問題文を見たとき、どのアプローチを選ぶべきかの判断基準をまとめました。
| 状況・キーワード | 選ぶべきアプローチ | ポイント |
|---|---|---|
| 「少なくとも〜」がある | 余事象の利用 ($1 – P(\bar{A})$) | 反対側のケースを数えた方が圧倒的にラク |
| 「または」がつながる | 加法定理 ($P(A) + P(B) – P(A \cap B)$) | 共通部分(重複)の引き算を忘れない |
| 同じ作業を何度も繰り返す | 反復試行の公式 ($_n\text{C}_r p^r q^{n-r}$) | 「何回中何回成功するか」を特定する |
| 「〜という条件のもとで」 | 条件付き確率 ($\frac{P(A \cap B)}{P(A)}$) | 分母を「条件の世界」に縮小し直す |
3. 【実践例題】確率の総仕上げ演習
【例題1】事象の独立の判定
1 から 10 までの自然数が書かれた 10 枚のカードから 1 枚を引く。
事象 $A$ を「偶数のカードが出る」、事象 $B$ を「3 の倍数のカードが出る」とするとき、事象 $A$ と $B$ は独立であるか判定せよ。 解答・解説を表示する
1. それぞれの確率を計算する
- 全事象の個数:$10$ 枚
- 偶数のカード($2, 4, 6, 8, 10$)は 5 枚:$P(A) = \frac{5}{10} = \frac{1}{2}$
- 3 の倍数のカード($3, 6, 9$)は 3 枚:$P(B) = \frac{3}{10}$
2. 共通部分(積事象)の確率を計算する
偶数かつ 3 の倍数(6 の倍数:$6$)は 1 枚のみであるため: $$P(A \cap B) = \frac{1}{10}$$
3. 独立の条件 $P(A \cap B) = P(A) \times P(B)$ を検証する
- 左辺:$P(A \cap B) = \frac{1}{10}$
- 右辺:$P(A) \times P(B) = \frac{1}{2} \times \frac{3}{10} = \frac{3}{20}$
左辺 $\neq$ 右辺($\frac{1}{10} \neq \frac{3}{20}$)であるため、この 2 つの事象は独立ではなく「従属」である。
【答え】 独立ではない(従属である)
【例題2】確率の総合的アプローチ(移行モデル)
袋の中に赤玉 3 個と白玉 2 個が入っている。A が 1 個引き、色を確認して元に戻さずに、続けて B が 1 個引く。B が赤玉を引いたとき、A も赤玉を引いていた確率を求めよ。 解答・解説を表示する
1. 条件付き確率の公式にあてはめる
求める確率は、「B が赤玉を引くという事象」を分母とし、「A も B も赤玉を引くという事象(同時確率)」を分子にした条件付き確率です。
2. 分母(B が赤玉を引く確率)を計算する
B が赤玉を引くケースは、以下の 2 つの排反な場合に分かれます:
- (i) A が赤、B が赤:$\frac{3}{5} \times \frac{2}{4} = \frac{6}{20}$
- (ii) A が白、B が赤:$\frac{2}{5} \times \frac{3}{4} = \frac{6}{20}$
よって、B が赤玉を引く確率は: $$P(B) = \frac{6}{20} + \frac{6}{20} = \frac{12}{20} = \frac{3}{5}$$
3. 分子(A も B も赤玉を引く確率)を計算する
これは上記のケース (i) そのものであるため: $$P(A \cap B) = \frac{6}{20} = \frac{3}{10}$$
4. 条件付き確率を計算する $$\text{確率} = \frac{\frac{3}{10}}{\frac{3}{5}} = \frac{3}{10} \times \frac{5}{3} = \mathbf{\frac{1}{2}}$$
4. まとめ
- 独立の数学的判定: $\mathbf{P(A \cap B) = P(A) \times P(B)}$ が成り立つかどうかで判断する!
- 排反と独立の違い: 排反(同時に起きない)は独立とは真逆の概念(影響し合う関係)!
- 確率の戦略: 問題文のニュアンス(「少なくとも」「または」「繰り返し」「条件付き」)を読み取り、適切な公式・ツールを選択する!
場合の数と確率の単元(全6回)のすべての解説が完了しました!
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