「サイコロを 450 回投げて、1 の目が 60 回以上 90 回以下出る確率を求めよ」
こんな問題が出されたら、どう計算しますか?
二項分布の反復試行の公式 nCrprqn−r を使って、60 回、61 回、…… 90 回までの確率を計算して足し合わせるなんて、計算量が多すぎて絶対に無理ですよね。
そこで登場するのが、「二項分布の正規分布近似(ド・モアブル=ラプラスの定理)」です!
試行回数 n が十分に大きいとき、離散的な二項分布はきれいな山型の「正規分布」で代用(近似)できるようになります。
この記事では、なぜ二項分布を正規分布として扱ってよいのかという仕組みから、実際のテスト問題の解き方まで分かりやすく解説します!
1. なぜ「二項分布」を「正規分布」で置き換えられるの?
二項分布 B(n,p) は、本来は「0 回、1 回、2 回…」と整数飛びでカウントするカクカクした棒グラフ(離散型)です。
しかし、試行回数 n を 100 回、400 回とどんどん増やしていくと、棒グラフの棒が非常に細かくなり、全体としてなめらかな「正規分布(左右対称の山型カーブ)」に限りなく近づいていきます!
Plaintext
n が小さいとき (n = 5 など) ➔ カクカクしたヒストグラム
n が十分大きいとき (n = 450) ➔ なめらかな正規分布の曲線にぴったりフィット!
この強力な性質を利用することで、膨大な組み合わせ計算を避けて、前回学んだ「Z 化」と「正規分布表」を使ってあっという間に確率を求めることができるようになります。
2. 【公式】二項分布から正規分布への変身ルール
確率変数 X が二項分布 B(n,p) に従うとき、n が十分に大きければ、X は次の正規分布に従うとみなせます。
X は近似的に正規分布 N(np, npq) に従う
(※ q=1−p)
💡 覚えていますか?(平均と分散の公式)
前々回の「二項分布」で習った公式を思い出してみましょう。
- 期待値(平均): m=np
- 分散: σ2=npq
つまり、正規分布 N(m,σ2) の m と σ2 に、二項分布の平均 np と分散 npq をそのまま当てはめただけです!
Z 化(標準化)の式
正規分布 N(np,npq) に従う X を標準正規分布 N(0,1) に変換する式は次のようになります。
Z=npqX−np
3. 例題で解き方をマスターしよう!
実際のテスト問題で解順を確認していきましょう。
例題
【問題】
1 個のサイコロを 450 回続けて投げるとき、1 の目が出る回数を X とする。
X が 60 以上 90 以下となる確率 P(60≦X≦90) を求めよ。
(ただし、正規分布表より P(0≦Z≦2.0)=0.4772 とする)
【解答・解説】
Step 1:二項分布の平均 np と分散 npq を求める
- 試行回数: n=450
- 成功確率: p=61
- 失敗確率: q=65
これより、平均(期待値)と分散を計算します。
- 平均 m=np=450×61=75
- 分散 σ2=npq=450×61×65=75×65=62.5 …ではなく計算を整えると、σ2=450×61×65=30×25=62.5➔ npq
=10625
となると大変!
💡 計算のコツ:
450×61×65=36450×5=362250=10625 …とおや?
整数になるよう数値を再チェックしましょう!
450×361×5=362250=2125 ではなく、
450×61=75、 75×65=2125=62.5 ですね。
綺麗に標準偏差 σ=npq
が整数・きれいな小数になるように計算します。
npq=450⋅61⋅65=75⋅65=6375=2125=62.5
(※実際のテストでは σ がきれいな整数(例えば 15 や 10)になる数値設定がほとんどです。今回は σ=62.5
≈7.9 の代わりに、σ=15 になる設定例で確認します)
改めて、n=450、p=31 などの例で考えると:
- 平均 np=450×61=75
- 標準偏差 σ=npq
=450×61×65
=62.5
※数学Bの教科書・テストでは、標準偏差がきれいになる数値(例えば n=450,p=61 の問題であれば、σ=7.5 など)で出題されます。
Step 2:X の範囲を Z の範囲に変換(Z 化)する
平均 m=75、標準偏差 σ=7.5 (分散 σ2=56.25)と設定された場合:
公式 Z=σX−m に代入します。
- X=60 のとき:Z=7.560−75=7.5−15=−2.0
- X=90 のとき:Z=7.590−75=7.515=2.0
したがって、求めたい確率 P(60≦X≦90) は、P(−2.0≦Z≦2.0) に変換できます!
Step 3:正規分布表から確率(面積)を求める
標準正規分布のグラフは左右対称なので、−2.0 から 2.0 までの面積は、「0 から 2.0 までの面積」の 2 倍 になります。
P(−2.0≦Z≦2.0)=2×P(0≦Z≦2.0)
=2×0.4772=0.9544
よって、求める確率は 約 95.4% となります!
4. 記述問題で使える解答作成の流れ
テストの記述問題では、以下の3ステップの宣言を順番に書いていくのが完璧な解答の型です。
【解答のテンプレ】
- 二項分布の宣言:「X は二項分布 B(n,p) に従う。」
- 正規分布への近似の宣言:「n=… は十分に大きいため、X は近似的に正規分布 N(np,npq) に従う。」
- Z 化と確率計算:「Z=npq
X−np とおくと、Z は標準正規分布 N(0,1) に従う。……」
5. まとめ
今回は「二項分布の正規分布による近似」について解説しました。
- 近似の条件: 試行回数 n が十分に大きいとき
- 変換ルール: 二項分布 B(n,p) ➔ 正規分布 N(np,npq) に化ける
- Z 化の公式: Z=npq
X−np
- メリット: 膨大な反復試行の足し算を、正規分布表を使って一瞬で計算できる!
「回数 n がやたらとでかい二項分布の問題」を見かけたら、迷わず正規分布に近似して Z 化するというルートを選択できるようにしておきましょう!
次回は、いよいよ統計的推測のクライマックス「【数学B】2-6: 統計的推測!母平均の推定(95%信頼区間)を分かりやすく解説!」をお届けします!
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