前回は「確率分布表」のつくり方を解説しました。
今回学ぶのは、その作成した確率分布表を使って求める 「期待値(平均)」「分散」「標準偏差」 の3つです!
「中学や数学Iでも『平均』や『分散』はやったけど、何が違うの?」「公式の記号($E(X)$ や $V(X)$)がややこしい…」と戸惑う方もいるかもしれませんが、やるべき計算自体はとてもシンプルです。
この記事では、3つの指標の直感的なイメージから公式の覚え方、テストで使える計算テクニックまで分かりやすく解説します!
1. 3つの指標のイメージをつかもう!
まずは、「期待値」「分散」「標準偏差」がそれぞれ何を意味しているのか整理しましょう。
- 期待値 $E(X)$[平均]➔ 「平均するとどれくらいになりそうか?」(データの中心)
- 分散 $V(X)$[散らばり]➔ 「平均からどれくらい数値が散らばっているか?」(値が大きいほどバラつきが大きい)
- 標準偏差 $\sigma(X)$[単位を揃えた散らばり]➔ 「分散のルートをとって、元の単位に戻した散らばり具合」
2. 【公式】期待値・分散・標準偏差の求め方
確率変数 $X$ のとり得る値を $x_1, x_2, \dots, x_n$、対応する確率を $p_1, p_2, \dots, p_n$ とします。
① 期待値(平均): $E(X)$
Expectation(期待)の頭文字をとって $E(X)$(または $m$)で表します。
$$\Large E(X) = x_1 p_1 + x_2 p_2 + \dots + x_n p_n = \sum_{i=1}^{n} x_i p_i$$
イメージ: 「(変数の値)$\times$(その確率)」を全部掛けて足すだけ!
② 分散: $V(X)$ ★計算テクニックあり!
Variance(分散)の頭文字をとって $V(X)$ で表します。
本来の定義は「(偏角)^2 × 確率 の和」ですが、実際の計算では次の裏ワザ(変形)公式を99%使います!
$$\Large V(X) = E(X^2) – \{E(X)\}^2$$
合言葉で覚える!
「2乗の平均」 - 「平均の2乗」
- $E(X^2)$[2乗の平均]: $X$ の値を2乗してから確率を掛けて足し合わせたもの($\sum x_i^2 p_i$)
- $\{E(X)\}^2$[平均の2乗]: ①で求めた期待値 $E(X)$ をそのまま2乗したもの
この公式を使えば、引き算の計算が格段にラクになります!
③ 標準偏差: $\sigma(X)$
ギリシャ文字のシグマ(小文字)を使って $\sigma(X)$ と表します。
求める式は超シンプルです。
$$\Large \sigma(X) = \sqrt{V(X)}$$
イメージ: 分散にルートをかぶせるだけ!
3. 例題で計算手順をマスターしよう!
実際にテスト形式の問題で3つの指標を計算してみましょう。
例題
【問題】
次の確率分布表で表される確率変数 $X$ について、期待値 $E(X)$、分散 $V(X)$、標準偏差 $\sigma(X)$ を求めよ。
| X | 1 | 2 | 3 | 計 |
| $P$ | $\frac{1}{6}$ | $\frac{1}{2}$ | $\frac{1}{3}$ | $1$ |
【解答・解説】
Step 1:期待値 $E(X)$ を計算する
「値 $\times$ 確率」をすべて足し合わせます。
※計算しやすいように、確率の分母は $6$ に揃えておきます($\frac{1}{2} = \frac{3}{6}$, $\frac{1}{3} = \frac{2}{6}$)。
$$E(X) = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{3}{6} + 3 \times \frac{2}{6}$$
$$E(X) = \frac{1 + 6 + 6}{6} = \mathbf{\frac{13}{6}}$$
Step 2:分散 $V(X)$ を計算する(「2乗の平均」-「平均の2乗」)
まず、$X^2$ の期待値 $E(X^2)$ を求めます($X$ の値を2乗して確率を掛ける)。
$$E(X^2) = 1^2 \times \frac{1}{6} + 2^2 \times \frac{3}{6} + 3^2 \times \frac{2}{6}$$
$$E(X^2) = 1 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{3}{6} + 9 \times \frac{2}{6}$$
$$E(X^2) = \frac{1 + 12 + 18}{6} = \frac{31}{6}$$
次に、変形公式 $V(X) = E(X^2) – \{E(X)\}^2$ を使います。
$$V(X) = \frac{31}{6} – \left(\frac{13}{6}\right)^2$$
$$V(X) = \frac{31}{6} – \frac{169}{36}$$
通分して($\frac{31 \times 6}{36} = \frac{186}{36}$)計算します。
$$V(X) = \frac{186 – 169}{36} = \mathbf{\frac{17}{36}}$$
Step 3:標準偏差 $\sigma(X)$ を計算する
分散 $V(X)$ のルートをとります。
$$\sigma(X) = \sqrt{\frac{17}{36}} = \mathbf{\frac{\sqrt{17}}{6}}$$
4. 知っておくと得する「変数変換」の性質
確率変数 $X$ を $a$ 倍して $b$ を足した新しい変数 $Y = aX + b$ の平均や分散を求める際、わざわざ新しい表を作り直す必要はありません!
次の変数変換の公式を使えば一発で計算できます。
$$\begin{array}{\|c\|l\|l\|} \hline \text{指標} & \text{公式} & \text{イメージ} \\ \hline \text{期待値} & E(aX + b) = a E(X) + b & \text{かけ算も足し算もそのまま影響する} \\ \hline \text{分散} & V(aX + b) = a^2 V(X) & \text{足し算(平行移動)は無視!かけ算は2乗になる} \\ \hline \text{標準偏差} & \sigma(aX + b) = \vert{}a\vert{} \sigma(X) & \text{足し算は無視!かけ算は絶対値がつく} \\ \hline \end{array}$$
💡 なぜ分散や標準偏差で $+b$ が消えるの?
全体のデータに一律で $+b$(平行移動)しても、「数値の散らばり具合(幅)」自体は全く変わらないからです!
5. まとめ
今回は「期待値・分散・標準偏差」について解説しました。
- 期待値 $E(X)$: (値 $\times$ 確率)の合計
- 分散 $V(X)$: 「2乗の平均」-「平均の2乗」($E(X^2) – \{E(X)\}^2$)
- 標準偏差 $\sigma(X)$: $\sqrt{V(X)}$ (分散のルート)
- 変数変換: $V(aX + b) = a^2 V(X)$(足し算は散らばりに影響しない)
計算スペースをしっかり確保して、通分ミスや乗算ミスを防ぐことが満点への近道です!
次回は、同じ試行を繰り返したときに現れる超重要分布「【数学B】2-3: 二項分布 B(n, p) の平均・分散・標準偏差を分かりやすく解説!」をお届けします!
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