第1章で学んだ「極限」の概念を駆使して、いよいよ数学Ⅲの最大の山場である「微分法(Differentiation)」へと入っていきます。
数学Ⅱでも微分を習いましたが、数学Ⅲでは扱う関数が三角関数・指数関数・対数関数・分数関数へと一気に広がります。
この記事では、微分法の出発点となる「導関数の定義式」と、受験生がつまずきやすい「微分可能性と連続性の違い」をわかりやすく解説します!
1. 導関数の定義式(数学Ⅱのおさらいと本質)
関数 $y = f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は、極限を用いて次のように定義されます。
$$f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) – f(x)}{h}$$
平均変化率と極限の意味
- $\frac{f(x+h) – f(x)}{h}$ : 2点 $(x, f(x))$ と $(x+h, f(x+h))$ を結ぶ「割線の傾き(平均変化率)」
- $\displaystyle\lim_{h \to 0}$ : 2点間の幅 $h$ を限りなく $0$ に近づけることで、「その1点における接線の傾き(瞬間変化率)」を求める操作
数学Ⅲで登場する新しい関数($\sin x$ や $e^x$ など)の微分公式も、すべてこの導関数の定義式に当てはめて極限を計算することで導き出されます。
2. 微分可能性(Differentiability)とは?
関数 $f(x)$ が $x = a$ で「微分可能である」とは、次の極限値(微分係数 $f'(a)$)が存在することを意味します。
$$f'(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) – f(a)}{h}$$
注意点:右側微分係数と左側微分係数
第1章で学んだ片側極限の考え方がここでも重要になります。
- 右側微分係数: $\displaystyle\lim_{h \to +0} \frac{f(a+h) – f(a)}{h}$
- 左側微分係数: $\displaystyle\lim_{h \to -0} \frac{f(a+h) – f(a)}{h}$
この右側微分係数と左側微分係数の両方が存在し、かつその値が完全に一致するときに初めて、「$x = a$ で微分可能である」と言えます。
3. 「連続」と「微分可能」の関係
関数の「連続性」と「微分可能性」には、次の明確な包摂関係があります。
【重要定理】
関数 $f(x)$ が $x = a$ で微分可能ならば、必ず連続である。
⚠️ 逆は成り立たない!(連続だが微分不可能)
「グラフがつながっている(連続)」からといって、必ずしも「接線が引ける(微分可能)」とは限りません。
代表的な反例が $f(x) = \vert{}x\vert{}$ の $x = 0$ における挙動です。
- グラフ: 原点 $(0,0)$ でV字型に折れ曲がっており、グラフ自体は途切れていないので連続です。
- 右側微分係数: $\displaystyle\lim_{h \to +0} \frac{\vert{}0+h\vert{} – \vert{}0\vert{}}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{h}{h} = 1$
- 左側微分係数: $\displaystyle\lim_{h \to -0} \frac{\vert{}0+h\vert{} – \vert{}0\vert{}}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{-h}{h} = -1$
左右の極限が一致しないため、$x = 0$ における微分係数は存在せず、「連続だが微分不可能(とがった点=尖点)」となります。
4. まとめ:導関数と微分可能性のポイント
- 導関数の定義式 $f'(x) = \displaystyle\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) – f(x)}{h}$ はすべての微分公式の原点!
- 「微分可能 $\implies$ 連続」は成立するが、「連続 $\implies$ 微分可能」は成り立たない。
- 絶対値などの折れ曲がる点(尖点)では、右側微分係数と左側微分係数をチェックして微分可能性を調べる。
ここが理解できたら、次は実用的な微分計算のテクニックである「割線の傾きから考える積の微分・商の微分公式」へと進みましょう!
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