微分計算の基礎をマスターした後は、いよいよ微分の真骨頂である「幾何学への応用(接線・法線)」に入ります。
数学Ⅱでも接線の方程式は扱いましたが、数学Ⅲでは三角関数・指数関数・対数関数・分数関数などの複雑な曲線に対する接線、そして接線に垂直な「法線(ほうせん)」の方程式を求めることになります。
この記事では、接線・法線の基本公式から、入試で頻出する3つのパターン(接点がわかっている / 傾きがわかっている / 曲線外の点から引く)の解法手順までわかりやすく解説します!
1. 接線・法線の方程式の基本公式
曲線 $y = f(x)$ 上の点 $P(a, f(a))$ における接線と法線の方程式は、微分係数 $f'(a)$(=接線の傾き)を用いて次のように表されます。
① 接線の方程式
$$y – f(a) = f'(a)(x – a)$$
② 法線の方程式
法線とは、接点を通って接線に垂直な直線のことです。
「垂直な2直線の傾きの積は $-1$」という性質($m_1 \cdot m_2 = -1$)より、接線の傾きが $f'(a) \neq 0$ のとき、法線の傾きは $-\frac{1}{f'(a)}$ となります。
$$y – f(a) = -\frac{1}{f'(a)}(x – a)$$
2. 入試で問われる「3つのパターン」の解き方
接線・法線の問題は、「与えられている情報が何か」によって解き方の手順が決まります。
パターン①:曲線上の点 $(a, f(a))$ が与えられている場合(最基本)
- $f(x)$ を微分して $f'(x)$ を求める。
- 接点 $x = a$ を代入して、傾き $m = f'(a)$ を計算する。
- 公式 $y – f(a) = m(x – a)$ に代入する。
パターン②:接線の傾き $m$ が与えられている場合
- 接点の $x$ 座標がわからないため、接点を $(t, f(t))$ と置く。
- 方程式 $f'(t) = m$ を解いて、接点の座標 $t$ を求める。
- 導き出した接点の座標を使って、公式に代入する。
パターン③:曲線外の点 $(x_1, y_1)$ から引いた接線(最頻出!)
入試で最も差がつくのがこのパターンです。「与えられた点を先に代入してはいけない」のが最大のポイントです。
【解法ステップ】
- 接点の座標を $(t, f(t))$ と仮定する。
- 接点 $(t, f(t))$ における仮の接線の方程式を作る。$$y – f(t) = f'(t)(x – t)$$
- この仮の接線が「通過する点 $(x_1, y_1)$」を代入して、$t$ に関する方程式を作る。
- $t$ の値を解き明かし、接線の方程式を完成させる。
3. 実戦演習:パターン③(曲線外の点から引く接線)
【問題】
原点 $(0,0)$ から曲線 $y = e^x$ に引いた接線の方程式を求めよ。
【解説・解答】
- 接点を $(t, e^t)$ とおく。$f(x) = e^x$ より $f'(x) = e^x$ なので、接線の傾きは $f'(t) = e^t$ です。
- 接点 $(t, e^t)$ における接線の方程式を作る。$$y – e^t = e^t(x – t)$$
- この直線が原点 $(0,0)$ を通るので、$x = 0, y = 0$ を代入する。$$0 – e^t = e^t(0 – t)$$$$-e^t = -t e^t$$
- $e^t > 0$ より、両辺を $-e^t$ で割る。$$t = 1$$
- $t = 1$ を仮の接線の式に代入して完成させる。$$y – e^1 = e^1(x – 1) \implies y – e = ex – e \implies \mathbf{y = ex}$$
4. まとめ:接線・法線攻略の鉄則
- 接線の傾きは微分係数 $f'(a)$、法線の傾きは逆数にしてマイナス $-\frac{1}{f'(a)}$
- 「曲線外の点から引く」問題では、とにかく先に「接点を $(t, f(t))$ とおく」のが鉄則!
- 求めた接点の個数がそのまま「引ける接線の本数」に対応する。
接線と法線の計算がしっかりできるようになったら、次はグラフ描画の肝となる「関数の増減と極値(第1次・第2次導関数による判定)」へと進みましょう!
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