数列の極限において、直接極限値を計算するのが難しい複雑な式(ガウス記号、三角関数、階乗など)を扱う際の強力な武器が「はさみうちの原理」です。
また、入試では「数学B(数学C)の漸化式」と組み合わせた漸化式・極限の融合問題として頻出します。
この記事では、はさみうちの原理の基本から、不等式の作り方、漸化式との融合パターンの解法まで分かりやすく解説します!
1. はさみうちの原理とは?(基本定理)
はさみうちの原理とは、「直接求めるのが難しい数列 $b_n$ を、極限値が分かっている2つの数列 $a_n$ と $c_n$ で上下から挟み込む」という解法テクニックです。
定理の公式
すべての $n$(または十分大きい $n$)について、次の不等式が成り立っているとします。
$$a_n \le b_n \le c_n$$
このとき、両端の数列の極限が一致して、
$$\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha \quad \text{かつ} \quad \lim_{n \to \infty} c_n = \alpha$$
ならば、挟まれた真ん中の数列の極限も同じ値になります。
$$\lim_{n \to \infty} b_n = \mathbf{\alpha}$$
💡 イメージ:
左側から追いかけてくる警察($a_n$)と右側から追いかけてくる警察($c_n$)が同じ場所 $\alpha$ に到着したら、間に挟まれた犯人($b_n$)も絶対に $\alpha$ にいる、というイメージです。
2. 定番パターン①:$\sin$ や $\cos$ を含む極限
$\sin \theta$ や $\cos \theta$ は、どんなに角 $\theta$ が大きく(小さく)なっても、必ず $-1 \le \sin \theta \le 1$ の範囲に収まるという性質を利用して挟み込みます。
【問題】
次の極限を求めよ。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{\sin n\theta}{n}$$
【解説・解答】
どんな実数 $n\theta$ に対しても、正弦($\sin$)のとり得る値の範囲は以下の通りです。
$$-1 \le \sin n\theta \le 1$$
各辺を $n$($n > 0$)で割ります。
$$-\frac{1}{n} \le \frac{\sin n\theta}{n} \le \frac{1}{n}$$
ここで、両端の極限を考えると、
$$\lim_{n \to \infty} \left(-\frac{1}{n}\right) = 0, \quad \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0$$
となります。したがって、はさみうちの原理より、
$$\lim_{n \to \infty} \frac{\sin n\theta}{n} = \mathbf{0}$$
3. 定番パターン②:漸化式と極限の融合問題
二次試験・難関大入試で最もよく出るのが、漸化式から出発して極限を求める融合問題です。
【典型問題のパターン】
- (小問1) 不等式 $\vert{}a_{n+1} – \alpha\vert{} \le k \vert{}a_n – \alpha\vert{}$(ただし $0 < k < 1$)が成り立つことを示す。
- (小問2) 不等式を繰り返し適用して $\vert{}a_n – \alpha\vert{} \le k^{n-1} \vert{}a_1 – \alpha\vert{}$ を導く。
- (小問3) $n \to \infty$ としたとき $k^{n-1} \to 0$ を利用し、はさみうちの原理から $\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha$ を求める。
【解法のポイント】
漸化式 $a_{n+1} = f(a_n)$ において、極限値 $\alpha$ は特性方程式 $\alpha = f(\alpha)$ の解になります。
- 目標となる $\alpha$ の値を最初に見つける
- $\vert{}a_{n+1} – \alpha\vert{}$ を計算し、公比 $k$($0 < k < 1$)で上から抑える
この流れを頭に入れておくと、誘導問題に乗っかりやすくなります。
4. まとめ:はさみうちの原理の鉄則
- 直接極限が求まらない($\sin$, $\cos$, ガウス記号等)ときは「挟み込み」を疑う
- 不等式 $-1 \le \sin \theta \le 1$ や二項定理などを利用して評価式を作る
- 記述答案では必ず「はさみうちの原理より」という文言と両端の極限結果をセットで書く
これで「1-1. 数列の極限」の基礎・基本パターンは網羅できました!次回は「1-2. 関数の極限」へと進みます。
💡 漸化式や記述答案の対策を強化したい方へ
はさみうちの原理は「答案の書き方(論理展開)」で減点されやすい分野です。『1対1対応の演習』や『標準問題精講』などの解説が丁寧な問題集で、模範解答の書き方を真似してトレーニングしましょう。
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