積分計算の応用編として、入試で非常に差がつくのが「有理関数(分数式)の積分」と「三角関数の高次(べき乗)の積分」です。
そのままでは手が出せない複雑な式も、適切な変形技(部分分数分解や三角関数の変形公式)を使うことで、基本公式の形に持ち込むことができます。
この記事では、計算を劇的にラクにする2大テクニックをわかりやすく解説します!
1. 有理関数の積分:部分分数分解(Partial Fraction Decomposition)
分母が $x^2 – 3x + 2 = (x-1)(x-2)$ のように因数分解できる分数式を積分するとき、そのままでは積分できません。ここで大活躍するのが「部分分数分解」です。
基本の考え方
「1つの大きな分数」を、「簡単な分数の足し算・引き算」に分解します。
$$\frac{1}{(x-a)(x-b)} = \frac{1}{b-a} \left( \frac{1}{x-a} – \frac{1}{x-b} \right) \quad (a \neq b)$$
【例題】
次の不定積分を計算せよ。
$$\int \frac{1}{x^2 – x – 2} dx$$
【解説・解答】
- 分母を因数分解する$$x^2 – x – 2 = (x-2)(x+1)$$
- 部分分数分解の係数を決める(係数比較またはヘヴィサイドの隠す法)$$\frac{1}{(x-2)(x+1)} = \frac{A}{x-2} + \frac{B}{x+1}$$通分して係数を比べると、$A = \frac{1}{3}, \ B = -\frac{1}{3}$ と求まります。$$\frac{1}{(x-2)(x+1)} = \frac{1}{3} \left( \frac{1}{x-2} – \frac{1}{x+1} \right)$$
- それぞれの項を積分する$$\int \frac{1}{3} \left( \frac{1}{x-2} – \frac{1}{x+1} \right) dx = \frac{1}{3} \left( \ln\vert{}x-2\vert{} – \ln\vert{}x+1\vert{} \right) + C$$対数の引き算を整理して、$$= \mathbf{\frac{1}{3} \ln\left\vert{} \frac{x-2}{x+1} \right\vert{} + C}$$
2. 三角関数の高次積分(2乗・3乗・積の処理)
$\sin^2 x$ や $\cos^3 x$ のように、三角関数にべき乗(高次)がついているときは、公式を使って次数を下げたり形を変形してから積分します。
パターン①:偶数乗($\sin^2 x, \cos^2 x$) $\to$ 「半角の公式」を使う
次数を下げるために、倍角の公式(半角の公式)を利用します。
- $\sin^2 x = \frac{1 – \cos 2x}{2}$
- $\cos^2 x = \frac{1 + \cos 2x}{2}$
パターン②:奇数乗($\sin^3 x, \cos^3 x$) $\to$ 「1つだけ外側に追い出す」
例えば $\int \sin^3 x dx$ なら、$\sin^3 x = \sin^2 x \cdot \sin x = (1 – \cos^2 x)\sin x$ と変形し、$t = \cos x$ と置く置換積分法に持ち込みます!
3. まとめ:応用積分を突破する鉄則
- 分母が因数分解できる分数式を見たら、真っ先に「部分分数分解」でバラす。
- 偶数乗の三角積分は「半角の公式」で次数を下げる。
- 奇数乗の三角積分は「1つ外に出して置換積分($t = \sin x$ または $t = \cos x$)」を使う。
ここがクリアできたら、次は積分法のメインイベントである「定積分と関数(定積分で表された関数・極限)」へと進みましょう!
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