【数学B】2-2: 確率変数の期待値(平均)・分散・標準偏差を分かりやすく解説!

数学B

前回は「確率分布表」のつくり方を解説しました。

今回学ぶのは、その作成した確率分布表を使って求める 「期待値(平均)」「分散」「標準偏差」 の3つです!

「中学や数学Iでも『平均』や『分散』はやったけど、何が違うの?」「公式の記号($E(X)$ や $V(X)$)がややこしい…」と戸惑う方もいるかもしれませんが、やるべき計算自体はとてもシンプルです。

この記事では、3つの指標の直感的なイメージから公式の覚え方、テストで使える計算テクニックまで分かりやすく解説します!

1. 3つの指標のイメージをつかもう!

まずは、「期待値」「分散」「標準偏差」がそれぞれ何を意味しているのか整理しましょう。

  • 期待値 $E(X)$[平均]➔ 「平均するとどれくらいになりそうか?」(データの中心)
  • 分散 $V(X)$[散らばり]➔ 「平均からどれくらい数値が散らばっているか?」(値が大きいほどバラつきが大きい)
  • 標準偏差 $\sigma(X)$[単位を揃えた散らばり]➔ 「分散のルートをとって、元の単位に戻した散らばり具合」

2. 【公式】期待値・分散・標準偏差の求め方

確率変数 $X$ のとり得る値を $x_1, x_2, \dots, x_n$、対応する確率を $p_1, p_2, \dots, p_n$ とします。

① 期待値(平均): $E(X)$

Expectation(期待)の頭文字をとって $E(X)$(または $m$)で表します。

$$\Large E(X) = x_1 p_1 + x_2 p_2 + \dots + x_n p_n = \sum_{i=1}^{n} x_i p_i$$

イメージ: 「(変数の値)$\times$(その確率)」を全部掛けて足すだけ!

② 分散: $V(X)$ ★計算テクニックあり!

Variance(分散)の頭文字をとって $V(X)$ で表します。

本来の定義は「(偏角)^2 × 確率 の和」ですが、実際の計算では次の裏ワザ(変形)公式を99%使います!

$$\Large V(X) = E(X^2) – \{E(X)\}^2$$

合言葉で覚える!

「2乗の平均」 - 「平均の2乗」

  • $E(X^2)$[2乗の平均]: $X$ の値を2乗してから確率を掛けて足し合わせたもの($\sum x_i^2 p_i$)
  • $\{E(X)\}^2$[平均の2乗]: ①で求めた期待値 $E(X)$ をそのまま2乗したもの

この公式を使えば、引き算の計算が格段にラクになります!

③ 標準偏差: $\sigma(X)$

ギリシャ文字のシグマ(小文字)を使って $\sigma(X)$ と表します。

求める式は超シンプルです。

$$\Large \sigma(X) = \sqrt{V(X)}$$

イメージ: 分散にルートをかぶせるだけ!

3. 例題で計算手順をマスターしよう!

実際にテスト形式の問題で3つの指標を計算してみましょう。

例題

【問題】

次の確率分布表で表される確率変数 $X$ について、期待値 $E(X)$、分散 $V(X)$、標準偏差 $\sigma(X)$ を求めよ。

X123計
$P$$\frac{1}{6}$$\frac{1}{2}$$\frac{1}{3}$$1$

【解答・解説】

Step 1:期待値 $E(X)$ を計算する

「値 $\times$ 確率」をすべて足し合わせます。

※計算しやすいように、確率の分母は $6$ に揃えておきます($\frac{1}{2} = \frac{3}{6}$, $\frac{1}{3} = \frac{2}{6}$)。

$$E(X) = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{3}{6} + 3 \times \frac{2}{6}$$

$$E(X) = \frac{1 + 6 + 6}{6} = \mathbf{\frac{13}{6}}$$

Step 2:分散 $V(X)$ を計算する(「2乗の平均」-「平均の2乗」)

まず、$X^2$ の期待値 $E(X^2)$ を求めます($X$ の値を2乗して確率を掛ける)。

$$E(X^2) = 1^2 \times \frac{1}{6} + 2^2 \times \frac{3}{6} + 3^2 \times \frac{2}{6}$$

$$E(X^2) = 1 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{3}{6} + 9 \times \frac{2}{6}$$

$$E(X^2) = \frac{1 + 12 + 18}{6} = \frac{31}{6}$$

次に、変形公式 $V(X) = E(X^2) – \{E(X)\}^2$ を使います。

$$V(X) = \frac{31}{6} – \left(\frac{13}{6}\right)^2$$

$$V(X) = \frac{31}{6} – \frac{169}{36}$$

通分して($\frac{31 \times 6}{36} = \frac{186}{36}$)計算します。

$$V(X) = \frac{186 – 169}{36} = \mathbf{\frac{17}{36}}$$

Step 3:標準偏差 $\sigma(X)$ を計算する

分散 $V(X)$ のルートをとります。

$$\sigma(X) = \sqrt{\frac{17}{36}} = \mathbf{\frac{\sqrt{17}}{6}}$$

4. 知っておくと得する「変数変換」の性質

確率変数 $X$ を $a$ 倍して $b$ を足した新しい変数 $Y = aX + b$ の平均や分散を求める際、わざわざ新しい表を作り直す必要はありません!

次の変数変換の公式を使えば一発で計算できます。

$$\begin{array}{\|c\|l\|l\|} \hline \text{指標} & \text{公式} & \text{イメージ} \\ \hline \text{期待値} & E(aX + b) = a E(X) + b & \text{かけ算も足し算もそのまま影響する} \\ \hline \text{分散} & V(aX + b) = a^2 V(X) & \text{足し算(平行移動)は無視!かけ算は2乗になる} \\ \hline \text{標準偏差} & \sigma(aX + b) = \vert{}a\vert{} \sigma(X) & \text{足し算は無視!かけ算は絶対値がつく} \\ \hline \end{array}$$

💡 なぜ分散や標準偏差で $+b$ が消えるの?

全体のデータに一律で $+b$(平行移動)しても、「数値の散らばり具合(幅)」自体は全く変わらないからです!

5. まとめ

今回は「期待値・分散・標準偏差」について解説しました。

  • 期待値 $E(X)$: (値 $\times$ 確率)の合計
  • 分散 $V(X)$: 「2乗の平均」-「平均の2乗」($E(X^2) – \{E(X)\}^2$)
  • 標準偏差 $\sigma(X)$: $\sqrt{V(X)}$ (分散のルート)
  • 変数変換: $V(aX + b) = a^2 V(X)$(足し算は散らばりに影響しない)

計算スペースをしっかり確保して、通分ミスや乗算ミスを防ぐことが満点への近道です!

次回は、同じ試行を繰り返したときに現れる超重要分布「【数学B】2-3: 二項分布 B(n, p) の平均・分散・標準偏差を分かりやすく解説!」をお届けします!

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