カッコの$n$乗を展開するとき、直接掛け算をするのは大変です。そこで活躍するのが二項定理です。二項定理を使えば、展開後の特定の項の係数を計算だけで一発で求めることができます。
この記事では、二項定理の基本から多項定理への応用までを解説します。
1. 二項定理とは?
二項定理は以下の公式で表されます。
$$(a+b)^n = {}_n\mathrm{C}_0 a^n + {}_n\mathrm{C}_1 a^{n-1}b + {}_n\mathrm{C}_2 a^{n-2}b^2 + \dots + {}_n\mathrm{C}_r a^{n-r}b^r + \dots + {}_n\mathrm{C}_n b^n$$
言葉で表現すると、「$n$個のカッコ $(a+b)$ から $b$ を $r$個選ぶ選び方が ${}_n\mathrm{C}_r$ 通りある」という意味になります。
一般項(最も重要な部分)
展開式の第 $r+1$ 項に相当する一般項は次の形になります。
$${}_n\mathrm{C}_r a^{n-r} b^r$$
指定された項の係数を求める問題では、この一般項を立式することが解法の第一歩になります。
2. 実践問題(二項定理)
問題
$(2x – 3y)^6$ の展開式における $x^4 y^2$ の係数を求めよ。
【解答例】
$(2x – 3y)^6$ の展開式の一般項は、
$${}_6\mathrm{C}_r (2x)^{6-r} (-3y)^r$$
となります。文字部分を整理すると、
$${}_6\mathrm{C}_r \cdot 2^{6-r} \cdot (-3)^r \cdot x^{6-r} y^r$$
$x^4 y^2$ の項になるには、$r = 2$ となればよいので、
$${}_6\mathrm{C}_2 \cdot 2^{6-2} \cdot (-3)^2 = 15 \cdot 2^4 \cdot 9 = 15 \cdot 16 \cdot 9 = 2160$$
したがって、$x^4 y^2$ の係数は $2160$ となります。
3. 多項定理(3項の展開への応用)
項が3つある $(a+b+c)^n$ の展開式における特定項の係数は多項定理を使います。
$$(a+b+c)^n \text{ の展開式の一般項} \quad \longrightarrow \quad \frac{n!}{p! q! r!} a^p b^q c^r \quad (p+q+r=n)$$
4. 実践問題(多項定理)
問題
$(x + 2y – z)^5$ の展開式における $x^2 y^2 z$ の係数を求めよ。
【解答例】
一般項は、
$$\frac{5!}{p! q! r!} x^p (2y)^q (-z)^r = \frac{5!}{p! q! r!} \cdot 2^q \cdot (-1)^r \cdot x^p y^q z^r$$
$x^2 y^2 z^1$ の項となるのは、$p=2, q=2, r=1$ のときです。($p+q+r = 2+2+1 = 5$ を満たします)
係数部分に代入すると、
$$\frac{5!}{2! 2! 1!} \cdot 2^2 \cdot (-1)^1 = \frac{120}{2 \cdot 2 \cdot 1} \cdot 4 \cdot (-1) = 30 \cdot 4 \cdot (-1) = -120$$
したがって、$x^2 y^2 z$ の係数は $-120$ となります。
5. まとめ
- 二項定理の問題は、まず一般項 ${}_n\mathrm{C}_r a^{n-r}b^r$ を作る
- 指数を比較して $r$ の値を確定させる
- 係数部分だけを正しく計算する
このステップに沿って問題に取り組んでみましょう。
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