ここからいよいよ【第2章】統計的な推測のクライマックスに入ります!
テレビの視聴率調査や世論調査、製品の品質チェックなど、現実世界のデータ分析で最もよく使われる技術がこの「標本調査」と「母平均の推定」です。
全体のデータ(母集団)をすべて調べなくても、一部のデータ(標本)を調べるだけで「全体の平均値(母平均)はおそらくこの範囲にあるぞ!」と高精度で予測することができます。
この記事では、推定の考え方から「95%信頼区間」の公式、例題の解き方まで分かりやすく解説します!
1. 母集団と標本とは?(全体と一部の関係)
推定の話に入る前に、まずは用語の整理をしておきましょう。
- 母集団(ぼしゅうだん):調査したい対象全体のこと(例:日本全国の高校生の平均身長、工場で生産されたすべての電球など)。
- 母平均 m・母標準偏差 σ:母集団全体の平均値と標準偏差のこと(本当は知りたいけれど、数が多すぎて直接調べるのが不可能な値)。
- 標本(ひょうほん):母集団からランダムに抜き出した一部のデータのこと。
- 標本平均 X(エックス・バー):抜き出した標本(大きさ n)の平均値のこと。
私たちが知りたいのは「母平均 m」ですが、全数調査は無理なので、手元の「標本平均 X」を使って「母平均 m」の値を推測するわけです!
2. 標本平均 X の分布(中心極限定理)
標本の大きさ n が十分に大きいとき、抜き出した標本の平均値 X には、次のような驚くべき性質があります。
💡 標本平均 X の分布の性質
母平均 m、母標準偏差 σ の母集団から大きさ n の無作為標本を抽出するとき、標本平均 X は近似的に正規分布 N(m,nσ2) に従う!
ポイントは、標本平均 X の標準偏差(ブレ具合)が nσ に小さくなるという点です。
(データをたくさん集めるほど、標本平均は母平均にぴったり近づいていきます!)
これを Z 化(標準化)すると、次の式になります。
Z=nσX−m
3. 【超重要】母平均 m の 95% 信頼区間の公式
標準正規分布 N(0,1) において、確率が 95%(0.95)となる Z の範囲は −1.96≦Z≦1.96 です(正規分布表の p(1.96)=0.475 の 2 倍)。
この不等式を形変形して「母平均 m」について解き直したものが、次の「95% 信頼区間」の公式です!
X−1.96n
σ,X+1.96n
σ
💡 95% 信頼区間ってどういう意味?
「母平均 m が 95% の確率でこの区間に入る」という意味……ではありません!(ここがテストの正誤問題で狙われる最大の罠です)。
正しい意味は、「同じ手順で標本抽出をして信頼区間を作る作業を 100 回繰り返したとき、およそ 95 回の割合でその区間の中に本当の母平均 m が含まれる」という意味です!
💡 99% 信頼区間の場合は?
信頼度を 99% に上げたい場合は、係数 1.96 の部分を 2.58 に変えて計算します。
[X−2.58n
σ,X+2.58n
σ]
4. 例題で計算手順をマスターしよう!
実際のテスト問題で計算手順を確認しましょう。
例題
【問題】
ある工場で生産された電球から 100 個を無作為に抽出して寿命を調べたところ、平均値は 1500 時間であった。母標準偏差を 100 時間とするとき、母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間を求めよ。
【解答・解説】
Step 1:与えられた条件の数値を整理する
- 標本の大きさ: n=100 ➔ n
=100
=10
- 標本平均: X=1500
- 母標準偏差: σ=100
Step 2:95% 信頼区間の公式に代入する
公式は X±1.96nσ です。
まず、右側の調整部分(誤差の範囲)を計算します。
1.96×nσ=1.96×10100=1.96×10=19.6
Step 3:区間の端(下限と上限)を求める
- 下限: 1500−19.6=1480.4
- 上限: 1500+19.6=1519.6
【答え】
信頼区間: [1480.4, 1519.6]
(または 1480.4≦m≦1519.6)
💡 結果の解釈:
全部の電球を調べなくても、「この工場で作られた電球の平均寿命はおそらく 1480.4 時間から 1519.6 時間の間にあるぞ!」と推定できました!
5. まとめ
今回は「母平均の推定(95%信頼区間)」について解説しました。
- 母平均の推定: 手元の標本平均 X から、全体の母平均 m の範囲を推測すること
- 95% 信頼区間の公式:[X−1.96n
σ,X+1.96n
σ]
- 99% 信頼区間の公式: 1.96 を 2.58 に置き換える!
- 計算のコツ: まずは幅の部分(1.96×n
σ)を計算してから、標本平均 X に足し引きする!
公式の形は一見複雑に見えますが、中心となる標本平均 X に「±1.96nσ」をくっつけているだけです。数値を落ち着いて整理して代入できるようにしておきましょう!
次回はいよいよ【数学B】シリーズの最終回!仮説が正しいかを判定する「【数学B】2-7: 仮説検定(考え方と解き方)を分かりやすく解説!」をお届けします!
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