【数学Ⅲ】1-2-2 $\displaystyle\lim_{x\to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ の証明と複雑な三角関数極限の解き方

数学Ⅲ

数学Ⅲの極限や微分で、最も頻出かつ絶対に覚えておくべき超重要公式がこちらです。

$$\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$$

なぜこの値が $1$ になるのかという「証明(図形的なはさみうち)」は、二次試験の記述式でも狙われやすいポイントです。

この記事では、公式の証明プロセスから、実際の入試で使える応用計算のテクニックまで分かりやすく解説します!

1. なぜ $\frac{\sin x}{x} \to 1$ になるのか?(図形による証明)

単位円(半径 $1$ の円)の第一象限における扇形を使って、幾何学的に証明します(※ここではラジアン=弧度法を使います)。

証明のステップ

角 $x$ ( $0 < x < \frac{\pi}{2}$ )をとったとき、次の3つの図形の面積の間に大小関係が成り立ちます。

  1. 三角形OAP(直線で作る三角形)の面積:$$\frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \sin x = \frac{1}{2}\sin x$$
  2. 扇形OAPの面積:$$\frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot x = \frac{1}{2}x$$
  3. 三角形OAQ(接線で作る大きな直角三角形)の面積:$$\frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \tan x = \frac{1}{2}\tan x$$

この3つの面積の大小関係(小 ≦ 中 ≦ 大)より、

$$\frac{1}{2}\sin x \le \frac{1}{2}x \le \frac{1}{2}\tan x$$

各辺を $\frac{1}{2}\sin x$ (正の値)で割り、逆数を取ると不等号の向きが変わり、

$$\cos x \le \frac{\sin x}{x} \le 1$$

という式が得られます。

ここで $x \to +0$ としたとき、$\cos 0 = 1$ となるため、はさみうちの原理により、

$$\lim_{x \to +0} \frac{\sin x}{x} = 1$$

が導かれます。左側極限($x \to -0$)についても同様に示せるため、公式が成り立ちます。

2. 実戦で使う!公式の変形・応用パターン

入試問題では、そのまま $\frac{\sin x}{x}$ の形ではなく、係数がついたり形が少し変わったりした状態で出題されます。

基本の変形パターン

  • パターンA(係数違い):$$\lim_{x \to 0} \frac{\sin 3x}{x} = \lim_{x \to 0} \left( 3 \cdot \frac{\sin 3x}{3x} \right) = 3 \times 1 = \mathbf{3}$$(分母と分子に同じ係数を作るのがコツです)
  • パターンB(逆数やタンジェント):$$\lim_{x \to 0} \frac{\tan x}{x} = \lim_{x \to 0} \left( \frac{\sin x}{x} \cdot \frac{1}{\cos x} \right) = 1 \times \frac{1}{1} = \mathbf{1}$$

3. 応用問題: $\displaystyle 1- \cos x$ を含む不定形の処理

三角関数の極限で、もう一つ絶対におさえておかなければならないのが $1 – \cos x$ が絡む不定形($\frac{0}{0}$ 型)です。

【問題】

次の極限を求めよ。

$$\lim_{x \to 0} \frac{1 – \cos x}{x^2}$$

【解き方のコツ】

そのまま代入すると $\frac{1 – 1}{0} = \frac{0}{0}$ の不定形になります。ここで、分子の有理化(分母・分子に $1 + \cos x$ を掛ける)と同じ発想で、三角関数の相互関係 $\sin^2 x + \cos^2 x = 1$ を利用します。

  1. 分母・分子に $(1 + \cos x)$ を掛ける$$\lim_{x \to 0} \frac{(1 – \cos x)(1 + \cos x)}{x^2 (1 + \cos x)}$$
  2. 分子を $1 – \cos^2 x = \sin^2 x$ に変形する$$\lim_{x \to 0} \frac{\sin^2 x}{x^2 (1 + \cos x)} = \lim_{x \to 0} \left( \frac{\sin x}{x} \right)^2 \cdot \frac{1}{1 + \cos x}$$
  3. 極限をとる$$= 1^2 \cdot \frac{1}{1 + 1} = \mathbf{\frac{1}{2}}$$

(※この変形結果 $\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{1 – \cos x}{x^2} = \frac{1}{2}$ は、微積分の計算スピードを上げるために公式として暗記しておくのがおすすめです!)

4. まとめ:三角関数極限の鉄則

  1. 基本公式 $\displaystyle\lim_{x\to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ の証明(扇形の面積+はさみうち)は記述式対策として書けるようにしておく。
  2. 係数がついたときは、分母・分子を合わせる変形を素早く行う。
  3. $1 – \cos x$ が来たら、$(1+\cos x)$ を掛けて $\sin^2 x$ に変換する定番テクニックを使う。

ここがクリアできたら、次は指数・対数関数の極限と自然対数の底 $e$ の定義へと進みましょう!

💡 三角関数・微積分の演習をさらに深めたい方へ

計算のスピードと正確性を上げるには、良質な問題集による反復が欠かせません。

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