【数学Ⅲ】1-2-1 関数の極限の求め方|右側極限・左側極限(片側極限)の違いと計算のコツ

数学Ⅲ

前回の「数列の極限」に続いて、今回からは「関数の極限」に入ります。

数列では $n$ が「自然数として無限大($\infty$)」に近づくのに対し、関数では $x$ が「実数としてある値 $a$ に近づく」または「プラス・マイナス無限大に近づく」という違いがあります。

この記事では、関数の極限の基本的な求め方と、つまずきやすい「片側極限(右側極限・左側極限)」の考え方をわかりやすく解説します!

1. 関数の極限とは?(基本的な考え方)

関数 $f(x)$ において、$x$ をある定数 $a$ に限りなく近づけたとき、$f(x)$ の値がどのような値に近づくのかを調べる操作を「関数の極限を求める」といいます。

これを数式では次のように表します。

$$\lim_{x \to a} f(x) = b$$

基本的な求め方のステップ

  1. まずは代入してみる:分母が $0$ にならず、そのまま代入して値が決まる場合は、それがそのまま極限値になります(例:$\displaystyle\lim_{x \to 2} (x^2 + 3) = 2^2 + 3 = 7$)。
  2. 不定形になる場合は式変形する:分母が $0$ になってしまう($\frac{0}{0}$ 型など)場合は、約分や因数分解、有理化を行ってから代入します。

2. 厄介な罠!「片側極限(右側極限・左側極限)」とは?

変数を $a$ に近づけるとき、「どちらの方向から近づけるか」によって値が異なる場合があります。これを片側極限と呼びます。

  • 右側極限 ($x \to a+0$):$x$ が $a$ より大きい値から $a$ に限りなく近づくときの極限(例:$2.1 \to 2.01 \to 2.001 \to \dots$)。数式では $\displaystyle\lim_{x \to a+0} f(x)$ と書きます。
  • 左側極限 ($x \to a-0$):$x$ が $a$ より小さい値から $a$ に限りなく近づくときの極限(例:$1.9 \to 1.99 \to 1.999 \to \dots$)。数式では $\displaystyle\lim_{x \to a-0} f(x)$ と書きます。

3. 具体例:絶対値やガウス記号を含む極限

片側極限の考え方が絶対に必要になるのが、絶対値やガウス記号を含む関数の極限です。

【問題】

次の極限を調べよ。存在しない場合はその理由を答えよ。

$$\lim_{x \to 0} \frac{\vert{}x\vert{}}{x}$$

【解説・解答】

絶対値 $\vert{}x\vert{}$ は、$x$ の符号によって中身の形が変わります。

  • $x > 0$ のとき:$\vert{}x\vert{} = x$
  • $x < 0$ のとき:|x| = -x

そのため、$x \to 0$ のときは右側極限と左側極限を分けて調べる必要があります。

  1. 右側極限 ($x \to +0$ のとき):$$\lim_{x \to +0} \frac{\vert{}x\vert{}}{x} = \lim_{x \to +0} \frac{x}{x} = \lim_{x \to +0} 1 = \mathbf{1}$$
  2. 左側極限 ($x \to -0$ のとき):$$\lim_{x \to -0} \frac{\vert{}x\vert{}}{x} = \lim_{x \to -0} \frac{-x}{x} = \lim_{x \to -0} (-1) = \mathbf{-1}$$

結論

右側極限($1$)と左側極限($-1$)の値が一致しないため、

$$\lim_{x \to 0} \frac{\vert{}x\vert{}}{x} \quad \text{は存在しない}$$

となります。

4. 極限値が存在するための必要十分条件

関数の極限において、$\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = b$ が存在するためには、次の条件が絶対に満たされなければなりません。

$$\lim_{x \to a+0} f(x) = \lim_{x \to a-0} f(x) = b$$

(つまり、「右から近づいたときの値」と「左から近づいたときの値」が完全に一致して初めて、その極限値が $b$ であると言えます。)

5. まとめ:関数の極限のポイント

  1. 基本は代入! 不定形($\frac{0}{0}$など)になったら約分や因数分解で回避する。
  2. 絶対値や分母の符号が変わる怪しいポイントでは、右側極限と左側極限を別々にチェックする。
  3. 左右の極限が一致して初めて「極限値が存在する」と言える。

ここがクリアできたら、次は数学Ⅲの微分や極限計算で最も重要な公式の一つ、「三角関数の極限($\displaystyle\lim_{x\to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$)」へと進みましょう!

💡 関数の極限や微積分の基礎を固めたい方へ

「グラフのイメージがしにくい」「片側極限の記述でミスをしやすい」という方は

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