「2次不等式の解き方で、$x < a, b < x$ なのか $a < x < b$ なのか、いつもごちゃごちゃになってしまう…」
「公式を暗記しようとしてテスト本番でどっちだっけ?と焦った経験がある」
2次不等式は、高校数学Ⅰの中でもトップクラスにつまずきやすいテーマです。
しかし、公式を力任せに暗記するのをやめて、「2次関数のグラフ」を描いて視覚的に考えるクセをつければ、どんなパターンでも迷わず一発で解けるようになります!
今回は、2次不等式の基本パターンから、解が特殊になる「接する場合」「浮いている場合」まで分かりやすく徹底解説します!
1. 2次不等式を解く「たった1つの鉄則」
2次不等式を解くときの鉄則は、「不等式をグラフの高さ($y$ 軸方向の位置)として捉えること」です。
2次不等式 $ax^2 + bx + c > 0$(または $< 0$)を考えるときは、左辺を $y = ax^2 + bx + c$ という2次関数のグラフとして見立てます。
- $y > 0$(不等号が $> 0$)$\implies$ $x$ 軸より「上側」にある範囲
- $y < 0$(不等号が $< 0$)$\implies$ $x$ 軸より「下側」にある範囲
つまり、「グラフを描いて、$x$ 軸の上(または下)にある部分の $x$ の範囲を読み取る」だけで答えが出ます。
2. 【基本パターン】$x$ 軸と2点で交わる場合 ($D > 0$)
まずは、2次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ が異なる2つの実数解 $\alpha, \beta \quad (\alpha < \beta)$ をもつ基本パターンです。
※ $x^2$ の係数 $a$ は必ず正(下に凸)にしてから解くのが計算ミスの予防になります。
1. $(x – \alpha)(x – \beta) > 0$ の形(ハサミの外側)
グラフが $x$ 軸より上側にある範囲を読み取ります。
\ /
\ / ← y > 0 の部分(上側)
───────α───β───────► x
\ / ← y < 0 の部分(下側)
- 解: $x < \alpha, \quad \beta < x$ (2つの値の外側)
2. $(x – \alpha)(x – \beta) < 0$ の形(ハサミの内側)
グラフが $x$ 軸より下側にある範囲を読み取ります。
- 解: $\alpha < x < \beta$ (2つの値の間)
【例題1】基本の2次不等式
次の2次不等式を解け。
(1) $x^2 – 4x + 3 > 0$
(2) $x^2 – 4x + 3 \leqq 0$
解答・解説
- 左辺 $= 0$ とおいて因数分解し、$x$ 軸との交点を求めます。$$(x – 1)(x – 3) = 0 \quad \implies \quad x = 1, 3$$
- 下に凸の放物線と $x$ 軸が $x = 1, 3$ で交わるグラフを簡単な下描きで描きます。
- (1) $> 0$ なので $x$ 軸の上側:【答え】 $x < 1, \quad 3 < x$
- (2) $\leqq 0$ なので $x$ 軸の下側(イコール含む):【答え】 $1 \leqq x \leqq 3$
3. 【応用パターン①】$x$ 軸と1点で接する場合 ($D = 0$)
因数分解した結果が $(x – \alpha)^2$ のように完全平方式になる場合、グラフは $x$ 軸と 点 $\alpha$ で接します(頂点が $x$ 軸上にある)。
\ /
\ /
────────α────────► x (x = α のときだけ高さ 0)
この場合、不等号の種類によって答えの書き方が変化します。
【例題2】接するタイプの不等式
2次不等式 $x^2 – 6x + 9 > 0$ を解け。
解答・解説
- 左辺を因数分解すると $(x – 3)^2 > 0$ となります。
- グラフを描くと、$x = 3$ のときだけ $y = 0$ になり、それ以外の場所ではすべて $x$ 軸より上側($y > 0$)にあります。
- 条件は「$> 0$($0$ より大きい)」なので、$y = 0$ となる $x = 3$ だけを除外します。
【答え】 $x = 3$ 以外のすべての実数
💡 $D = 0$ のときの解のパターン一覧($a > 0$)
| 不等式 | グラフから読み取れる範囲 | 答え |
| $(x – \alpha)^2 > 0$ | $x = \alpha$ 以外はすべて上側 | $x = \alpha$ 以外のすべての実数 |
| $(x – \alpha)^2 \geqq 0$ | どこを見ても上側かちょうど0 | すべての実数 |
| $(x – \alpha)^2 < 0$ | 下側にある部分はどこにもない | 解なし |
| $(x – \alpha)^2 \leqq 0$ | 下側はないが、$x = \alpha$ のときだけちょうど0 | $x = \alpha$ |
4. 【応用パターン②】$x$ 軸と交わらない場合 ($D < 0$)
判別式 $D < 0$ となり、因数分解もできない場合、グラフは $x$ 軸の上に完全に浮いている状態になります。
\ /
\ / ← グラフ全体が x 軸より上にある
─────────────────► x
【例題3】浮いているタイプの不等式
次の2次不等式を解け。
(1) $x^2 – 2x + 4 > 0$
(2) $x^2 – 2x + 4 < 0$
解答・解説
- $x^2 – 2x + 4 = 0$ の判別式を調べると $\frac{D}{4} = (-1)^2 – 1 \cdot 4 = -3 < 0$ となり、$x$ 軸との共有点を持ちません。
- グラフを描くと、すべての $x$ においてグラフが $x$ 軸の上側に存在します。
- (1) $> 0$(上側にある範囲は?) $\implies$ どこを見ても上側にある!【答え】 すべての実数
- (2) $< 0$(下側にある範囲は?) $\implies$ 下側にはどこにもない!【答え】 解なし
5. 解くときの手順(まとめフローチャート)
2次不等式が出てきたら、次の3ステップで解きましょう!
- 最高次の係数をプラスにする($x^2$ の前にマイナスがあれば、全体に $-1$ をかけて不等号をひっくり返す)
- $x$ 軸との交点を求める
- 因数分解できる? $\implies$ 交点を求めてグラフを描く
- 因数分解できない? $\implies$ 判別式 $D$ で「接する」か「浮いている」か確認
- グラフを見て不等号の範囲を答える
- $> 0$ (上側) / $< 0$ (下側)
「公式の丸暗記」ではなく「簡単なグラフを描いて確認する」ことが、2次不等式を極める最大の近道です!
次回は、2次関数の最難関テーマ「第18回:解の配置問題(2次方程式の解の存在範囲)」を解説します!
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